大谷の一発から生まれた猛反撃でアストロズを飲み込んだエンゼルス。その勝利は意外な形でもたらされた。(C)Getty Images

 泥沼の連敗は、文字通りミラクルな展開によって食い止められた。

 現地7月15日に行なわれたアストロズ戦でエンゼルスは13対12でサヨナラ勝利。今季ワーストとなっていた連敗を「6」で止めた。

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 この日も流れは決して良くはなかった。2回裏にルイス・レンヒーフォの3ランで先制するも、直後の3回表に同点を許す。その後はあれよ、あれよと失点を重ね、7回表の時点では3対9と大差をつけられた。

 ただ、「勝利だけが欲しかったと言っても過言ではない」(フィル・ネビン監督談)という状況にあったエンゼルスは粘りに粘った。7回裏に一挙6得点で猛追すると、3点を加点されて迎えた9回裏には直近11試合で被安打ゼロという絶対的な相手守護神ライアン・プレスリーから大谷翔平が33号アーチを放つと猛反撃を展開。さらに1点差とした1死二、三塁の場面でハンター・レンフローがタイムリーヒットを放ち、試合を振り出しに戻した。

 そして、無死2塁から始まるタイブレーク方式が取り入れられた延長10回裏にホームチームは勝負を決する。大谷が申告敬遠をされ、1死一、二塁の局面でテイラー・ウォードが放った打球はセカンドへのボテボテのゴロ。おそらく誰もがダブルプレーだと確信した刹那、この回からショートを守っていたアストロズのグレイ・ケッシンジャーが一塁に悪送球。その間に二塁走者のザック・ネットが生還し、サヨナラ勝ちを収めたのである。

 決して褒められた試合内容ではない。それでも苦戦続きだったチームにとってはこれ以上にない結果だった。そんなエンゼルスについて興味深い情報も明らかになっている。球団の広報を務めるマット・バーチ氏によれば、今シーズンのチームのサヨナラ勝利はいずれも相手の悪送球と野選によるもので、誰かのヒットやホームランで決したものではないというのだ。

 この一報に地元放送局『Bally Sports West』のリポーターであるエリカ・ウェストン記者は「今シーズンのサヨナラ勝利は奇妙なものばかりだけど、私はすべてを受け入れる」とツイート。さらにエンゼルスの専門サイト『Halo Hangout』は「良いチームは他人のミスも利用する」と皮肉交じりに指摘した。

 大谷の一発を皮切りに意外な形で勝利を手繰り寄せたエンゼルス。それにしても、サヨナラ勝利のすべてが相手のミスから生まれたものとは、なんとも不思議だ。

[文/構成:ココカラネクスト編集部]

大谷翔平が引き寄せた“摩訶不思議な勝利” エンゼルス、今季のサヨナラ劇はすべて相手のミスから誕生「奇妙なものばかり」