10th Anniversary 浦島坂田船 SPECIAL TAG LIVE2023 URASAKA KINGDOM 〜Dark Side Fantasy〜
2023.7.2 東京ガーデンシアター

「うらさかツーマン、いつか絶対やりますので、そのときはまた会いにきてください」

5か月前、あほの坂田。の想いを背負いステージでそう誓ったうらたぬき。約束はしっかりと果たされた。

活動開始から10年を迎える浦島坂田船が、2月11日&12日の2日間にわたって東京・東京ガーデンシアターにて開催した、全4公演の『10th Anniversary 浦島坂田船 SPECIAL TAG LIVE2023』。あほの坂田。の体調不良により、うらたぬきあほの坂田。による『URASAKA KINGDOM ~Dark Side Fantasy~』は残念ながら中止となったものの、うらたぬきが代替公演として両日ともソロライブを無料で行うという英断を下したあのときから、約5か月。2023年7月2日に東京・東京ガーデンシアターにて、『URASAKA KINGDOM ~Dark Side Fantasy~』の振替公演が開催された。“うらさか”の底力を思い知った夜公演の模様をお伝えする。

深紅のドレープ幕で飾られ、シャンデリアが下がり、ギリシャ様式の柱が置かれた荘厳なステージ。ダークファンタジー全開なオープニングムービーに続いてステージ上段にスポットライトが当たると、そこにはキービジュアルを思わせるマントをまとい玉座に悠然と腰かけたうらたぬきあほの坂田。の姿が。1曲目は、うらたぬきとなりの坂田。名義のコラボ曲「ダークサイドファンタジー」だ。巻き舌や不敵な高笑いでドSな王子と化して、ダンサーとともに華麗に舞ううらたぬきあほの坂田。。やっぱり最強の2人だとあらためて思う。

「最高の時間にしようぜ!」とあほの坂田。が叫んだ「KING」。背中合わせになったうらたぬきあほの坂田。が声を合わせてタイトルコールした「ロメオ」。それぞれの<さあおいで>に、こたぬき(うらたぬきファンの呼称)&坂田家(あほの坂田。ファンの呼称)が大歓声を上げる。

かいしんのいちげき!」では、<僕の恋>でうらたぬきあほの坂田。が手を合わせてハートマークを作ったり。「このふざけた素晴らしき世界は、僕の為にある」では、うらたぬきが歌詞をアレンジして「みんなに会う為にきました!」と客席に向かって叫んだり、あほの坂田。に「昼はなに食べた?」と聞くと「弁当!」と元気にこたえたり、「坂田はうらさかどっちが好き?」と究極の選択を迫るとあほの坂田。が「どっちも好き!」と即答したり。息ぴったりな<お前ら愛してるぜ>や、最後の「せーの」からの大ジャンプなど、眼福耳福の極みだ。

切なさたたえる2人の歌声に心揺さぶられた、うらたぬきが2015年に動画投稿した「ハートの後味」。観客を巻き込んでの旗あげゲームやペンライトでのウェーブの最中に2人の素の笑顔も見られた「生涯ライバル」。たくさんのアドリブに仲の良さがにじんだ「どっちつかずLOVERS」。うらたぬきに冒頭で急接近されたり歌詞に合わせ目隠しをされたりしたあほの坂田。が照れたように笑った「プリンセスに口づけを」。大きくコールしてペンライトを振るこたぬき、坂田家との一体感も際限なく高まっていく。

『URASAKA KINGDOM』は4年ぶりの開催ということで、幕間VTRではうらたぬきあほの坂田。が仲良くお祝いのケーキ作りをして、試食時にはアーンし合う場面も。その後、うらたぬきがサプライズで用意した別のケーキにチョコペンで書かれていたのは、「バレリーコ」という文字。そのまま「バレリーコ」へとつながる、粋な演出だ。再びステージに現れた2人、うらたぬき黒インナー&黒ハーフパンツに緑のジャケット、あほの坂田。は白インナー&白ハーフパンツに白ジャケットというカジュアルなコーディネート。2人に煽られたこたぬき&坂田家の<エッサホイサ><もう限界だ>の大合唱も楽しい。

