食後に嘔吐した男性が病院に運ばれ、CTスキャン検査を受けたところ、食道部分に高密度の物体が詰まっていることが判明した。医師はその正体を確かめるために胃カメラを挿入すると、男性が直前に食べたある食材が詰まっていたという。この出来事は2018年にシンガポールで起きたものだが、最近になって米ニュースメディア『New York Post』などが取り上げたことで話題を呼んでいる。

シンガポールのノベナエリアにある「タン・トック・セン病院(Tan Tock Seng Hospital)」に、男性(当時55歳)が運ばれてきた。男性はシーフードの盛り合わせを食べた後に嘔吐してしまい、ものを飲み込むこともできないと訴えていた。

原因を探るために食道部分のCTスキャン検査を行ったところ、超高密度の塊が詰まっていることが分かった。この時点では詰まっているものが何であるかは特定できなかったため、上部消化管内視鏡検査(胃カメラ)でその詳細を確認することになった。そしてカメラを挿入すると、胃食道接合部(食道と胃の境界)から約5センチ上の食道部分に、足が付いたままのタコがいたのだ。これには医師らも驚いたという。

公開された胃カメラ挿入時の画像には、足をカメラに向けた状態のタコの姿が確認できる。タコの頭の部分は見えないが、この男性はほとんど噛まずにタコを飲み込んでしまったようだ。別の写真では、ブツブツとしたタコの吸盤もはっきりと写されていた。

処置をした医療チームは、食道部分に詰まったタコを胃の方へ押し込もうとしたがうまくいかなかった。最終的に鉗子を用いてタコの頭を掴み、胃の方へ引っ張ったことで、タコを食道から胃へと移動させることに成功した。男性は順調に回復し、2日後に退院したという。

今回の症例について、治療を担当したタン・トック・セン病院のマーク・ウェイジー・オン医師(Marc Weijie Ong)らの論文が、臨床消化器病学および肝臓学に関する医療ジャーナル『Clinical Gastroenterology and Hepatology』に掲載された。その症例報告論文によると、食道に何かが詰まったケースの80~90%は自然に取り除かれるが、10~20%のケースでは内視鏡を用いた処置が必要となり、手術が必要となるのは全体の1%以下だという。また同医師らは論文で「食道の異物を取り出せない場合、内視鏡を介して挿入した器具を用いて胃内に押し込むという手法は成功率が高く、主要な方法として推奨されているが、過度に力を加えてしまうと食道穿孔(食道に穴が開くこと)を起こしてしまう可能性がある」と説明している。

ちなみに先月には、5歳児がガム40粒を飲み込んでしまい、胃の中で大きな塊になったケースが報道され、注目を集めていた。

画像は『New York Post 2023年7月5日付「Doctors flabbergasted after finding octopus in patient’s throat」(Jam Press)(Jam Press/AGA Institute)』のスクリーンショット
(TechinsightJapan編集部 iruy)

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