前半戦で32本塁打を放った大谷。このペースで二刀流を維持すれば、間違いなくMVPに輝くだろう(C)Getty Images

 前代未聞のコールがハイライトだった。エンゼルス大谷翔平が3年連続3度目の出場となった、22年ぶりシアトル開催のオールスターゲーム。右手中指のマメの影響で登板はせず打者だけに専念し、結果は空振り三振と四球だったが、イベントの主役は紛れもなく大谷だった。

 1、2打席とも、球場全体から「Come to Seattle!(シアトルに来て!)」の大合唱。同じア・リーグ西地区のライバル球団であるマリナーズの本拠地で、いわば敵軍ファンからのラブコールは、異様な光景だった。ファンは今季終了後、大谷がフリーエージェント(FA)となることを知っている。メジャー30球団による争奪戦が迫る中、地元ファン自らが熱心に勧誘してみせたわけだ。

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 異例の大合唱には違いないが、この先の後半戦は行く先々でこうした勧誘チャントが湧き起こってもおかしくはない。では15日(日本時間16日)から始まる後半戦、エンゼルスはどんな場所でビジターゲームが待っているのか。

 まずは本拠地での9試合を戦うが、その後に最初の遠征が待つ。7月25日(以下いずれも現地時間)からはデトロイトタイガース3連戦、同28日からはカナダトロントでブルージェイズ3連戦、同31日からはアトランタブレーブス3連戦が待っている。ブレーブスは現在勝率でメジャー30球団トップを走る強豪。ナ・リーグMVP最有力候補であるロナルド・アクーニャJrが引っ張る。大谷とはあまり接点がなかったナ・リーグ東地区の強豪だが、そこの地元ファンたちがどんな反応を示すか、どう迎えるのかは興味深い。

 一度ホームスタンドに戻り、8月11日からは同地区ライバル球団との6連戦。まずテキサス州ヒューストンでアストロズ3連戦を戦い、その後同州アーリントンでレンジャーズ3連戦に臨む。大谷には強いライバル意識を持ち、ブーイングを浴びせてきてもおかしくない同地区の敵軍ファンだが、オールスターでみせたマリナーズ地元ファンのような変心をみせるのか。ポストシーズン進出へ向けて一つも落としたくない6連戦となるが、そんなファンからの声にも注目だ。

 8月25日からは後半戦最大の注目のビジターゲームが待っている。ニューヨークでのメッツ3連戦。資産家オーナースティーブコーエンが誇る資金力はメジャー随一とされ、大谷の移籍先の有力候補として常に名前が挙がってきた。あからさまなタンパリングはできないが、どのような趣向を凝らしてホームに迎え入れるのか。大谷は毎年ヤンキース戦でニューヨークを訪れた際には、大勢のニューヨーク・メディアに囲まれてきたが、メッツ戦での同メディアとのやり取りも見所の一つになりそうだ。

 その後はフィラルフィアでのフィリーズ3連戦、オークランドでのアスレチックス3連戦と転戦してアナハイムへ戻る。9月11日からのシアトルでのマリナーズ3連戦を挟み、最後のビジター遠征は同19日からタンパでレイズ3連戦に臨み、22日からのツインズ3連戦でビジターゲームは終了となる。

 11球団と計33試合、敵地ファンからどんな歓声が、あるいはブーイングが待っているのだろうか。FAイヤーという特別なシーズンの、最も注目を集める後半戦。グラウンド内外で、大谷は前人未到の道を歩んでいく。

[文/構成:ココカラネクスト編集部]

最大の注目ニューヨークも 大谷翔平が後半戦で訪れる敵地ファンからの勧誘コールはあるのか