大倉空人

 7人組ダンスボーカルユニット「原因は自分にある。」の大倉空人が、7月7日(金)に公開のホラー映画ヒッチハイク』に出演。親からの過干渉に苛立ちを感じている主人公・山崎健を演じる。2ちゃんねるオカルト版スレッド「死ぬ程洒落にならない怖い話を集めてみない?」(通称“洒落怖”)で話題となり、“洒落怖”の中で最もトラウマになると怖れられた都市伝説ホラー『ヒッチハイク』が映画化。インタビューでは、本作が初主演映画となった大倉に、座長として心掛けていたこと、本作から得た役者としての課題、自分はヒッチハイクはできないと語るその理由を聞いた。【取材・撮影=村上順一】

ジョージ一家は狂気がにじみ出ていて怖かった

村上順一

大倉空人

――初主演おめでとうございます! お話聞いた時はどんな心境でしたか。

 今回オーディションで選んで頂いたのですが、自分が主演なんてと思っていたので、聞いた時は喜びよりもびっくりと言いますか、衝撃の方が大きかったです。本当に喜べたのは皆さんとの顔合わせが始まった段階ぐらいで、やっと自分が主演なんだと思えて、改めて嬉しさを感じました。

――実感するまでにちょっと時間がかかって。

 はい。自分でも信じきれなくて、マネージャーさんに「本当に主演ですか? 出演じゃなくて主演ですか」と聞いてしまいました。文字の打ち間違えなんじゃないかと思ったぐらい信じられなかったです。

――ホラー作品はプライベートで、よく観られますか。

 プライベートではほとんど観たことはないんです。小さい頃に映画『ジョーズ』やキョンシーが登場する『霊幻道士』を観たことはあったのですが、それがとても怖くて、そこからお化けとか、ホラー作品が苦手になってしまい、見れてないです。

――ホラー作品の撮影は意外と怖くないと聞いたこともあるのですが、大倉さん、撮影はいかがでした?

 お芝居という前提もあって、全体的にはそこまで怖くはなかったのですが、川﨑麻世さん演じるジョージとその一家は狂気がにじみ出ていて、撮影中もなんだかんだで本当怖かったです。

――座長として心がけていたことはありました?

 ありました。主演の方々がどう現場で立ち振る舞っているんだろう。や、クランクアップの時にどうされているんだろう? など調べました。お芝居の部分はまだまだなので、そこで皆さんを引っ張っていけない分、まずは形から入ろうと思って(笑)。

――形から入るのも重要ですよね(笑)。例えばどんなことをやられたんですか。

 クランクアップの時に「ありがとうございました」とみんなと握手をしたりしました。

――では、演技として心がけたことは?

 親からの過干渉にすごいストレスを感じている役なのですが、過干渉という面は、僕は全く経験がないので、その気持ちを作るのは難しかったです。宏周くん演じる悪友の和也と一緒にヒッチハイクを始めるところから物語はスタートするのですが、親に対してウザい気持ちや苛立ちなど、色々あった感情が最後には変化していきます。僕はその変化の過程をしっかり見せたいと思っていました。そして、『ヒッチハイク』は伏線が回収されていくホラー映画なので、表情などでそれが伝わるような演技を意識していました。

――自分が経験したことがないものを演じるのは難しいですよね。

 そうなんです。僕の場合、親からの干渉というのはあったとしても「勉強しなさい」「ゲームはもうやめなさい」とかライトな感じでした。健のような干渉は僕にはなかったので、自分でイメージしたもので演じる難しさはありました。

――ちなみに山崎健を演じるにあたって調べたこともありました?

 はい。僕の身近に健のような境遇の人がいて、実際に話を聞きました。それは健を演じるにあたってすごく参考になりました。

――今回、主演としてのご自身の点数をつけるとしたら?

 うーん、難しいですが、自信を持って演じましたし、新たな課題も見つかったので、120点をつけさせて下さい。昨年『レッドブリッジ』というヤンキー少年をメインとした映画に出演させていただいたのですが、その時に反省した部分を『ヒッチハイク』に活かすことができたと思いますし、上手くできたんじゃないかなと。そして、また新たな課題が見つかりました。

――新たな課題とはどんなものですか。

 今回『ヒッチハイク』でわかったことがあって、自分は独り言が苦手なんだということがわかりました。それは健の変化に繋がるような独り言だったので、そこをもう少し強められたらと思いましたし、1人で喋るお芝居はもっと身につけたいなと思いました。

――共演者の方とのコミュニケーションはいかがでした?

