つくばエクスプレス線東京駅延伸と臨海地下鉄の接続に関して、運営会社である首都圏新都市鉄道は慎重な姿勢を示しています。果たして具体化の余地はあるのでしょうか。

首都圏新都市鉄道は「慎重にならざるを得ない」

つくばエクスプレス(TX)沿線の自治体が2023年2月、同線の東京駅延伸と臨海地下鉄新線との接続に関する要望を、運営会社の首都圏新都市鉄道に対して連名で実施しています。7月に入り、その回答を明らかにしました。

TXの東京駅延伸は 、鉄道整備の方向性を示す交通政策審議会答申において、国際競争力の強化に貢献するプロジェクトとして位置付けられています。また、東京駅で勝どき・有明方面への新たな鉄道新線「都心部・臨海地域地下鉄」と接続させることも想定されています。

沿線自治体は以前から首都圏新都市鉄道に対して東京駅延伸の要望を行っており、2022年は7月に実施しています。ただ、同年11月に東京都が「都心部・臨海地域地下鉄」の事業計画案を公表したことを受け、早期に地下鉄接続案の需要予測などに関する調査の実施を同社に求めるため、 2023年2月に再度要望を行った経緯があります。要望は、つくば市つくばみらい市守谷市流山市三郷市八潮市足立区荒川区、柏市の連名で提出しています。今回は、足立区が会社側からの回答結果を公表しました。

首都圏新都市鉄道は要望に対し、「現状および将来を見据えて、どのような前向きな事業を進めていけるかについては、慎重にならざるを得ない」としたうえで、「コロナ禍の間にリモートワークなどの働き方や生活スタイルの変化が定着したことや、2022年度から続く世界的な物価高など厳しい状況であり、安定的に運行を続けていくことが一番の課題である」という見解を示しました。

今後については「地下鉄構想について、東京都はこれから徐々に精度を上げて検討し、追々情報が出てくると思うので、しっかりとタイミングを逃さずに聞いていきたい」と返答。「秋葉原~つくばのお客様にご迷惑のかかるような、また、新たな負担をかけるようなものにならないことが重要である」と指摘しています。

TXの延伸に関して、沿線自治体や住民の期待は高まっていますが、運営会社は昨今の厳しい情勢も踏まえ、あくまで慎重姿勢を示した形です。現時点で実現の目途はたっていませんが、臨海地下鉄構想の進捗とあわせて今後の動きが注目されます。

つくばエクスプレス(画像:写真AC)。