習近平

習近平国家主席は7月はじめ、台湾有事を担う東部戦区の軍事施設を訪問し、中国の安全保障を巡る情勢は不透明性が増大しており、戦争に備えた任務の新局面を切り開くよう努めなければならないと作戦遂行能力を高めるよう命じた。


■これまでになく高まる緊張

最近の台湾情勢を巡っては、4月に蔡英文総統が中米の歴訪帰りに米国に立ち寄り、カルフォルニア州でマッカーシー米下院議長と会談した際、中国人民解放軍4月8日から10日にかけて台湾周辺海域で軍事演習を行い、中国軍機が中台中間線を超え、台湾の防空識別圏への侵入を繰り返した。

昨年にも同様に、ペロシ前下院議長が8月に台湾を訪問した時、中国は台湾を四方八方から包囲するような形で軍事演習を実施し、中国大陸からは多数のミサイルが台湾周辺海域に打ち込まれた。


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■習国家主席の悲願は台湾統一だけではない

このまま緊張が続けば、いつの日か中国と台湾・米国が軍事衝突することは避けられないかも知れない。習国家主席は台湾統一のためには武力行使を辞さない構えを貫いており、台湾で独立に向けた動きが活発になれば、軍事侵攻の可能性はグッと引き上がるだろう。

だが、習国家主席の野望はそれだけでは終わらない。台湾が統一された後の行動は、西太平洋への進出である。

中国が描く海洋覇権は、第一に九州から南西諸島、台湾へと繋がる第一列島線の内側の海を中国軍の支配下に置き、第二に、伊豆諸島から小笠原諸島を通ってグアムに至る第二列島線に進出し、究極的には米軍を第二列島線の外に追いやり、西太平洋での覇権を握ることにある。

要は、台湾を中国が奪取すれば、米軍は中国軍太平洋への進出を抑えられなくなり、それは日本の海洋安全保障秩序に寛大な影響を及ぼすだろう。

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(取材・文/Sirabee 編集部・セレソン 田中

習近平政権が抱える台湾統一 じつは単なる統一に終わらずさらなる野望も?