公職選挙法10条が被選挙権年齢を25歳または30歳と定めていることに対し、国民主権や選挙の平等を定めた憲法に違反するなどとして、19〜25歳の原告6人が7月10日、東京地裁に提訴した。

6人は2023年3〜4月の統一地方選で立候補を届け出たが、年齢が満たないために不受理となった。主権を行使する機会を失ったとして、それぞれ国に対して10万円を請求している。

原告の能條桃子さん(25歳)は「高齢の国会議員に『まずは子どもを産んでから。ママ枠なら通用する』などと言われたことがあります。話が全然噛み合わない」。鹿児島大4年の中村涼夏さん(21歳)も「大人に操られているなどというバッシングをされることがあります。それは年齢差別です。私は自分の意思でここにいます」と訴えた。

●社会課題に取り組む6人が原告に

能條さんは若者の政治参加を推進するNO YOUTH NO JAPANの代表を務める。原告の一人、久保遼さん(19歳)も同団体の仲間の一人だという。

中村涼夏さんは気候変動問題に高校時代から取り組み、唯一の地方からの参加。この日も朝の飛行機鹿児島から駆けつけた。東京以外から声を上げることの意味を語る。

「私の2倍の年齢の人が『若手』といわれています。地域性などもあって、地方では若者が特に声が上げづらく、政治参加しづらいかを、この訴訟で可視化できればと考えています」

このほか、吉住海斗さん(23歳)は児童養護施設の子ども向けサービス、Chico.さん(23歳)はジェンダー問題、中村涼香さん(23歳)は非核問題など、それぞれ社会課題に取り組んでいる。

●「若いから立候補できない」合理的根拠は?

今回、国に対する請求は3つで、▽次回統一地方選に立候補できる地位確認▽国が年齢を理由として規定を改廃しないことの違憲確認▽新たな立法をしなかった不作為は国家賠償法違反ーと訴えている。

原告側は、在外選挙権に関する判決で最高裁が2005年に示した基準は、「選挙権またはその行使の制限はやむを得ない事情がない限り原則として許されない」としており、被選挙権についても採用されるべきだとする。

成人年齢が18歳に引き下げられ、選挙権だけでなく裁判員なども務められるようになっている。立候補のみを制限するのは、合理的根拠がなく「若者に対する差別」だと訴える。

主任の戸田善恭弁護士は「若者の被選挙権について特化し、『若者差別』を正面から問うた裁判は初めて」と説明。亀石倫子弁護士は、50歳以上の市議会議員が全体の8割を超えているとし「若者の政治に対する諦めや無関心につながっている。自分たちの生きやすい社会にするために立ち上がった原告に敬意を抱いています」とエールを送った。

「若者が立候補できないのは差別だ」19ー25歳が国を提訴、被選挙権年齢引き下げ求める