米国を本拠とする国際的なマーケティングリサーチカンパニー、J.D. パワー(ジェイ・ディー・パワー)より、2023年の生命保険保全手続満足度ランキングが発表されました。デジタル時代に顧客のニーズを捉え、上位にランクインしたのはどの生命保険会社でしょうか? みていきます。

生命保険保全手続満足度ランキング

J.D. パワーはJ.D. パワー2023年生命保険保全手続満足度調査SMの結果を発表した。総合満足度ランキングは下記のとおり。

第1位:プルデンシャル生命(704ポイント)

8年連続の総合満足度第1位。「顧客対応」、「手続・書類」の2ファクターで最高評価。

第2位:ソニー生命(688ポイント)

「連絡・案内」ファクターで最高評価。

第3位:東京海上日動あんしん生命(664ポイント)

「J.D. パワー 2023年生命保険保全手続満足度調査SM」の概要

年に1回、直近1年に保全の手続や連絡を行った顧客を対象に、保全期の問い合わせや手続における保険会社・保険代理店に対する満足度や活動実態を聴取し明らかにする調査。今回で12回目の実施となる。

・実施期間:2022年11月中旬~12月上旬 

・調査方法:インターネット調査

・調査対象:生命保険を保有し、直近1年以内に契約・請求を行っていない人のうち、直近1年以内に保全の手続・連絡を行った人(20歳以上) 

・調査回答者数:7,500人

総合的な顧客満足度に影響を与えるファクターを設定し、各ファクターの詳細評価項目に関するユーザーの評価を基に1,000ポイント満点で総合満足度スコアを算出。総合満足度を構成するファクターは、総合満足度に対する影響度が大きい順に、「顧客対応」(44%)、「連絡・案内」(35%)、「手続・書類」(21%)となっている(カッコ内は影響度)。

本調査のポイント

2023年調査の主なポイントは以下のとおり。

コロナに関する対応、顧客からの能動的な問い合わせが増加

新型コロナウイルス感染拡大の影響により一時は給付金請求が大幅に増加するなか、本調査は直近1年以内に保全の手続や連絡を行った顧客を対象に実施した。

新型コロナウイルスに関連した生命保険会社からの連絡・案内は、ホームページや営業担当者などを通じてさまざまな形で行われているが、本年調査では顧客の3割程度がそのような連絡・案内があったと認識している。

これまではそのうちの9割程度が保険会社や保険代理店からの受動的な連絡案内であったが、2023年調査では、顧客自らが問い合わせをする割合が前年に比べ+8ポイント増加し20%となった。

増加した問い合わせ内容については、「新型コロナウイルス感染症に罹った際、その生命保険で請求できるかの説明や特例措置」が最も多かった。昨年、新型コロナウイルス感染時の「みなし入院」に対する入院給付金等の支払対象の見直しが行われたことから、顧客の関心の高さが表れた結果となった。

ホームページ利用時の用件解決が満足度に大きく影響

保全期間中に保険会社のホームページを閲覧/利用した顧客は年々増加しており、2023年調査では48%の顧客が利用していた。利用の目的としては、「各種手続きを実施」が39%、「契約・保障内容などの各種変更手続きや必要書類についての情報収集」が23%と、2022年から大きな変化はみられなかった。

一方、ホームページにアクセスした際、用件が「完全に解決した」顧客の満足度は前年より+12ポイント向上した。これは、生命保険会社各社の保全期におけるデジタル化の推進が顧客の期待値を上回るサービスの提供として受容された結果と考えられる。

なお、「一部解決しなかった」および「全く解決しなかった」場合の顧客の満足度は-26ポイントと低下がみられる。この背景には、ホームページで提供される情報やオンラインで完結できるサービスには各社のばらつきが見られ、一部生命保険会社ではこうした顧客の期待値の高まりに十分に対応しきれていないものがあると考えられる。

J.D. パワー Global Business Intelligence部門、常務執行役員 梅澤希一のコメント

「今回の調査では、新型コロナウイルス感染拡大を背景に顧客自らの問い合わせへの対応力が問われたことが大きなポイントであると考えられる。

顧客への情報提供拡充と効率性向上の両立の観点から、顧客が『わかりやすく』かつ『簡単に』用件解決のために必要な情報を見つけることができる、ユーザビリティの高いホームページのコンテンツが従来以上に重要となっていると言える。

調査では、『完全に解決した』顧客では問い合わせニーズが高い情報を適切に提供することで満足度の向上につながった一方、『全く解決しなかった』もしくは『一部解決しなかった』顧客では満足度の大きな低下がみられた。

こうした満足度低下の背景には、顧客が他業種のホームページも利用するなかで、ホームページのユーザビリティに対する顧客の要求水準が高まっており、ホームページを利用しても未解決の問題が残ることがこれまで以上に満足度の低下につながったものと考えられる」

(※写真はイメージです/PIXTA)