キレッキレでダイナミックなダンスでも沸かせた「百花繚乱デンジャービーツ」のあとのMCでは、うらたぬきの提案でなぜか2人がジャケットを交換することに。とんでもないボリュームでコール&レスポンスが巻き起こった「スーパーヒーロー」、うらたぬきあほの坂田。の肩に手を回したり、歌詞に合わせあほの坂田。うらたぬきの腕の下をくぐりぬけたりした「シアワセは台本の外から」。あほの坂田。が真っ直ぐに歌と想いを紡いだ「ホシアイ」。うらたぬきがロングトーンでも魅せた「テオ」。うらたぬきが「坂田ー!」とあほの坂田。をステージに呼び込み、ラストは「最高の相棒だぜ!」とうらたぬきが言って2人でグータッチをきめた「シルエット」。懐かしのナンバーの連打に、こたぬき&坂田家のさまざまな記憶や感情が呼び起こされたりもしたのではないだろうか。

過去を辿った勢いでクマムシの「あったかいんだからぁ♪」やSEKAI NO OWARIの「Dragon Night」の一部を披露するという大サービスもありつつ、浦島坂田船のナンバー「世界で一番好きな名前」では、アルバム『L∞VE』のツアー衣装である学生服ブレザーを着て登場し、歌もダンスもかわいいに振り切った2人。一転、ジャケットを脱いでノースリーブ姿になった「Pink」では歌でもダンスでも艶っぽさを爆発させて、ハイキックダンサーとの千手観音ダンスでも圧倒。浦島坂田船としても、ソロとしても、“うらさか”としても、表現を追い求めて進化し続けているのだ。

またまた2人で手を合わせハートマークを作った「Trip-Trap, Love Trap!!」に続き、うらたぬきとなりの坂田。名義のコラボ曲「VS」では、<Wasshoi!!!><Sore Sore Sore Sore>コールが轟く中、<共に誓いあった>者同士、<裏道>も<坂道>もひるまずに突き進んでいく覚悟を見せたうらたぬきあほの坂田。。あまりにエモーショナルじゃないか。

「あらためまして、ライブを休んでしまって申し訳ない気持ちと、こうして温かく迎えてくれてありがとうという気持ちでいっぱいです。活動を14年やってきて、体調を崩してライブを休んだのは初めてのこと。とんでもないことをしてしまいました。あのとき急きょワンマンをやってくれたうらたさんや、スタッフさん、ファンのみなさんにこれから長い時間かけてお返ししていきたいと思います。こんな僕ですけど、これからもよろしくお願いします」

あほの坂田。がそう謝罪と感謝の言葉を口にすると、「坂田に「おかえり」って言おうぜ」とこたぬき&坂田家に呼びかけるうらたぬき。みんなの「おかえり!」、あほの坂田。の「ただいま」。あらためてグータッチする2人。ここはとても温かい場所だ。

本編ラスト、浦島坂田船の「ユメミドリ」では、うらたぬきが<隣にいつも>「坂田」<いるから>と、あほの坂田。が<隣にいつも>「うらた」<いるから>と歌い、すれ違いざまにハイタッチした2人。なにがあっても支え合い信じ合う2人の絆は、強く美しい。

「うらさかの事好きですかー?」の問いにこたぬき&坂田家が全力で<ハーイハイハイハーイハイ>とこたえた「イノコリ先生」で始まったアンコール。ここで収録されたこたぬき&坂田家のコーラスは投稿予定の新曲に使われるとのことで、またひとつ楽しみが増えた。そして、ラストはうらたぬきあほの坂田。が生声でタイトルコールした「最強ライバル」。まさに好敵手である“うらさか”、これからもきっと最強伝説を更新していく。


文=杉江優花
撮影=小松陽祐

うらたぬき×あほの坂田。