自らも5人の子供を抱えるシングルマザーが、10代の少女と幼い3つ子を引き受けることは、並大抵のことではない。
だが、アメリカのインディアナ州に住む看護師のカトリーナ・マレンさんは、4人を自宅に迎え入れた。
今年、17歳になった少女を正式に養子に迎え入れたカトリーナさんは、現在子供たちがたくさんいる家で、子育てと学業に専念する少女をサポートする日々を送っている。
NICU nurse shares why she opened her home to teen with triplets
インディアナ州インディアナポリスの病院「コミュニティホスピタルノース」の新生児集中治療室(NICU)で、新生児看護師として働く5人の子供のシングルマザー、カトリーナ・マレンさん(45歳)は、2020年に病院に出産に来た14歳のシャリヤ・スモールさんが、いつも1人であることに気付いた。
自身も16歳で出産経験があるカトリーナさんは、シャリヤさんが14歳であることに驚いたものの、シャリヤさんの個人的事情はまったく知らず、無理に聞き出そうとはしなかった。
当時中学2年生だったシャリヤさんも、自分の私生活についての詳細は明かしたくないと、はっきりと口にしていた。
間もなくして、シャリヤさんは妊娠26週で3つ子のセレニティーちゃん、サマリちゃん、サラヤちゃんを出産。早産だったため、3つ子たちは新生児集中治療室(NICU)で5カ月以上を過ごした。
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カトリーナさんは、何日も一人で赤ん坊のベッドサイドに座っているシャリヤさんを見て、「サポートしてくれる人はいないのかな」と気にはなったが、時間を与えれば心を開いてくれるかもしれないと思い、5か月の間新生児の世話について教えた。
代わりに、シャリヤさんはカトリーナさんにTikTokについて教えてくれたという。
カトリーナさんに少しずつ心を開いたシャリヤさん
やがて、2人は少しずつ会話をするようになった。
カトリーナさんは、自分が16歳のときに息子を養子に出したことをシャリヤさんに明かしたとき、シャリヤさんのなかで何かが変わったようだった。
私が10代で母親になったことを彼女に話してから、私たちの間に本当の信頼関係が生まれ始めたのです。(カトリーナさん)
シャリヤさんは、14歳で妊娠・出産をすることに対し、周りの人は自分を批判しているように感じると、心の内をカトリーナさんに明かしたそうだ。
だが、カトリーナさんは一度もそのような目でシャリヤさんを見たことはなかった。それが彼女に伝わったのだろう。
3つ子が退院できるようになったとき、カトリーナさんはシャリヤさんに携帯電話番号を教えた。
その時点では、シャリヤの家族のことなど、なにも聞いていませんでした。
ただ私は、「何か必要なことがあったら電話して。話したいこと、聞きたいことがあるなら、私はいつでもここにいるから」とシャリヤに言いました。
以来、シャリヤさんは定期的にカトリーナさんにテキストメッセージを送信したり、ビデオチャットをしたりするようになったという。
彼女が激しく泣いている時は、私は話を聞いて、「あなたなら大丈夫よ」「あなたはきっとできるわ」とサポートするようにしていました。
私との会話が、あの子の助けになっていたようです。
でも、私は彼女の周りのサポート体制について、ますます懸念を抱くようになりました。 なぜ彼女がそんなに頻繁に電話をかけてくるのか、理解できませんでした。
シャリヤさんは育児に不適切な環境で暮らしていた
ある休日、カトリーナさんはシャリヤさんが親戚と一緒に住んでいるというインディアナ州ココモまで、車で1時間かけて向かった。
そして、自分が見た光景に驚いた。
3つ子は、幼児用ベビーサークルで一緒に寝ていて、シャリヤはソファに追いやられていました。
そこは、彼女にとって赤ちゃんを育てるに適した場所でないと思いました。
カトリーナさんは、生まれた時から消化器系の問題を抱えていたシャリヤさんの息子サマリちゃんの健康状態も心配していた。
サマリちゃんは、とても痩せているように見え、全身が湿疹で覆われていました。
シャリヤさんはカトリーナさんに「医師がサマリの処方を変更したが、それでも嘔吐し、体重が減少した」と説明した。
