映画界の巨匠スティーヴン・スピルバーグと、「スター・ウォーズ」シリーズを手掛けるルーカスフィルムの超豪華制作陣がタッグを組んだアドベンチャー・シリーズ「インディ・ジョーンズ」。最新作『インディ・ジョーンズと運命のダイヤル』が6月30日に全世界同時公開となり、日本ではオープニング3日間で興行収入が6億4771万0010円、44万8489人の動員を記録し、週末興行収入No.1を記録するヒットとなった。

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インディ・ジョーンズ」シリーズと言えば、地上波での放送やアトラクションで知っているという人も多いはず。しかし、過去どんな冒険を繰り広げてきたのか、実際インディ・ジョーンズとはどんな人物なのか、詳しくは知らない…そんな人も多いのではないだろうか。そこで、主演を務めるハリソン・フォードが最後のインディ・ジョーンズを演じる最新作を最大限に楽しめるよう、これまでのシリーズ4作の見どころをまとめて紹介していこう。

■厄介ごとに巻き込まれながらも、インディは類稀なる強運の持ち主!

まず、インディ・ジョーンズは、“考古学者にして冒険家”という肩書きを持つ。好奇心が強すぎるがあまり、自ら秘境や遺跡に足を運んで秘宝を手に入れるなど、行動力抜群だ。しかし、フォード本人も言うように、インディはヒーローではない。たまたま依頼されたお宝探しを引き受けることになり、たまたま現地に行ったらたまたま仲間がピンチになったり、なぜか村の救世主だと言われたりして、ひと肌脱ぐことになる。そうやって、毎回なにかに巻き込まれているのだ。インディが向かう場所はいつも危険が満載で死と隣り合わせな場所ばかり。第一作『レイダース 失われたアーク《聖櫃》』(81)では、大量の毒へびが群がる地下に、聖櫃(モーセの十戒が刻まれた石板を収めた箱)を取りに行くこととなり、そこでヒロインのマリオンと共に閉じ込められることに。

インディ・ジョーンズ 魔宮の伝説』(84)では、邪悪な教団サギー教のアジトへと向かい、“悪魔の血”で洗脳される。『インディ・ジョーンズ 最後の聖戦』(89)では、瀕死状態の父を救うため、誰も手に入れたことのない聖杯を求めて、危険度MAXな遺跡の奥深くへ入っていく。

しかし、いかなるピンチになろうとも、その危機を難なく潜り抜けてしまう、インディの運の強さも本シリーズの大きな特徴だ。どんな展開でその危機を突破してくれるのか、というところもスリル満点で、このシリーズの楽しみ方の一つと言えるだろう。ちなみに、インディがニヤッと笑うシーンの直後、彼にピンチが訪れることがよくあるので、そこにもぜひ注目してほしい。

■探求心に正直すぎる!人間味あふれるキャラクター性

インディの魅力と言えば、無骨でハードボイルドなところだが、時に少年のように自分の興味や探求心といった“欲望”を抑えられなくなってしまう、人間味あふれる部分でも人々を魅了している。特に考古学者として、長年研究を続けてきた歴史への探求心は人一倍だ。『レイダース』では、かつての恋人であるマリオン(カレン・アレン)を救うため、「彼女を返さなければ聖櫃をぶっとばすぞ」とロケットランチャーを掲げ脅しをかけるものの、逆に「この櫃には、想像を絶する宝が眠ってる。君だって中を見たいだろう」と諭され、考古学者としての探求心からか、すっとランチャーを下ろしてしまうシーンがある。

『魔宮の伝説』では、歌手でもあるヒロインのウィリー(ケイト・キャプショー)から夜のお誘いを受けるも、ある手がかりをつかんだことからウィリーをほっぽりだして宮殿の奥へどんどん進んで行ってしまう。『最後の聖戦』では、手が滑れば奈落の底に落ちてしまうという危険な場面でも、聖杯を拾うために片手を伸ばそうとして、父ヘンリージョーンズ(ショーン・コネリー)に止められるという場面があった。そんな、自分の気持ちにまっすぐなピュアな側面も人々を惹きつけるところと言えるだろう。最新作でもそんな少年のようなインディの一面が登場するかどうか、ぜひ確かめてほしい。

■インディが好きなものは、“歴史”と“帽子”と、気の強い女性“マリオン”!?

