スイスの国民的キャラクター「ハイジ」をR18で描いたバイオレンス映画『マッド・ハイジ』が、スイス・アーミー・ナイフで有名なビクトリノックスに訴えられかけていたことが発覚。そんなトラブルを受け改良して完成した本編映像が公開された。

【動画】『マッド・ハイジ』訴えられそうだったけど意地でも登場させたビクトリノックスシーン

 幾度となく映像化されてきたヨハンナ・シュピリの児童書『アルプスの少女ハイジ』。高畑勲宮崎駿による1974年のテレビアニメは、日本や欧州を含む世界各地であらゆる世代を超えて愛され続けている。このスイスが誇る名作を、同国出身の監督とプロデューサーがB級エログロバイオレンスバージョンにアレンジした“スイス映画史上初のエクスプロイテーション映画”が誕生した。

 チーズ製造会社のワンマン社長にしてスイス大統領でもある強欲なマイリは、自社製品以外のすべてのチーズを禁止する法律を制定。スイス全土を掌握し、恐怖の独裁者として君臨した。

 それから20年後。年頃のハイジはアルプスで幸せに暮らしていたが、禁制のヤギのチーズを闇で売りさばいた恋人ペーターが見せしめに処刑される。さらに、唯一の身寄りであるおじいさんが、マイリの手下によって山小屋ごと爆殺。恋人と家族を失ったハイジは、邪悪な独裁者血祭りにあげ、母国を解放することができるのか?

 独裁者マイリ役には、『スターシップトゥルーパーズ』の主人公ジョニー・リコ役で知られるキャスパー・ヴァン・ディーン。そして『グラディエーター』『パイレーツ・オブ・カリビアン/呪われた海賊たち』のデヴィッド・スコフィールドが、“アルムおんじ”ことハイジおじいさんを演じる。

 制作時には、警察官の仕事もしていた脚本家の1人が本作の内容を理由に警察官の仕事をクビになったり、スイス国内の布販売店に本作の衣裳づくりに協力しないように、と反対運動を起こす人がいたりと、様々なトラブル続出の本作。日本人にもなじみ深いスイス・アーミー・ナイフの老舗ブランド「ビクトリノックス」とも訴訟問題すれすれだったことが発覚した。

 『マッド・ハイジ』製作過程では、クラウドファンディングの資金集めのため、ティザービジュアル、ティザー映像などが順次公開され、資金集めがなされていた。スイスプロイテーション映画ということで、チーズ、アルプスの雄大な山々、トブラローネチョコレート、そしてスイス・アーミー・ナイフなどスイスの名産品の数々がこれでもかと登場する。

 元々は、ハイジのメインの武器はスイス・アーミー・ナイフで、ティザー映像ではそれを使って人の目をえぐるという過激なシーンとなっていた。それを見たビクトリノックスが、訴訟をにおわせてきたたため、完成した作品では、ハイジが手にする武器はスイス・アーミー・ナイフから日本刀に変更され、ハイジに追い詰められた兵士が武器としスイス・アーミー・ナイフを取り出そうとするが、武器にはならないというシーンに変更されることになった。

 この度解禁されたシーンは、ボロボロの兵士がスイス国王マイリに報告があると、血まみれで運び込まれるところから始まる。両肩を女性兵士に支えられながら「司令官、パトロール隊が全滅です! 全く歯が立たなくて…」と涙ながらに語りだす。皆で昼休憩を取っていたところ、おさげの可愛らしい女性が乱入、次々と兵士たちを血祭りにあげていったという。

 スイス伝統の武器ハルバードや素手でバッタバッタとなぎ倒していく女性。最後に冒頭の兵士は一人残され、苦し紛れに手に取ったのがスイス・アーミー・ナイフ。それを見たおさげの女性は「それでやれるのか?」と日本刀を兵士の眼前に振り下ろし「敵うか?」とあざ笑い、兵士をメッセンジャーとして生かすことに。彼女が残したメッセージが「てめえの祖国に死を」。それを聞いたマイリの部下・クノールハイジだ! と直感する。復讐の鬼と化したハイジが殺りくマシーンとして帰ってきたのだ。果たしてハイジは、邪悪な独裁者血祭りにあげ、母国を開放することができるのか?

 映画『マッド・ハイジ』は、7月14日より全国公開。

映画『マッド・ハイジ』ポスター (C)SWISSPLOITATION FILMS/MADHEIDI.COM