フィラデルフィア小児病院によると、サマリちゃんは近くの病院に入院し、発育不全と診断されたという。
つまりサマリちゃんは、栄養不足により、体重測定値が3~5パーセンタイルを下回る状態になっていたのだ。
サマリちゃんの診断について病院から通知を受けた社会福祉省(DSS)は、シャリヤさんに連絡。その後、シャリヤさんと3つ子は、福祉の職員によって家から連れ出され、保護された。
DSS から電話を受けて、ケースワーカーに「シャリヤはあなたと一緒に住みたいと言っていますが、よろしいでしょうか?」と尋ねられました。(カトリーナさん)
シャリヤさんと3つ子を家に迎え入れる
カトリーナさんは5人の子をもつシングルマザーだ。そのうちの2人セボンテ君(23歳)とシャイ君(22歳)すでに成人していたが、あとの3人セクエイビオン君(16歳)、シャコボン君(14歳)、そしてJJ君(7歳)はまだ家にいた。
しかし、カトリーナさんはためらわなかった。
10代の母親と未熟児の3つ子の4人全員を引き取ってくれる里親を見つけるのは不可能だということは、分かっていました。
だから、私がウチに迎え入れてあげなくちゃ、と思ったんです。
シャリヤとの交流のなかで、あの子が賢くて立ち直る力があること、そして自分の根を張るための安全な場所を必要としていることはわかっていました。
4人を引き受けることは易しいことではないというのもわかっていましたが、私たちなら解決できるだろう、そう思いました。
そう決めたカトリーナさんは、里親になる前に認定を受けるため、すべての里親クラスを受講。3つ子のために、友人や親戚からベビーベッド、ベビーカー、衣類、ベビーチェアなどを寄付してもらった。
最初は二人三脚で3つ子を育てた
4人を迎え入れたカトリーナさんの家は、文字通り大人数の家庭になった。
リビングルームは常に赤ちゃん爆弾が爆発したように賑やかになりました!(笑)
カトリーナさんは、シャリヤさんと3つ子を668日間にわたり二人三脚で育てた。
その間、シャリヤさんは代替高校を優秀な成績で卒業し、現在はカトリーナさんの家の近くの大学に入る準備をしているところだ。
将来、大学で社会福祉のキャリアを専門的に学びたいというシャリヤさんは、現在17歳になった。
カトリーナさんはシャリヤさんがここまで成長したことに驚嘆している。
シャリヤは、難しい感情をコントロールする方法を学び、セラピーでコミュニケーションスキルに取り組んでいます。
常に、子どもたちのニーズを最優先にしているし、母親として本当によくやっていると思います。
最初は、私が3つ子のためにほとんどすべてをやって、彼女が自信を持ったときに観察したり参加したりしていましたが、今はシャリヤが責任者です。
でも、彼女が友達と遊びに行きたいとか、他の10代の友達がやっているようなことをしたいなら、私が代わりにベビーシッターをしてあげています。今、私はほんの少し彼女をサポートしているだけです。
シャリヤさんと正式に養子縁組をして親子に
今年の2月6日、カトリーナさんはシャリヤさんと養子縁組をし、正式にシャリヤさんの養母となった。
シャリヤの母親であることを、私はとても誇りに思います。
彼女は毎日私を驚かせてくれます。赤ちゃんにイライラしても、決して声を荒げません。
彼女は今、素晴らしい女性として開花しつつあります。(カトリーナさん)
現在2歳のセレニティーちゃん、サマリ君、サラヤちゃんは、20まで数えることができ、毎日英語とスペイン語で新しい単語を学んでいるそうだ。
3人は、おばあちゃんにあたる私のことを「ララ」って呼んでいます(笑)
ここまでの道のりは、決して簡単ではありませんでした。でも、シャリヤは、他の10代の子たちと同じように限界に挑戦しています。
私は、母親としてシャリヤをとても愛しています。これからもずっとあの子をサポートしていきたいと思っています。
References:A teen mom with triplets didn't have anyone in her corner. Then her nurse adopted her/ written by Scarlet / edited by parumo
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