カリフォルニア州北部地区米国連邦地方裁判所は現地時間の7月11日(火)、マイクロソフトによるアクティビジョン・ブリザードの買収計画について、米連邦取引委員会(以下、FTC)が求めた仮差し止め命令の請求を棄却した。

 マイクロソフトは2022年1月、『コール・オブ・デューティ』ディアブロオーバーウォッチなどで知られる海外の大手ゲームパブリッシャー、アクティビジョン・ブリザードの買収が合意に達したことを発表していた。買収の規模は687億ドル(当時のレートで約7兆8700万円相当)で、2023年度に取引を完了する予定であった。

 これに対し、反トラスト法(独占禁止法)違反の恐れがないか、などについて各国・地域による審査が行われてきている。日本やEUをふくむ多くの当局ではすでに承認済みとなっている一方、アメリカでは審査が続いており、FTCは2022年12月に買収の阻止を求めて提訴を行っていた。

 「ニューヨーク・タイムズ」誌によれば、カリフォルニア州北部地区米国連邦地方裁判所のJacqueline Scott Corley判事は「FTCは、この合併が消費者に損害を与えるレベルで競争を阻害する可能性が高いことを示せなかった」と述べたとのこと。結果として、マイクロソフトとしては買収の成立に向けて前進した形である。

 Xboxの責任者を務めるフィルスペンサー氏は「我々に有利な判決を下してくれた裁判所に感謝しています」と公式Twitterアカウントで発言。より多くのデバイスでより多くのゲームを、より多くの人に提供するという同社の方針をあらためて強調した。

 なお、アメリカ以外の大きな市場の中ではイギリスの競争・市場庁(以下、CMA)が2023年4月に同買収を承認しないとしている。

 しかし、今回の判決後にマイクロソフト副会長兼プレジデントであるブラッド・スミス氏は、CMAの懸念に同意こそしないものの、これらの懸念を解消するために取引の内容の変更を検討しているとコメント。そのため、イギリスでの控訴手続きを停止することでCMAと合意したという。

2022年1月時のアクティビジョン・ブリザード買収に関する「Xbox Wire」公式ニュースはこちら