貯金ゼロの浪費家から節約家へと転身し、40代前半、3児の父にしてFIREを達成したみもじ(@mimojinojinsei)さん。この6月に上梓した著書『貯金ゼロの元浪費家・3児の父が子育てしながら成功できた しあわせFIRE』から一部抜粋・編集し、物価高騰の話題が絶えない昨今に年収200万円台時代を生き抜くための「お金との向き合い方」を紹介する。

【画像】リスクとリターンの知識があれば投資をためらうこともない

テーマは「マネーリテラシーがいかに大事か」。

■資産形成に必要なのは学歴ではなくマネーリテラシー

マネーリテラシーとは、金融や経済に関する知識や判断力のことで、資産運用はもちろん、経済的に自立し、生きていくために欠かせないものです。ところが、その重要性の割にしっかり身につけている人は意外に少ないのです。

私の周りを見てみると、学歴が高い人が必ずしも資産形成を上手に行っているわけではありません。それは、マネーリテラシーを今まで誰からも学ぶ機会がなかったからだと思います。日本では昔から「お金の話をしてはいけない」ような風潮があることも影響しているでしょう。実際に私は誰からも教えてもらったことはなく、すべて独学で知識を得てきました。

一言でマネーリテラシーと言っても広いですが、ここでは簡単に、絶対に知っておいた方が良いジャンルを挙げてみます。

・税金 

サラリーマンの方は給料から源泉徴収されているので、税金のことを考える必要性があまりありません。でも、調べていくと意外と払いすぎている税金があったりします。払いすぎている税金は自ら申告しないと取り返すことができません。自分に合った節税対策をしていってもらいたいです。

社会保障制度

保険を検討する際、国の社会保障制度を理解してからにしましょう。日本の社会保障は充実していると思います。それを知らずに保険を契約すると、必要以上の保障を付けてしまい余分なお金を払うことになります。

・NISA

株式投資や投資信託で、運用益の非課税枠を利用できる制度です。通常、株式投資や投資信託の利益には20.315%の税金がかかります。投資をしていて運用益に課税されないというのはとてもありがたい制度なので、使わない手はないと思います。

・複利の効果

運用で得た利益を上乗せして再び投資することです。長期になればなるほどこの効果は大きくなります。

・リスク

投資におけるリターンの「振れ幅」のことです。基本的にリスクの大きい投資はリターンの振れ幅が大きくなり、リスクの小さい投資はその振れ幅が小さくなります。一般的に使われる「危険」という言葉と同じ意味でとらえてしまうと、「投資=危険」という構図ができてしまうので注意しましょう。

マネーリテラシーが身につくことで「お金の流れのイメージ」を持つことができるようになります。どうやって商品が売られているのか?どのように購買意欲がかき立てられているのか?誰が利益を得ているのか?最終的に得をしているのは誰か?社会の構造が分かるようになっていきます。

それでは、リテラシーをさらに向上させるためにはどうしたら良いか。具体的なポイントを2つお伝えします。

(1)たくさんの本から学ぶ

定期的に書店に行き、「自分の知らない情報はないか」と常に発見しようとすることが大事です。私はさまざまな情報を得るために週に一度は書店に通っています。たくさんの本を読むことで知識が増えますし、広い視野を手に入れることができます。本は執筆者の経験や知識が詰め込まれています。それを手に入れることができるのはとても凄いことです。1カ月に1冊の本を読むと、年間12冊の本を読めることになります。例えば、投資に関する本を10冊も読めばかなりの知識が身につくので、不安なく投資を始めることができると思います。

(2)ファイナンシャル・プランナー3級程度の知識を身につける

3級程度の幅広い知識があれば、必要な時にその都度関連する項目を奥深く調べていくことができます。幅広い知識がなければ、関係する項目を「調べる」という発想にすらたどり着くことができません。知らないだけで損している場合もありますので、まずは幅広い知識を身につけるべきです。

お金に関する知識を教えてくれる人は、周りにあまりいないと思います。ですが、学べるツールはたくさんあります。それらを上手く活用するためには、自分から積極的に情報を集める必要があります。

