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 土地の上に新たな家を建設するという慣習がないイギリスでは、新居への引っ越しといっても新築ではなく、前に誰かが所有していた家に引っ越すのが一般的だ。

 庭のある家に越した場合、植えられてある木々も何年も前からそこに植えられてあるものという場合がほとんどで、時にその木が大きく成長し、隣家にまで枝を伸ばすこともある。

 その場合、隣人同士がコミュニケーションを取って、定期的に枝の手入れをするのが普通だが、ちょっとしたことでご近所トラブルに発展することがあるようだ。

 イギリス在住の女性は、引っ越した家の庭にあるりんごの木の枝が隣人の敷地にまで伸びていたことから、その枝を切るよう隣人から言われた.

 だが忙しく、すぐに対処しなかったことから、ある日突然、隣人が勝手に女性の庭に侵入して、勝手に枝を切る行為に及び、海外掲示板でそのことを相談した。

【画像】 新居のりんごの木の枝が隣人宅まで伸びていた

 イギリス在住の女性が、海外掲示板で人気のご近所トラブルスレッド『地獄からきた隣人』に投稿して、ユーザーらに相談した。

 その内容によると、女性(23歳)とパートナー(25歳)は、初めて購入した家に引っ越した。

 購入を決めた理由の1つは、庭にあった大きなりんごの木だ。

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広い裏庭、特に樹齢70~80年と推定される巨大なリンゴの木に恋に落ちました。

 りんごの木は、イギリスの短い夏の間に緑の葉と枝を成長させ、秋になると実をつける。

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 そのりんごの木の枝の一部が、隣人宅の敷地にまで伸びていたようだ。

 引っ越しの当日、女性は50代と思われる隣人から、自分の側のフェンスに張り出しているりんごの枝を伐採してもらえないかと言われた。

 問題の枝は高さ9メートルで、切るのは大変な作業となる。

 女性は伐採することには同意したが、今は時期ではないため、秋に近づいてから対応すると答えたという。

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 このとき女性は、それまでは待ってもらえると思っており、まさか隣人が自らの手でことを起こすとは思ってもいなかった。

隣人が女性の庭に勝手に侵入し木の枝を切る

 イギリスの法律では、隣の家の木の枝が自分の敷地に侵入している場合は、侵入した部分だけを、自分の敷地内から切ることが認められている。

 ただし、そのときは隣人同士のコミュニケーションが必要となるだろう。ところが、隣人は女性に早く対応するようせかした。

私たちがここに住んで8週間の間に、いつ枝を切るのかと彼らに何度かせがまれましたが、私たちはそれが自分たちの最優先事項ではないと何度も言いました。

引っ越ししたばかりなので、家の配線のやり直しや新しいキッチンにする必要があったのです。

 だが、隣人は女性とパートナーが留守にしていた間、勝手に女性宅の敷地に侵入し、枝を伐採しようと試みた。

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pixabay
先週末、私たちは家族と一緒に旅行に出かけましたが、裏庭で監視カメラの動きが検出されたことを警告する通知を受け取りました。

私たちがアプリから映像を見ていると、隣人たちはのこぎりやはしごを持って私たちの庭に侵入して、りんごの枝を切り落そうとしていました。

ありがたいことに、私たちのカメラにはマイクが付いているので、カメラ越しに隣人に問い質すと、彼らはすぐに逃げていきました。

旅行から戻った日、私たちは隣人が自分たちの庭に突き出ていた枝ではない別の枝を切り落とされたことに気付きました。

不法侵入されるも警察では「民事扱い」と言われる

 女性は、気に入っていたりんごの木の枝を、留守の間に勝手に庭に侵入して伐採した隣人に腹を立てた。

 しかも、不必要に別の枝を切り落とすなんて、新しく隣に引っ越してきた若い自分たちに対する嫌がらせではないのか、とも思ったという。

 引っ越したばかりの立場としては、どんな隣人トラブルもできるだけ避けたい気持ちなのだろう。

 そこで女性はRedditで「ここからどうすればいいのかわからないので、同じような状況に陥った人がいたらアドバイスをいただければ幸いです」と相談した。

 その後、コメント欄で女性は「隣人宅に伸びていた枝の3分の1は切り落としたが、再度剪(せん)定まで少し待つ必要がある」「リンゴの木なので年に2回の剪定が必要で、剪定が必要になるたびに計画許可を得て樹木医を雇わなければならない」と伝えている。