 川﨑さんが先にクランクアップされて、その時に「空人はすごくお芝居がいいから、まだまだ撮影があるけど、最後まで自信を持って」と仰ってくださったのが印象的でした。撮影は数日間だったのですが、その言葉をいただいてちゃんとやれていたんだなとホッとしました。川﨑さんの言葉で最後まで走りきれました。

 そして、中村守里さんとは以前ドラマで一緒になったことがあって、その時が初対面でした。当時も仲良くお話させていただいたので、今回もすごく楽しく撮影できました。平野宏周君はムードメーカーで、宏周君のおかげで現場もすごい明るくなって、楽しい現場でした。

――どのような話題で盛り上がりました?

 世代についての話題でした。川﨑さん、宏周君、守里さん、それぞれの世代の仮面ライダーの話題や、川﨑さんとは世代が違うというところで、「この言葉知ってる?」といった話で、すごい盛り上がりました。

役を通して色んな人物になれるところが楽しい

村上順一

大倉空人

――ホラー作品だと不思議な現象が起きることもたまにあると聞いたことがありますが、撮影中とか何かありました?

 何も起きなかったです! 母に持ってきなさいと言われたので、塩をコンビニで買って持っていきました。僕は特に霊感みたいなものは持っていないので、何かあったとしても気づかないから、別に塩はいいかなと思っていました。僕は実家暮らしなので、母が「もし幽霊を連れてきたらどうするの!」って(笑)。

――あはは(笑)。

 両親はそういうのを割と感じやすいタイプみたいで。

――今回主演を務めて、お芝居への意識も変わったと思いますが、お芝居のやりがいは今どこに感じていますか。

 僕はまだ演技の経験が浅いので、色んな方と関われて、お話を聞けるというのは、すごく貴重ですし、役を通して色んな人物になれるというのもすごく楽しいです。そこにやりがいを感じています。

――普通だったら経験できないようなことも役を通してやれますから。

 そうなんです。今回だとプライベートでヒッチハイクはしたことはなかったのですが、この作品で体験できましたし、こういうお仕事だからこそだなと感じています。

――ヒッチハイクはやったことがないというお話でしたけど、ヒッチハイクの魅力に気づいたところはあります?

 僕、ヒッチハイクはたぶんできないです。本作のように怖い目に遭うんじゃないかと思ってしまうので(笑)。僕の性格上、よく知らない人の隣に座るというのはちょっと難しくて。だいぶ仲良くなってからじゃないと、僕の性格的にヒッチハイクのようなものは難しいと思っています。

――それがもしできるようになった時はマインドがめちゃくちゃ変わった時ですね!

 今の大倉空人とは違う自分になっている気がします。初対面で自分を出すのが苦手で、少し人見知りの部分があります。ある程度会話をしてからじゃないと仲良くなれなくて。相手を見てしまうと言いますか、 初対面だとその人のことがわからない部分があるので、そこを探ってしまい、それでちょっと人見知りぽくなってしまうんです。

――ところで、今後どんな役を演じてみたいですか。

 警官役をやってみたいです。今までどちらかというと悪い感じの役しかやったことがなくて。これまでの僕は少年院に入ったり、立てこもったりする役が多かったので、今度は逆の立場になってみたいです。

――それが実現したら、また新たな一面が見れそうですね。最後に大倉さんが思う『ヒッチハイク』の見どころは?

 ホラー作品としての怖さはもちろんですが、山崎健が作品の中で成長していく姿に注目してほしいです。それぞれのキャラクターがどの場面でどういう行動するのか、というところに注目してもらえると面白いと思います。どんどん伏線が回収されていくその気持ちよさや、併せてジョージ一家の怖さも体験してほしいですが、人間味の溢れる行動や葛藤、そういう部分もぜひ劇場で楽しんでいただければ嬉しいです。

(おわり)

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