かつて地球上で繫栄し、絶滅してしまった恐竜。その姿を私たちが目の当たりにすることは叶いません。しかし森や畑、街中などで私たちが日常的に見かける鳥類は、かつての恐竜の子孫だと言われています。恐竜に限らずあらゆる生き物が、長い時を掛けて環境に適応し、繁栄と衰退を繰り返しながら今日まで生きてきました。

 では太古の昔、頂点捕食者として君臨した恐竜たちの末裔が、遠い未来の地球で繁栄していたとしたら。それはどんな姿で、どんな生態になるでしょうか?

 こんなワクワクするイマジネーションを爆発させたゲームが『グレイシャード』です。

 7月14日(金)から7月16日(日)にかけて京都市勧業館「みやこめっせ」で開催中のインディーゲームイベント・BitSummit Let’s Go!!。今回私はこちらのイベントのビジネスデイに参加し、『グレイシャード』を試遊させていただきました

全球凍結した地球で鳥類が海を冒険するゲーム『グレイシャード』試遊レポート【BitSummit Let's Go!!!】_001

 遠い未来、氷河期を迎えた地球で花開く新たな生命黄金時代……文字だけで心にザクザク刺さるSFロマン大爆発なゲーム『グレイシャード』について、簡単なプレイレポートの形式で紹介させていただきます。

文/うきゅう

『グレイシャード』Steamストアページはこちら『グレイシャード』特設ページはこちら『グレイシャード』公式Twitterアカウントはこちら

 本作の舞台は、人類の時代から6500万年後の地球です。何度目かの氷河期を迎え、地球の表面全体が氷におおわれる「全球凍結」という状態になった世界で、生命は分厚い氷の下に残った海のなかへと活路を見出しました。

 プレイヤーが操作するのも、海へ適応した鳥類・トゥアイ種の一羽です。トゥアイ種は高い知能と“熱”を操る特殊な能力を備えた雌雄同体の生物であり、「永遠の冬」を迎えた地球の海のなかで栄華を誇っていました。しかし生命たちの黄金時代を迎えた永遠の冬を脅かす、ある危機が訪れ……というのが、本作のストーリーです。

 いやぁ、ワクワクしますね! 危機とはいったい何なのか、主人公は一体その危機にどう立ち向かっていくのか、興味は尽きません。

 とは言え、今回私が体験できたのはあくまでも試遊用のデモ版。ゲーム本編に比べればチュートリアルみたいなものです。ですから、作品の世界観やストーリーへのワクワクは胸にしまって、体験できた範囲での本作の魅力へ触れていきたいと思います。それは、「キャラクターの造形」です。

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(画像は『グレイシャード』Steamストアページより)

 画像の右側、赤っぽく光る三又の器官を有しているのが主人公のトゥアイ族です。前述のとおり鳥類が海に適応した姿となっており、鰓呼吸よろしく海水から酸素を取り込むための穴が胸元に開き、嘴の部分から鼻が退化しているようです。翼の先端で光っている結晶は敵を攻撃するたびに熱を蓄積しており、この熱を放出することで強力な攻撃を放つこともできます。

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(画像は『グレイシャード』開発者Shibuya氏の公式Twitterアカウントより)
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(画像は『グレイシャード』Steamストアページより)

 良いですよね、こういうの。今身近にいる生き物が、数千万年後、数億年後、どのような姿になっているのかを考え、描き出す。SFのロマンをビシビシと感じます。

 さらに、先ほどの画像の右側に上下並んで噛みついてきているキャラクター「リーガ」は、今回BitSummitで公開されているデモ版でも戦うことができます。

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(画像は『グレイシャード』Steamストアページより)

 この造形を見た時、僕は強い既視感に襲われました。こんな生き物を、幼いころに恐竜図鑑かなにかで見たことないか? と。

 現在の地球に、このような生き物はあんまりいないですよね。少なくとも私は知りません。なので、現地で開発者の方に恐る恐る「『グレイシャード』は未来の地球が舞台だと聞いていたのですが、恐竜のような太古の生き物に似た存在が登場しているように思います。これは何故ですか?」と聞いてみました。

 開発者の方は、「収斂進化」が起きたのだろうと答えてくれました。

 収斂進化というのは、本来異なるはずの複数の種が、進化と適応を経て似たような姿かたちを持つようになる現象を指した言葉です。現実に存在する例としては、ヤドカリの仲間ながらカニに酷似した形状を持つタラバガニ哺乳類と昆虫類というかけ離れた種族でありながらどちらも似た形状の前足を持っているモグラオケラなどが挙げられます。

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(画像は【収斂進化1: カニの王者タラバガニはカニのそら似】|JT生命誌研究館研究館より)

 これら現実の例と同様に、未来の海洋生物が進化を遂げていく中で、太古の恐竜を思わせるようなフォルムへと変化していった結果が、本作に登場するリーガだということなのでしょう。

 くわえて、理由はそれだけではなく、ゲームとしてユーザーが馴染みやすくなるよう設計されたものでもあるそうです。全く見たことのない新奇なクリーチャーが跋扈しているよりも、昔どこかで見た恐竜のようなデザインをしていた方が、違和感なくゲームに入り込んでもらえるのではないかと。

 まさに、私はその「どこかで見た!」という思いを抱いたわけで、開発者の方の術中にずっぽりとハマっていると言えるでしょう。

 一方で、チュートリアルのボスとして用意されたキャラクターはどっからどう見てもサメです。間違いないです。

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(画像は『グレイシャード』Steamストアページより)

 開発者の方もこう仰ってるのだから、間違いないです。人類の世から6500万年経っても、サメはサメのまま。SFかどうかは脇に置いて、これもまたロマンが結実していると言えるのではないでしょうか!

 このように色んなロマンが大爆発している『グレイシャード』の試遊も楽しめる、日本最大級のインディーゲームイベント・BitSummit Let’s Go!!7月14日(金)から7月16日(日)まで、京都市勧業館「みやこめっせ」にて開催中です。

 初日の14日(金)はビジネスデイとなっていますが、15日(土)と16日(日)は一般公開日となっており、一般/大学生の方は税込2000円、高校生の方は税込1000円、小・中学生の方は無料で入場できますので、興味のある方は是非展示ブースまで足を運んでみてはいかがでしょうか。

 全球凍結した地球の海で、多彩な生き物たちを相手に戦いを繰り広げる遠未来海中アクションゲーム『グレイシャード』はPC(Steam)向けに現在開発が進行中です。発売日や価格などは記事執筆時点で未発表となっています。

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