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ヒョンデN部門初の高性能EV

ヒョンデ7月13日、英国で開幕したグッドウッド・フェスティバル・オブ・スピード2023において「レーシングカーのDNA」を持つという高性能EV、新型アイオニック5 Nを発表した。

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同社のパフォーマンスモデルを手掛けるN部門にとって、初の本格的なEVモデルとなる。標準のアイオニック5をベースに、パワートレインや内外装を大幅にアップデートしている。

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グッドウッド・フェスティバル・オブ・スピード2023で公開されたヒョンデ・アイオニック5 N    AUTOCAR

ヒョンデのN部門の技術責任者、タイロンジョンソン氏によれば、アイオニック5 Nは「ドライビングの情熱を電動化」するものだという。標準モデルと同じE-GMPプラットフォームを使用しながらも、より大型の84kWhバッテリー、特注の四輪駆動パワートレイン、そして「ドライバーとクルマを融合させる」ための一連の技術的追加要素を備えている。

通常モードでは最高出力608ps、最大トルク75.3kg-mを発生するが、「Nグリン・ブースト」モードでは最高出力650ps、最大トルク78.4kg-mとなり、0-100km/h加速3.4秒を実現する。

航続距離はまだ公表されていないが、320kmから354kmと予想される。標準車の800Vアーキテクチャーが引き継がれ、10~80%の充電を18分で完了できる。

外観は標準モデルと大きく異なる。全長は80mm長く、全幅は50mm広い。フロントエプロンは、サーキットを意識したアグレッシブなデザインに変更され、フロントエンドにはブレーキ冷却用のアクティブ・エアフラップを備えた「Nマスク」が採用された。

欧州で鍛えたホットハッチの足

大規模なテストはドイツニュルブルクリンク・サーキットで行われたが、ヒョンデはサスペンションとハンドリングを調整するために、英国の道路でも走らせたという。ジョンソン氏は次のように話している。

「英国の道路は、乗り心地とハンドリングをさらに強力な方向へと導くことができ、わたしの経験上、可能性の限界を押し広げることができるのです」

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グッドウッド・フェスティバル・オブ・スピード2023で公開されたヒョンデ・アイオニック5 N    AUTOCAR

「クルマの質量が増加したため、ダンパーシステムの帯域幅を広げることに多くの注意を払いました」

アイオニック5 Nの車重は2000kgを超えると予想されている。

ブレーキは、サーキットで大きな力に耐えられるよう大幅に強化され、回生システムを油圧ブレーキと連動するよう適応させた。サーキットでは、制動力の40~50%が回生システムで処理されるのに対し、一般道では80~90%が回生システムで処理されるという。

「サーキットではブレーキが最も重要です。機械式システムと電気式システムの統合や熱管理には、膨大な労力が費やされました。わたし達は、他のEVとは異なる強力な方法で回生力を利用しており、それがクルマのダイナミクスに大きな影響を及ぼしています」とジョンソン氏。

変速ショックとエンジン音

ヒョンデはまた、従来のガソリンエンジン車のスピリットを取り込むため、疑似的なトランスミッションとエンジン音を追加した。

トランスミッションは、Nのエンジン搭載モデルに採用されている8速デュアルクラッチの挙動をシミュレートし、変速時のショックを再現してアナログ的な雰囲気を強め、エンジン音は8000rpmまで「回転」する。どちらもドライバーの任意でオン/オフ切り替えが可能だ。

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ヒョンデ・アイオニック5 N    ヒョンデ

インテリアでは、アイオニック5 Nに新しいバケットシートと専用のステアリングホイールが採用された。12.3インチのデジタルメータークラスターと12.3インチのインフォテインメント・ディスプレイには、パフォーマンス志向のテーマと設定が追加されている。車両購入後は無線アップデートが提供される予定だ。

アイオニック5 Nの価格は未発表だが、ヒョンデエンスージアストにとって手の届きやすいものになると述べている。同様のコンセプトで開発された兄弟ブランドのキアEV6 GTと同じようにプレミアムがつくと予想され、英国価格は6万5000ポンド(約1180万円)前後になると思われる。

クルマ文化に正しいも間違いもない

AUTOCARは、ヒョンデのNブランド&モータースポーツ事業部を率いるティル・ヴァルテンベルグ常務取締役にインタビューを行った。

――なぜグッドウッド・フェスティバル・オブ・スピードでアイオニック5 Nを公開したのでしょうか?

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グッドウッド・フェスティバル・オブ・スピード2023で公開されたヒョンデ・アイオニック5 N    AUTOCAR

「英国は強力な市場であり、グッドウッドはファンとの関わりが深い魅力的なイベントです。アイオニック5 Nの開発作業に英国の道路を選んだのは、重要なホットハッチ市場だからです」

――開発中に学んだことは?

「わたしにとっては、クルマ文化はグローバルなものであり、正しいも間違いもないということを学びました。わたし達はICE時代にはかなり準備を整えてきましたが、これを電動化に応用する場合、クルマとドライバーの相互作用に常に焦点を当てていきます。それが最高の結果をもたらすからです」

――将来のモデルに影響は?

ヒョンデNは、テクノロジーと会社全体にとっての灯台であり、一過性のものではありません。テクノロジーはスケーラブルで拡張性があり、E-GMPプラットフォームは非常に優れたプラットフォームであり、ハイパフォーマンスという点で最大限の力を発揮しています」

――ICE時代から電動化に引き継げるものは?

「アイオニック5のサウンドとシフトチェンジは、ICE車から発展させたもので、これはEV時代のフィーリングとエモーションを再現したかったからです。クルマの扱い方は、短いNの歴史から来ており、わたし達はそれをEVにも持ち込むつもりです」


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