ともに巨漢を利したファイトが売りのフューリー(左)とガヌー(右)。ド迫力の勝負が期待される両雄の対戦決定には批判の声も寄せられている。(C)Getty Images

 驚きのマッチアップが組まれる。今年10月28日サウジアラビアの首都リヤドで、ボクシングWBC世界ヘビー級王者タイソンフューリー(英国)と、元UFCヘビー級王者フランシス・ガヌー(カメルーン)の対戦が決定した。

 文字通りのメガマッチだ。フューリーはWBC世界ヘビー級王者であり、元WBAスーパー・IBF・WBO世界ヘビー級の3団体も統一した最強の戦士。一方でガヌーも総合格闘技の最高峰とされる米団体『UFC』で「史上最強のヘビー級王者」と謳われた実績を持つ巨漢ファイターだ。

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 フューリーは、IBF・WBA・WBO王者であるオレクサンドル・ウシク(ウクライナ)とのヘビー級統一戦が望まれていたが、今年3月に交渉が決裂。そうしたなかで今年1月にUFCを離脱していたガヌー陣営との話し合いを進め、前代未聞のマッチアップが実現した。

 この試合は10ポイントマスト方式で採点するボクシングルールによって行なわれ、いわゆる「エキシビションマッチ」には当たらない。そのため、ガヌーが王座に就く可能性も注目を集めたが、WBCマウリシオ・スライマン会長は「フューリーに現在正式な挑戦者はおらず、ガヌーとの戦いは我々からも特別な許可をしている」と語っており、ベルトは剥奪されないようだ。

 サウジでの開催とあって大興行となるのは必至だ。ゆえに両雄が手にするであろうファイトマネーも想像を絶する金額になると予想される。すでにフューリーは英ポッドキャスト番組『Out of Interest Podcast』で「ガヌーはこれまでにUFCで得てきた50倍の金額を手にするだろう」と断言してもいる。

 ファンやメディアの間で衝撃を走らせた決定だが、一部では金が目当てという反発も招いている。米コラムニストのケビン・イオール氏は、米版『Yahoo! Sports』に掲載した記事で、この試合を「大衆を欺く詐欺に過ぎない」と糾弾。さらに「最近のボクシングはどうも臭う。この試合は格闘技を愛することを恥ずかしく思うものだ」「正直に言おう。これはお金のために行なわれている」と手厳しく批判し、こう続けた。

フューリーは全くもって無意味なエキシビションにもかかわらず、あたかも偉大な功績を残したかのように振る舞うだろう。それは8桁の給与を手にするからだ。ハッキリ言って、アメリカで実現したとしても興味をそそられない意味不明な試合だ。私はナオヤ・イノウエスティーブン・フルトン、テレンスクロフォード対エロール・スペンスのような本当に価値のある試合をいつでも歓迎している」

 早くも物議を醸し、世界的な話題を振り撒いているメガマッチはいかなる決着を見るのか。その行方は世界の注目を集めそうだ。

[文/構成:ココカラネクスト編集部]


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