7月15日(土)から上演される、ミュージカル『テニスの王子様』4thシーズン 青学(せいがく)vs六角に不二周助役で出演する持田悠生。

【写真】本を持ってこちらを見つめる持田悠生

これまでの経験や出演作について振り返りながら、成長を感じたエピソードや芝居への向き合い方、今後の意気込みについてなど、等身大な姿に迫った。

■「誠実に演じるのは当たり前」その先の役作り

――持田さんは現在、ミュージカル『テニスの王子様』4thシーズン 青学vs六角の稽古の真最中とのことですね。

昨日、一幕の初通し稽古をしたところです。まだまだ粗削りですが、みんな必死に食らいついて、演技でぶつかり合う姿勢を見せていました。脚本がすごく面白くて、「これぞミュージカル」という舞台になると思うので、これまで4thシーズンを観てくださった方々もまた、新しい視点で楽しめる作品になると感じています。

――持田さんが演じられる不二周助の見どころを教えてください。

不二はシングルスプレイヤーのイメージが強いキャラクターですが、六角戦では菊丸英二タッグを組んで、ダブルスに挑みます。菊丸とのダブルスはかなりレアなので、僕も少し緊張しています。

――不二を演じて3年目に入りましたが、心境の変化は?

キャラクターに対する向き合い方が変わってきた気がします。誠実に演じるのは当たり前のことなんですが、自分を完全に切り離し、感情をキャラクターに全部預けて、それを客席に届けるということに集中するようになりました。

「こう見せよう」と頭で考えて演じてしまうと、自分の感情が乗ってしまって、オーバーに伝わりすぎてしまうと思ったんです。常に「不二ならどうするか」ということだけを考え、舞台に立つように心がけたいです。次の六角戦で言うと、手塚が不在の中、その気持ちを背負ってコートに立つ不二の感情に、自分をどうリンクさせるかがポイントだと思っています。

――不二というキャラクターと向き合い続けるということでしょうか?

僕はもう、ずーっと不二先輩のことを考えまくっているので、どんな不二ファンの方にも負けないくらい、不二周助について語れる自信がありますよ!

■自分の未熟さを思い知らされた出演作

――では、これまでの出演作を振り返ってみて、俳優として自身の成長を感じた出来事について教えてください。

学生時代の僕は割となんでも器用にこなすタイプで、要領がいいというんでしょうか…天才なんで(笑)。というのはもちろん冗談ですが、わりと効率よく最短ルートで目標を達成することができていたんです。

それが、迷宮歌劇「美少年探偵団」の足利飆太(あしかがひょうた)役を代役で演じることになった時に初めて、自分のキャパシティーを超えてしまって。あまりに大変だったので、その時の記憶がほとんどないくらいなんです。

でも、それだけがむしゃらに何かに没頭した経験はなかったので、大きく自分が成長できた気がします。自分で自分を追い込んでいくような感覚でした。さらに、今年また新たに俳優として大きな壁を迎えました。

――さらなる困難がありましたか?

Stray City シリーズ「Clubキャッテリア」に出演させていただいたときに、自分の未熟さを思い知らされたというか、自分のプライドがへし折られるくらいの挫折を味わいました。そもそも、自分と周りのキャストとの実力の差が開きすぎていて。みんなが当たり前にできることがまったくできない事実に直面しました。「お芝居って、好きでやってるだけじゃダメなんだな」と、改めて認識させられました。

――そういう時に周囲に相談できる人はいますか?

それがめちゃめちゃいるんですよ! ありがたいことに僕は本当に人に恵まれていて、周りの皆さんが助けてくれるんです。中でも、一番助けてもらっているのは廣野凌大くんです。「美少年探偵団」で死にそうになっていた時から、本当に支えてもらっていて。俳優としてはもちろん、人としてもすごく尊敬できる先輩です。

仕事の面でも、プライベートでも学ぶことが山ほどあります。礼儀正しく、謙虚で、実力があるからこそおごらない。…って、あんまり褒めると本人は絶対嫌がると思うんですけど(笑)。でも、あいさつの仕方ひとつから、彼から学ぶことは本当にたくさんありました。

■目指すのは3枚目の役どころ?憧れの俳優は…

――ほかに憧れている俳優さんはいますか?

ムロツヨシさんです。ドラマ「大恋愛〜僕を忘れる君と」(2018年、TBS系)を見たときに感動して。それまでも、ドラマの中で人を笑わせるムロさんのお芝居がすごく好きだったんですが、“大恋愛”で改めてすばらしいお芝居を見せてもらって。自分も人の心を動かしつつ、見ている人を笑わせられる役者になりたいと思いました。人が笑っているところを見るのが大好きなので!

――意外と3枚目にチャレンジしたいタイプなんですね。

そうなんです! 僕は性格的にも座長とかは向いていないので、脇で人を笑わせたり、ムードを作れたりするようなお芝居がやりたいんです。コメディーもたくさん挑戦したいと思っています。それこそ、廣野凌大くんと一緒に二人で悪役コンビなんかを演じて、主人公をいじる役とかがやってみたい(笑)。アニメ「ポケットモンスター」のロケット団みたいな感じ! ぐちゃぐちゃにかき回すようなお芝居をやってみたいですね!

■アニメが好き!演じたいのは「【推しの子】」のアクア

――稽古期間中で忙しい毎日だと思いますが、お休みがある時はどんなことをして過ごしていますか?

廣野凌大くんとは、休日もよく一緒に遊んだりします。普通に僕の友達を紹介したり(笑)。そういうときも廣野くんは丁寧に接してくれるんです。あとは荒牧慶彦さんも仲良くしてくださっていて。一緒にカードゲームで遊んだりしてます。

それに、青学メンバーも本当に仲がいいんですよ! コロナ禍で、なかなか遊びに行ったりするのは難しい時期もあったんですが、とにかくみんなで一緒にいたくて(笑)。舞台期間が終わって、千秋楽を迎えるときに一緒にいられなくなるのが本当に悲しいんです。「もっとずっと一緒にいたい!」って思える、本当に仲がいいチームです。この間はみんなで映画を観に行ったりしました。

――では、家ではどんな過ごし方をするんですか?

アニメを見ていることが多いです。最近は「地獄楽」を見ています。「鬼滅の刃」も好きですね。なかでも時透無一郎というキャラクターが大好きで。…あと、もし自分が演じることができるとしたら「【推しの子】」のアクアをやりたいです!

――その時には座長になると思いますが、大丈夫ですか?

そうだった(笑)。でも、幅広い役柄に挑戦したいと思っているので、今は何でもやってみたいです!

撮影=山内洋枝/取材・文=NIKITA/ヘアメイク=村田樹/スタイリスト=齋藤良介

持田悠生/撮影=山内洋枝