また、お金の常識は時代とともに変わります。昭和の常識や価値観は令和の時代では通用しません。時代の変化に敏感になり、それがお金に対してどのような影響を与えるのかを注視していく必要があります。特に子どもがいらっしゃる方は、子どもの将来のためにもお金の知識を身につけるべきです。「お金のことなら親に相談できる」という環境だと、子どももお金のことで悩むことが少なくなると思います。

最後に、重要なことをお伝えします。マネーリテラシーを高めていくと、遠回りすることなく可能な限り近道で資産形成していくことができます。

マネーリテラシーを向上させることは、「攻め」と「守り」の知識を身につけていくことだと思っています。「攻め」は資産を増やすためにはどうしたら良いか、「守り」は資産を減らさないためにはどうしたら良いか。マネーリテラシーを身につけずに資産形成をしようとすると、不必要にお金を使ったり、もっと増やせるチャンスがあっても気づかなかったりして、同じ利益を得るにしてもものすごく遠回りになります。「攻め」と「守り」の2つの知識を向上させることで、効率的に資産を増やすことができるはずです。

■お金の知識の積み上げ=資産の積み上げ

今まで積み上げてきたお金の知識は、間違いなく資産だと私は思っています。なぜなら、知識の資産がなければ効率的に資産形成できず、金融資産を積み上げることはできなかったからです。お金は資産そのものですが、お金を作るための知識も資産そのものです。それでは、知識を積み上げるための基本として、どんなことに着意すればいいのでしょうか。主なものを挙げてみます。

・新しい情報を追い続ける

常に本やネットからたくさんの情報を吸収し続けることで、知識が深まっていきます。また、情報を追い続けていると、思いもしなかったような新しい情報と出合うことがあります。お金は生ものなのでお金に関する制度は刻々と変化します。暗号資産などの新しい分野が生まれたりするので、チャンスを逃さないためにも継続的に学んでいく必要があります。

・自分に必要なお金の「ジャンル」を常に意識する

今必要とする情報も大事ですが、ライフステージが変わっていくと、それに合わせてお金の知識も変える必要があります。近い将来必要となる未来の情報も集めることで、遠回りすることなく資産形成をしていくことができます。

・苦手意識のあるジャンルは、まず簡単なものから情報を集める

誰にも苦手なジャンルはあると思います。だからといって、いつまでも避けて通るわけにはいきません。避ければ避けるほど損をする可能性があります。ですから、最初は簡単なものでいいので、情報を集める努力をする必要があります。

なぜお金の知識の積み上げが必要なのでしょうか。実は、学ばないことによって「お金を守ることができない」という大きなデメリットがあるのです。特に気にしなくてはならないのが次の3つです。

(1)金利、特にリボ払い

リボ払いは典型的な例でしょう。毎月の支払額が一定なので、利用しやすいイメージを抱きがちですが、支払う金利を考えると決してお得ではありません。

(2)税額控除や所得控除

会社勤めの方は年末になると年末調整の手続きをすると思います。中身を知らないことで、控除されるべきものが控除されないという結果にもなってしまいます。お金の知識はお金を「守る」ためにも重要です。

(3)投資

投資詐欺などのニュースが多く流れますから、「投資は危険」と思われている方も多いと思います。そのように思い込んでしまうのは、知識が少ないからです。投資が怖いから「貯金しかしない」という選択は、インフレが起きると資産が目減りしてしまいます。投資にもいろいろ種類がありますが、勉強をすれば決して怖いものではないことが分かるはずです。

家電の便利機能を、家族の中で自分だけが知らなかったとします。みんなは上手に使いこなしているのに、自分だけ使えていない状態です。そのような時は「自分だけ損した」と思うのではないでしょうか?お金も同じです。

お金の知識がある人はたくさんのことを知っているので、お金を上手に使いこなしています。「知らない人だけがうまく使えていない」状態であるということをしっかり認識しましょう。

FIRE達成3児の父に聞く節約と投資