 また、女性は後の更新で、この1件を111でも相談したことを明かした。

 111は、イギリスでは999ほどの緊急事態ではない状況時にアドバイスを求める「非緊急通報先」だ。

 だが、警察は「それは民事の問題で刑事犯罪ではない」と女性に話したそうだ。

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隣人の不法侵入は犯罪ではないのか?ユーザーらの反応は

 隣人が自分の敷地内に勝手に侵入し、他人が所有する物を破損するという行為は犯罪ではないのか?と、多くのユーザーらは疑問の声を寄せた。

 また、今後隣人が同じことをしないように明確に伝えた方がいい、というユーザーも多かった。

・それは不法侵入だよ。地元の警察に電話して映像を見せて。侵入者に違反を思いとどまらせることはできないの!?

・隣人はあなたがいつ木に対応するかすでに知っていたのだから、あなたは敷地に侵入されないよう周囲に「立ち入り禁止」を掲示したほうがいい。

警察には不法侵入で訴えることはできないの?あなたの敷地内に他人が入ったらそれは不法侵入になるんじゃないの??

・勝手に他人の敷地内に入ってこないように、また再び木が何らかの形で損傷した場合、あなたは訴訟を起こす権利があるはずだ。

・留守の間に、勝手に枝を切ってあなたたちが気付かないとでも思ったのでしょうか?これは、嫌がらせになるのでは?

隣人は、あなたたちとの良い関係を築くつもりはないようですね。

不法侵入は民事問題ではありません。 それは実際の犯罪です。

・私なら、これ以上剪定すると深刻なダメージを受ける可能性があるほど、十分な量の木を切り取っていることを隣人に明確に伝えます。

法律によれば、不必要に他人の所有地で木を伐採した場合、同じ大きさの木を植え直すまでの全額の賠償責任を負うことになるからね。

・隣人宅に張り出した枝は、一年中いつでもカットできます。ただし、敷地境界線は絶対的なもので、それを超えない限り伐採できます。

・1. 問題の「根本」を見つけてみよう。隣人は、単に意地悪な人たちなのでしょうか。それとも彼らの懸念には十分な理由があるのでしょうか?

たとえば、木の根が隣家の排水溝や地盤に基礎に影響を与えていませんか?

2. 「近隣」問題は、譲渡プロセスの一環として申告する必要があります。 不動産を販売する時に販売側がこれを怠った場合、責任を問われる可能性があります。

・あなたの地方自治体に連絡して、あなたのリンゴの木に樹木保存命令を出すことを検討してくれるかどうかを確認してください。

これは、その木が当局によって保護されていることを意味します。また、必要に応じて将来的に木を伐採するのにも許可が必要になることを意味します。一度地元の評議会に問い合わせしてみるのもいいかもしれません。

不法侵入は民事問題ですが、他人の家から勝手に枝を切り落としたり、庭の木を傷つけたりすることは刑事上の損害であり、民事問題とならないのでは?

・弁護士の手紙を渡すといいのでは?これ以上行動を起こすと法的措置を取ることを知らせるべきだと思う。

 コメントには、「勝手に隣人が他人の敷地内に入るのは犯罪で不法侵入」という意見が多かった。

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 しかし、イギリスの法律では、不法侵入=刑事事件とはならない。

 実際、イギリスではほとんどの場合、土地への不法侵入は民事問題であるため、警察には支援する権限がない。

 まず、地主は不法侵入者にその土地から立ち退くよう要請し、侵入者が立ち退けば問題はないと判断される。

 しかし、相手が土地を離れることを拒否した場合は、民事訴訟に発展する可能性がある。

 こうした法律は、国によって異なるため、海外からのユーザーは驚いたようだ。

イギリスの警察が不法侵入をもっと真剣に扱わないのは、本当にイライラする。

・本当ですか? イギリスでは、他人の敷地内を歩き回ることが法的に許可されているんですか??

