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 2022年の始めから、男性10人、女性6人の遺体が、イリノイ州ミシガン湖やシカゴ川から引き上げられた。あまりにも続くので、連続殺人犯の仕業ではないかと、世間を恐怖に陥れている。

 遺体が次々と見つかるにつれて、そのパターンが注目されるようになった。この半年だけでも、5人の男性の遺体があがっている。

「偶然にしては、数が多すぎます」元CIAでFBI連邦捜査官トレイシー・ウァルダー氏は語る。

【画像】 ミシガン湖周辺で遺体発見が相次ぐ

 FBI連邦捜査官トレイシー・ウァルダー氏は、不慮の事故による溺死であるケース、被害者が行方不明になった場所から遠く離れた場所で、遺体が回収されたケース、短期間に集中して複数の遺体が発見されたケースを指摘している。

こうしたケースの場合、全体的に似たようなパターンが多いため、もはや単なる偶然の一致とは言えなくなります

 一番新しい被害者は、26歳のノア・イーノスさんで、発見場所からおよそ1ブロック離れた地元の音楽ホール「ソルト・シェッド」でのロックコンサート後に行方がわからなくなり、5日後の6月17日シカゴ川から遺体が引き上げられた。

 当局は、彼の死因と死の状況は公表していないが、ノアさんの父親は、私立探偵に協力していると語っている。

行方不明になって、シカゴ川で遺体で発見されたのは、ノアが最初ではないことはわかっています。こんなことは、彼が最後になるよう祈っています

 ノアさんのガールフレンドニコール・ウィスさんは、彼の通夜で涙をこらえながらこう語った。

シカゴ川から引き上げられた遺体が、ノア・イーノスさん(26歳)であることを報じるニュース

ミシガン湖、シカゴ川周辺水域で遺体で発見された16人
・ノア・ノーイス、2023年6月発見、原因、状況は保留中
・身元不明女性、2023年5月発見、原因、状況は不明
・リチャード・ガルシア、2023年4月発見、原因・状況は保留中
・シェイマス・グレイ、2023年4月発見、原因は溺死、状況は未確定
・ジョエル・オルドゥノ、2023年3月発見、原因は溺死、状況は未確定
アンソニー・ラッカー、2023年2月発見、原因は溺死、状況は自殺
・クジシュトフ・ズベルト、2022年12月発見、原因は溺死、状況は事故
ピーター・サルヴィノ、2022年12月発見、原因は溺死、状況は事故
・ヘイワード・ブラウン、2022年6月発見、原因は溺死、状況は事故
・ダニエル・ソテーロ、2022年5月発見、原因は溺死、状況は未確定
・ナタリー・ブルックソン、2022年5月発見、原因、状況は未確定
カリーナペーニャ・アラニス、2022年4月発見、原因は溺死、状況は自殺
・ユエット・ツァン、2022年4月発見、原因は溺死、状況は未確定
・身元不明女性、2022年4月発見、原因、状況は不明
・身元不明男性、2022年4月発見、原因、状況は不明
・キャスリーンマーティン、2022年3月発見、原因は溺死、状況は未確定

連続殺人犯の可能性も視野に

 シカゴ警察は、相次ぐ死者の発見に関するコメントをメディアに求められているが、それに応じていない。

 この16人という数字は、ニューヨークポスト紙が、2022年と2023年に水中から引き上げられた遺体をカウントしたもので、もしかしたらもっと多い可能性もある。また、すべてが不審死だったわけではない。

 ウァルダー氏は、連続殺人犯はあるパターンに従う傾向にあることを指摘する。遺体を水中に遺棄するのは、法医学的な証拠のほとんどがなくなる可能性を狙って、完璧な犯罪を企てようとしたのではないかと指摘する。

 2022年12月末、地元メディアは、FBIシカゴ警察と協力して、相次ぐ溺死事件の解明に取り組んでいると報じた。

 もっとも疑わしいのは、4月13日にコロバンス・ドライブ・ブリッジ近くのシカゴ川から引き上げられた、リチャード・ガルシアさん(46)のケースだ。遺族は、リチャードさんの遺体が発見されたとき、仕事着であるフェデックスの制服を着たままだったと語った。

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 ガルシアさんは、3月にサウスサイドの自宅から行方不明になっていた。クック郡検視局は、彼の死因と状況はまだ保留中だと語った。

 海軍水兵のシェイマス・グレイさん(21)の遺体は、失踪から6日後にミシガン湖で発見された。

 グレイさんの死因は溺死で、目立つ外傷はなかったが、死の状況は未確定となっている。

 ジョエル・オルドゥノさん(24)は、2月に行方不明となり、3月16日シカゴ川から遺体が引き上げられた。死因は溺死だったが、経緯は未確定だ。

 アンソニー・ラッカー(23)さんの遺体は、行方不明とされてから3日後の2月16日、やはりシカゴ川で発見された。検視局は、自殺による溺死と裁定した。詳細は明らかになっていない。

 ウァルダー氏によれば、水死事件は法医学的な証拠が残らないことが多く、捜査は困難になるという。

 ウァルダーさんはまた、死のクラスターと呼ばれる状況を指摘する。つまり、複数の事例が集中した時間枠で報告されることだ。

 こうしたクラスターは、さらになにかが起こることを暗示していることが多いと、ウァルダーは言う。

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photo by Pixabay

 記録によると、シカゴだけで、2023年4月に地元の水域からふたりの遺体が引き上げられ、昨年12月にはふたり、2022年4月には4人の遺体が、わずか数日の間隔で発見されている。

 2022年12月には、クジシュトフ・ズベルトさん(21)ピーター・サルヴィーノさん(25)の遺体は、数日違いで発見されている。両氏の死因はエタノール中毒による溺死であることが判明し、状況は事故とされた。

 ふたりが単独でミシガン湖に入ったのを、監視カメラの映像がとらえていたという。

 その他の場所では、今年これまでに、オースティンのレディバード湖から5人の遺体が回収された。

残念ながら、バーに行って酔っぱらった後で、間違った選択をする人もいれば、誤って水中に転落する人もいます。でも、これだけ相次いで溺死者が続くと、単なる偶然や事故だとは思えなくなります(ヴァルダー氏)

連続殺人犯説に意義を唱える専門家も

 しかし、元ニューヨーク市警で、ジョン・ジョイ刑事司法大学教授のジョゼフ・ジャカローネは、連続殺人犯説は疑わしいとして、徹底した調査の重要性を強調した。

ソーシャルメディアが、こうした陰謀論の多くを煽っているようですが、捜査当局はそうしたことはすべて頭から追い払って、自分たちがやるべきことをやるだけです」ジャカローネは語る。

「私は、すべての死を殺人ではないと証明できるまで、殺人だという前提で扱う学校の出身です。それは、二度目の殺人のチャンスはないからです」

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photo by Pixabay

テキサス州の湖でも今年に入り5人の遺体が引き上げられる

 ちなみに、テキサス州オースティンにあるレディバード湖でも、今年に入ってから既に5人の男性の遺体が発見されており、連続殺人犯の疑惑が広がっているが、テキサス州当局では、警察は連続殺人の証拠は見当たらないと主張している。

 それでも一連の死亡事件は住民たちに深刻な不安をもたらしており、市議会は、近隣のトレイルに柵と照明を設置し、さらに公園レンジャーも増員したそうだ。

References:At least 16 bodies pulled from Chicago waterways since 2022, promoting serial killer fears: 'Not just a coincidence anymore' / written by konohazuku / edited by / parumo

 
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偶然にしては多すぎる。2022年以降16人の遺体が引き揚げられたミシガン湖水域の謎