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昨日12日夜から13日未明にかけて、石川県富山県線状降水帯が発生しました。石川県富山県ともに、「線状降水帯情報」が出るのは初めてのこととなります。
石川県富山県では観測史上最大の雨量を観測するなど、記録的な大雨となり、河川の氾濫や浸水害、土砂災害などが相次ぎました。このあと、今夜から15日(土)にかけて、再び警報級の大雨となるおそれがあり、土砂災害や河川の氾濫などに警戒が必要です。

石川・富山で線状降水帯 記録的な雨量に

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昨日12日(水)夜、石川県富山県線状降水帯が発生しました。12日21時39分には石川県加賀地方に、同22時9分には富山県西部に、22時39分には富山県東部に「顕著な大雨に関する気象情報」が発表されました。石川県富山県ともに、「顕著な大雨に関する気象情報」が発表されるのは運用開始以来初のこととなります。

線状降水帯の下では猛烈な雨や非常に激しい雨が降り、石川県かほくで1時間に85.5ミリの猛烈な雨が降ったほか、富山県の大山で64.5ミリ、富山空港で52.5ミリなど、北陸三県の5地点で1時間雨量の観測史上1位の値を更新しました。また、富山では3時間雨量が109.0ミリとなるなど、北陸三県の8地点で3時間雨量の観測史上1位の値を更新、11時までの24時間雨量は富山県の富山・富山空港・砺波で観測史上1位を更新するなど、記録的な大雨となりました。

この影響で、各地で河川の増水や氾濫が発生しました。石川県の津幡川や能瀬川などが一時氾濫、富山県小矢部川に氾濫危険情報が発表されたほか、富山県を中心に多数の河川で警戒レベル4相当の水位上昇を記録しました。
短時間強雨により、アンダーパスの通行止めや、鉄道や新幹線の運休など、交通機関に大きな影響がありました。また、浸水被害が相次いだほか、土砂崩れも発生し、人的被害も発生しました。

線状降水帯 発生要因は大量の水蒸気の流入に加え、上空の寒気が大きく影響か

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線状降水帯の発生要因を探ってみると、12日夜は梅雨前線が日本海から北陸付近をゆっくりと南下する形となりました。

大気下層(地上~上空1500メートル付近まで)では、梅雨前線に向かって、大陸方面からの暖かく湿った空気と、太平洋高気圧の縁をまわる湿った空気が本州付近で合流し、大量の水蒸気が流れ込んでいました。

加えて、北海道の西に上空に寒気を伴った低気圧(寒冷渦)が進んできて、上空5500メートル付近でマイナス6度以下の寒気が北陸地方まで流れ込みました。北陸付近では大気の下層に暖かく湿った空気が流れ込んでいた所へ上空高い所に強い寒気が流れ込み、大気の状態が非常に不安定となっていました。

梅雨前線の南側では西寄りの風、北側では西北西の風となっていたため、両者がぶつかる(収束する)ところで次々と雨雲が発生し、上述のように大気の状態が非常に不安定であったために雨雲が急発達し、線状降水帯が形成されたと見られます。

今夜から再び警報級の大雨のおそれ 15日頃からはフェーン現象か

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現在、北陸地方の雨は一旦小康状態となっている所が多いですが、今夜は前線が西から北上し、北陸地方では再び雷を伴って1時間に30ミリ以上の激しい雨が降るおそれがあります。

14日にかけての1時間雨量は多い所で30~40ミリ、14日12時までの24時間雨量は多い所で100ミリが予想されます。強い雨は北陸西部では15日未明まで、新潟では15日午前中まで警戒が必要です。14日12時から15日12時までの24時間雨量は多い所で50~100ミリと、雨量がさらに増えるおそれがあります。
これまでに降った雨で地盤が緩んでいる所があり、土砂災害に対して一層の警戒が必要です。また、低い土地の浸水、河川の増水、落雷や竜巻などの激しい突風にも注意・警戒してください。

一方、15日頃からは太平洋高気圧が強まって、前線が東北付近まで北上するでしょう。北陸地方では南西風が強まってフェーン現象となる可能性があります。15日の最高気温は福井・金沢・富山で33度と厳しい暑さ、16日の最高気温は福井で36度、富山で35度と猛暑日となる予想です。復旧作業や大雨の後片付けの際は、熱中症にも警戒し、こまめな水分補給や休憩を入れるなど、対策が必要です。また、農作物の管理にも注意してください。

北陸 石川・富山で線状降水帯発生 発生要因は? 15日まで再び大雨リスクあり