イギリスの法に詳しいユーザーがコメント

 ユーザーの中にイギリスの法律にくわしい人がいるのか、投稿主の代わりにこのようなコメントを寄せた。

不法侵入を「許可する」「許可しない」という問題ではなく、唯一の刑事的不法侵入の形式は、国王によって訴追される場合、政府所有物に対するものです。

他のすべての不動産所有者は、不法行為の迷惑行為として不法侵入で個人的に訴訟を起こさなければなりません。

一般の民家に誰かが入り込んだからといって、不法侵入者を訴えて裁判所で訴訟を起こすなどということは、通常はお金かかかるものなので、一般人はそんなことにお金を使うよりも、もっとマシなお金の使い方があるはずと考えます。

第一、イギリスでは法廷へのアクセスは遅くて面倒で、通常は金銭的損害賠償というのではなく、不法侵入者に対する差し止め命令や所有権の回復という結果になりますしね。

だから、イギリス人のほとんどは、自分の敷地の限界までフェンスを設置し(フェンスとフェンスの間に1メートルの隙間を空けることはありません)、そうやって侵入者を締め出す措置を講じているわけです。

投稿主の場合も、隣人に対する差し止め命令を望まない限り、いかなる行動もまったく意味がありません。

これは、嫌がらせをしていると思われる隣人によるパワープレイに対する核反応です。

まずは、費用をかけずに隣人トラブルがエスカレーションするのを予防しましょう。事態が悪化する前に、解決を試みるほうがずっと良いということです。

最良の結果は、投稿主が自分たちの庭と木の所有権を明確にし、その後、両世帯が互いにまったく関与しないことです。
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 続いて、このユーザーは次のようにアドバイスした。

投稿主が答えているように、隣人は木にダメージを与えない範囲でのみ、自分の土地に張り出した枝を切る権利があります。

しかし、注意すべき点がいくつかあります。

その年齢のリンゴの木は、幹の周囲が約 180 cm、半径が約 60 cmということで、おそらく耐用年数が終わるか、終わりに近づいています。

投稿主が物件を購入する前にどの程度手入れされていたかにもよりますが、長くて重い枝が入っている可能性は十分にあります。

これらの枝が嵐などで損傷すると、傷口の感染によってさらに大きな被害が生じる可能性があります。

木に鳥の巣が活動している場合、剪定も犯罪です。

お金に余裕があれば、評判の良い樹木医に診てもらい、手入れについてアドバイスをもらい、隣人がどんな被害を与えたのかを教えてもらいましょう。

次に、あなたは、厄介な人たちの隣に引っ越してきたばかりですが、当分の間、彼らの隣に住まなければならないので、彼らの行動は容認できないことを彼らに知らせ、あなたは自分の木の世話をすることを、攻撃的ではなく積極的な姿勢で繰り返し伝えましょう。

隣人が暴力的でないのなら、隣人にあなたの敷地内に入ることを許可しないこと、そしてあなたの都合の良いときに専門家に木を見てもらうよう手配することを伝えるのが最善です。

不法侵入は民事問題だと言う警察や法的手段を口にして、隣人を脅さないでください。

ただ、その木はあなたのものであり、あなたがそれに対処するということを、明確にしてください。

その後、会話を確認する手紙を送り、コピー自分用に保管しておくとよいでしょう。

現実的には、彼らが激怒してあなたの木を切り倒してしまった場合、経済的損害賠償を求めて訴訟を起こす以外にできることは何もありませんが、あなたの財産はあなたが処理すべきものであることを彼らに理解してもらうよう努めるべきです。

あなたが比較的若いという理由で、彼らはあなたに嫌がらせをして自分たちのやりたいことをやってやろうと考えているのではないかと感じます。

そして、そうした隣人の嫌な態度は、今後もおそらくりんごの木だけにとどまらないでしょう。

イギリスの法的アドバイスが必要な場合は、専門家に相談することをお勧めします。Good Luck!
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 たかが木、されど木というほど、イギリスでは木の問題は、割と深刻だ。

 物件を購入した者は、通常はその庭も所有物となる。だが、上記のコメントにもあったように、イギリスでは昔からの木が評議会に保存されている類の木であれば、庭を誰かが所有しても、その木を勝手に所有者が切り落とすことは違法になってしまうのだ。

 手入れが必要な際には、必ず評議会に連絡を取り、樹木医の診断を受けてからという順番になる。

 今回のRedditの相談事のように、イギリスでは木に関連するご近所トラブルは、実は駐車スペーストラブル並みに発生している。

 よって、お隣同士でコミュニケーションがうまく取れない時には、木が真っ二つに切られてしまう結果となる。

References:'My neighbour snuck into garden to chop our tree down - I caught them on camera'/ written by Scarlet / edited by parumo

 
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【ご近所トラブル】新居の庭の木の枝が隣の家にはみだしていたところ、隣人が不法侵入して枝を伐採