エヴァートンに所属するイングランド人MFデレ・アリが、自身の壮絶な半生を明かした。13日、イギリス紙『デイリーメール』が伝えている。

 現在、27歳のデレ・アリは2015年にトッテナムへ完全移籍すると、1年目の2015-16シーズンはプレミアリーグの33試合に出場し、10ゴール9アシストを記録。さらに翌16-17シーズンはリーグ戦37試合で18ゴール9アシストを記録し、一躍脚光を浴びた。しかし、その後は、度重なる負傷や素行不良などが原因で伸び悩み、年々序列が低下。2022年冬に移籍したエヴァートンでも輝けず、昨夏にはベシクタシュへのレンタル移籍が発表された。しかし、ベシクタシュでも指揮官からの評価は低く、構想外に。依然として本来の力を発揮できておらず、苦しい時期が続いている。

 そんななか、デレ・アリはイギリスメディア『The Overlap』に出演し、元イングランド代表DFギャリー・ネヴィル氏と対談。自身の壮絶な半生を明かした。対談の中でデレ・アリは「おそらく今が人々に伝えるのに最適な時期だろう。最近のことや、長い間隠してきたこともある。話すのは怖い」としつつ、「トルコからイングランドに戻ってきたとき、手術が必要であることが分かった。僕は精神的に最悪の状態にあった。僕は依存症やメンタルヘルストラウマなどを扱う現代的なリハビリ施設に行くことにした」と心理面のためのリハビリ施設に通っていたことを明かした。

 続けて「僕は自分に害を及ぼすものに依存するという悪いサイクルに陥っていた。毎日、目が覚めて試合やトレーニングに臨み、笑顔で幸せを感じていた。だけど、心の中では間違いなく戦いに負けていたんだ。それを変えるときが来た。僕はそこに6週間通ったんだ。エヴァートンはそれについて素晴らしいサポートをしてくれた」と振り返った。

 さらにデレ・アリは、インタビューの中で自身の半生を振り返り、12歳で養子に出されるまでの壮絶な幼少期を以下のように語った。

「僕は6歳のときに、母親の友達に性的虐待を受けた。僕の母親はアルコール依存症だったのでよく家に来ていた人だった。その後、しつけのためにアフリカに送られ、その後また送り返されたりもした。7歳でタバコを吸い、8歳で麻薬の売買を始めた。年上の人から、自転車に乗った子供は止められないと言われていたから、サッカーボールを持って走り回り、ドラッグを手に入れたんだ」

「12歳で僕は養子縁組された。素晴らしい家族に養子縁組されたんだ。彼らより良い人たちの養子になることを望むことはできない。もし神が人を創造したとしたら、それは彼らだった。彼らは素晴らしかったし、僕をたくさん助けてくれた。僕が彼らと一緒に暮らし始めたとき、彼らにに心を開くのは本当に難しかった。でも、僕は彼らにとってできる限り最高の子供になろうと努力した。そこからすべてが始まったよ」

 自身の半生を振り返ったデレ・アリだが、依然として本来の力を発揮できておらず、苦しい時期が続いている。そんなデレ・アリが来シーズンについて言及し、「僕は健康を取り戻す必要があるが、それはそれほど遠くない。来シーズンに向けて準備ができているし、それに伴うどんな困難にも対処する準備もできている」と意気込みつつ、再起を誓った。

 さらに、「人々は変化を恐れる必要はないという事実を繰り返し伝えたいと思う。変化は常に難しいものだ。何かが不快で困難なとき、感情が生まれ、恐怖が生じる。 しかし、そのような感情を抱いたときこそ、飛び込んでそれに向かって進まなければならないときだ。なぜなら、恐怖や変化の向こう側には、たいていポジティブなことしかないからだ。僕が自分の経験について話したことが、人々の役に立つことを願っている」と続け、自分と同じように苦しむ人々に向けて力強いメッセージを送った。

自身の半生について語ったデレ・アリ [写真]=Getty Images