エンゼルスの苦闘が続くなかで、好調を維持している大谷。ゆえにトレードに関する噂は絶えないが…。(C)Getty Images

 大谷翔平エンゼルスはトレードに出すべきなのか――。

 このテーマはいま米球界でしきりに論じられている。メジャーリーグにおけるトレードのデッドラインまで1か月を切ったなか、堂々と異能ぶりを発揮する二刀流戦士の去就はせわしなくなっている。

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 キャリアの節目となるFA(フリーエージェント)イヤーを迎えた今季の大谷は凄まじい活躍が続く。打っては本塁打(31本)、打点(68)、OPS(1.033)、出塁率(.383)でリーグトップに立つ驚異的な打棒を披露。投げても7勝(3敗)をあげながら被打率.189、奪三振率11.89というハイアベレージを記録し、メジャーでも屈指の支配力を見せつけている。

 一方でエンゼルスは悲願のポストシーズン進出に向けて暗雲が立ち込めている状況だ。

 主砲のマイク・トラウトアンソニー・レンドーンら主力選手が故障により相次いで戦線を離脱。その影響もあって、直近10試合で2勝8敗と低迷。アメリカン・リーグ西地区首位に立つレンジャーズとは6.5ゲーム差をつけられ、ワイルドカード争いでもポストシーズン出場圏内からは4ゲーム差と厳しい立場にある。

 現地7月7日ドジャース戦では4対11と大敗し、オールスターを前に貯金もゼロとなった。こうした状況をふまえてエンゼルスが大谷を放出し、価値に見合うだけの見返りを求めるのではないかという憶測が尽きないのである。

 そうしたなかで、MLBの事情通がトレードの可能性を分析している。現地7月7日MLB公式サイトのレポート記事内でジョン・モロシ記者は、「今のチーム状況がショウヘイ・オオタニとの将来にとって何を意味するのか? それは何もないエンゼルスの急降下がトレード・デッドラインに向けて彼をトレードする兆候と見る野球関係者はほとんどいない」と断言している。

 米球界の移籍情報に詳しい敏腕であるモロシ記者は、エンゼルスに球界トップクラスの若手有望株が少ないチーム編成をクローズアップしたうえで「しかし、オオタニのトレード価値を最大限に活かすつもりなら、順位争いで明らかに劣勢だった昨シーズンに、彼を移籍させていた」と指摘。そして、偉才の残留にチームがこだわる理由も示している。

「仮にエンゼルスがポストシーズンを逃しても、彼をフリーエージェントまでチームに残す価値は十分に存在する。なにせ彼がプレーするたびにテレビの視聴率は出る。さらにMVP獲得がとても現実的な男はマーケティング収入をもたらし、スポンサーシップの関係にも影響を与える」

「もしも、あなたがエンゼルスのファンなら、あるいは球団幹部なら、オオタニが別のユニホームを着て本塁打を量産するところを想像してみてほしい。それは虚しい気持ちになるだろう? だから、このシナリオ(トレード)はありえない」

 今オフにFAとなれば、再契約をする可能性は低いとも伝えられる。それでも、エンゼルスは大谷から得られる計り知れない影響力を手放せないようだ。

[文/構成:ココカラネクスト編集部]

大谷翔平のトレードは「ありえない」 FA→再契約の望みは薄くてもエ軍が放出を拒否するワケ「残す価値は十分ある」