静岡市が公表した市民カメラマン募集要項

静岡・静岡市が開始している「市民カメラマン」募集プロジェクトが一部で物議を醸している。ボランティア扱いになるという条件を見て、ネット上では「タダで人使おうとするんじゃないよ」「やりがいあると思うけど」と賛否の声が上がり続けており…。

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■ボランティアカメラマンを募集

Twitterで、「ボランティアで広報紙や市HPに掲載する写真の撮影に協力していただける人を募集します」と“市民カメラマン”の募集を呼び掛けた静岡市広報課。

市HP上にある概要ページには「市内で開催されるイベントのほか、街並みや風景など静岡市らしい写真の撮影と、市民カメラマンレポートの提供」「プロカメラマン萩原和幸氏(静岡デザイン専門学校講師)によるワークショップへの参加」などの活動内容が記されている。


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■プロ講座無料受講と保険加入

静岡市が公表した市民カメラマン募集要項

HPには、本案件についての謝礼はなく、交通費などの諸経費も自己負担と明記されている。

一方で、萩原氏のワークショップ(体験講座)無料参加、また活動時万が一事故などが発生したことを考慮して「全国市長会 市民総合賠償補償保険」への無償加入という見返りも用意。その上、「写真技術のレベルは問いません」とプロ・アマ問わない旨が記されており、だいぶハードルを低くした募集であることも示されていた。


■「やりがい搾取」と反論が…

しかし、5日にこの募集の件をツイートすると、一部のユーザーから反論が。「何様だよ」「やりがい搾取」「きちんとお金もかけてプロにお願いするのが良い」と今回の募集を真っ向から否定する意見が飛び交った。

他方、「披露の場欲しい人には全く云う事無い」「やりたい!って人いっぱいいると思うんだけど」「多少のお金より機会をもらう方がはるかに嬉しい」と、取り組みを称賛する声も上がっている。

静岡市に今回の反響について取材申請したところ期限までに連絡をもらえなかったが、同市HPを見ると市民カメラマンの写真やレポート記事は2014年からバックナンバーが掲載されており、毎年恒例の企画のようだ。


■プロとアマのカメラマンはどう見たか

騒動を見たアマチュア、プロのカメラマンたちはどう思ったのか。

60代のアマチュアカメラマンB氏は、「募集要項をみると、明らかにアマ向けの募集。僕からするとキレイに撮れた写真が市役所で使われるだけでもうれしい。ま、食事くらいはご馳走してほしいと思うけど(笑)、僕はプロじゃないからね。プロがノーギャラと言われたら怒ることもあるのでしょうが、今回は“写真好きのアマチュアのかた、よろしければどうぞ”という案件。そんなに怒ることかね」と、SNS上で巻き起こった反発に疑問を呈する。

一方、報道カメラマンとして約30年活動してきたA氏は、「市が率先して掲載実績と上手な撮り方をサポートしてくれるプロジェクトに見えました。現地までの交通費は自分のお財布と相談ですが、保険料は市が負担。勉強会の費用も無料。市役所が少ない予算の中から市民の写真愛好家を募集して、長い目で見ればプロカメラマンを育てようとする素晴らしい企画だと思いましたが…」と感想を述べる。

静岡市ツイートをさかのぼると、過去撮影を投稿した市民カメラマンたちの美麗写真が署名付きで並んでおり、そこからは地元の活気や人々の温かさが感じられた。ギャラありかなしかを巡って、外野が言い争うことが果たして必要なのか、改めて考えさせられる一件だった。

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(取材・文/Sirabee 編集部・キモカメコ 佐藤

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