ここまで、インディの特徴や魅力を振り返ってきたが、彼がこよなく愛しているであろう3つのものをご紹介。一つはその生涯をかけて探求を続けてきた“歴史”だ。過去作でも、考古学者の第一人者として知られるほど知名度もあったインディが、どこか楽しそうな表情で歴史について語る場面も。

もう一つは、インディのトレードマークのフェドーラ帽だ。これまでの作品では、インディがピンチに陥った際、帽子を落とすと、必ずインディがそれを拾いに帰ってくるというのが恒例。床に落ちている帽子が画面に映ったかと思えば、横からすっと手が伸びて拾い上げる演出は、覚えているという人も多いだろう。

最後の一つは、生涯愛する女性だ。インディはこれまでいろいろなヒロインと冒険を共にしてきたが、そのなかでも本当に愛しているだろう女性が一人だけいる。それが『レイダース』、そして『インディ・ジョーンズ クリスタル・スカルの王国』(08)で登場したカレン・アレン演じるマリオンだ。

レイダース』で登場したマリオンは、その時点ですでに、インディの元恋人という間柄。彼女は気が強くお酒にも強い、芯が1本通ったような女性だ。『レイダース』で再び結ばれたかに思われた2人だったがまた破局し、『クリスタルスカルの王国』で再会を果たす。その際にインディは、マリオン以外の女性と長続きしない理由について「何人かいたが、いつも不満があった。『君(マリオン)と違う』って」と話しており、心の中にはいつもマリオンの姿があったことがわかる。『クリスタルスカルの王国』の最後には結婚式を挙げた2人だったが、本作ではどんな間柄となっているのか、大いに気になるところだろう。

■インディが嫌いなものはヘビと“ナチス”!?

インディ・ジョーンズにも、嫌いなものがある。それはヘビだ。『最後の聖戦』では、若かりしころにヘビが嫌いになったいきさつが描かれているが、毎回どこかには必ずヘビが登場し、インディが子どものように全力でダダをこねる場面は、無骨でハードボイルドな普段のインディとのギャップも相まって、どこか可愛らしくも見える。最新作では、どんな形でこのヘビが登場を果たすのだろうか。

そして、もう一つインディが嫌い(!?)なのが、“ナチス”だ。『レイダース』では聖櫃、そして『最後の聖戦』では、聖杯の奪い合いをインディと繰り広げたのがナチスの党員たちだ。インディはいつも、秘宝が持つ強大な力を悪用しようとするナチスの思惑を阻止するために、彼らと攻防を繰り広げてきた。最新作でも元ナチスでありながらNASAで働いているという科学者フォラー(マッツ・ミケルセン)と、“人類の歴史を変える力”を持つという「運命のダイヤル」の争奪戦を繰り広げることとなる。因縁の相手である“ナチス”の残党フォラーとインディがどんな攻防を繰り広げるのか、注目していただきたい。

40年以上も続く「インディ・ジョーンズ」シリーズは、『インディ・ジョーンズと運命のダイヤル』でフィナーレを迎える。これまで世界を飛び回り、秘宝を追い求めてきたインディ・ジョーンズにも引退の時が迫っていたが、かつての盟友バジル(トビージョーンズ)の娘、ヘレナ(フィービー・ウォーラー=ブリッジ)の登場によって、インディは最後の冒険に出かけることとなる。興奮とスリル満点で、映画の醍醐味をたっぷりと味わうことのできる、究極のアドベンチャーをこの機会に映画館で体験してみて。

※記事初出時、作品タイトル表記に誤りがありました。訂正してお詫びいたします。

文/山崎伸子

欠点だらけなのに憎めない、インディ・ジョーンズの魅力をとことん解説!/[c] & TM 2023 Lucasfilm Ltd.ディズニープラス「スター」で見放題配信中