岡田監督は打順を「決めたら変えない性格」だと佐藤氏はいう(C)KentaHARADA/CoCoKARAnext

 7月9日甲子園阪神ヤクルトと対戦し、終盤の8回にルーキー森下翔太の決勝ホームランが飛び出し、1-0で試合を制している。

 今月、すでに2度の完封負けを喫するなど、主力打者の不振が目立ち、打線のつながりもみられない阪神は、この日もヤクルト先発の高橋奎二から点を奪えずに試合が進んだ。しかし、阪神先発の西純矢も好投、両者による投手戦が繰り広げられる展開に。両軍、無失点のまま迎えた8回裏、この回先頭の森下がヤクルト3番手・木澤尚文の初球をとらえると、打球は左中間スタンドギリギリに飛び込んだ。

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 プロ初アーチが値千金の一発となる、森下の決勝打で甲子園が湧いたこのゲームの白星で阪神は連敗をストップ、接戦を制した結果となった。しかし、投手陣の踏ん張り、新人の殊勲打以外では、チーム全体で5安打にとどまるなど、やはり打撃陣の不甲斐なさが拭えず、勝利したゲームではあったものの、球界関係者からは辛口のコメントも発せられている。

 球界を代表する名投手コーチとして知られる佐藤義則氏が7月10日に更新したYouTubeチャンネル『佐藤義則チャンネル』の中で、このゲームの阪神の戦いぶりなどについて振り返った。

「西と森下の活躍が目立ったゲームだった」

 ゲーム全体の印象をそう語りながらも、低調な状態が続く打撃陣には、「1点を取る為の野球ができなかった」と述べており、好機で犠牲フライでの得点が無かったことや、犠打でランナーを進めるなどの策がみられなかったことを悔やんでいた。

 さらに「バッターが何をしなきゃいけないか、考えていないわけではないだろうけどそれが見えないのが残念」と打撃陣全体に向け、打席に立つ際の意識にも疑問を投げかけており、「佐藤(輝明)にもバントのサインがあっても良いのでは。無理であれば代打を送ることも必要」と攻撃時の采配、選手起用にも見解を示している。

 また佐藤氏は2004年に岡田彰布監督のもと、投手コーチを務めた経験もあることで、指揮官の性格にも言及。一軍復帰後、4試合で1安打の佐藤輝の5番起用が続いていることに触れ「チーム、監督の方針だから」と前置きしながら、「岡田監督は(打順を)決めたら変えない性格」と話している。

 加えて、2004年当時、ルーキーだった鳥谷敬も同様に、結果が出ない中でも起用されていたとして「打てなくても使われることは良いことだけど、周りのコーチは(監督の)意地で使っているようにも思ってしまう。それにより、チームの結果にも響いた」とコーチ時代の心境を吐露していた。

 佐藤輝については「本当は7・8番が相応しいかもしれないが、打線の並びをみても(スタメンで起用する上では)やはり5番を打たせる以外ないかもしれない」とも語っている。

 岡田監督の古巣復帰1シーズン目、首位という結果を残していながらも、夏場を迎え簡単ではない戦いが続いている。もう一度、上昇気流に乗る為には、何よりも主軸をはじめとする打撃陣の奮起が必要なのは言うまでもない。

[文/構成:ココカラネクスト編集部]

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