4年ぶりの行動制限のない夏休みを前に、ショックなニュースが入ってきた。東京新聞7月14日、国営昭和記念公園(東京都立川市昭島市)のレインボープールが今年も営業せず、このまま解体・撤去されると報じた。新型コロナ感染が拡大した2020年の夏以降、同プールは老朽化を理由に、営業を中止していた。

 私は新型コロナ前の夏休みには、豊島園東京都練馬区)、あらかわ遊園(同荒川区)、そして昭和記念公園のレインボープールに必ず行っていた。泳いだあとは豊島園プールサイドで花火を見ながら塩味の利いたラーメンをすすり、あらかわ遊園前の駄菓子屋ではかき氷もんじゃ焼き、昭和記念公園から足を伸ばしてIKEAのソフトクリームに舌鼓を打つのが楽しみだった。ところが豊島園は、2020年8月31日に営業終了、あらかわ遊園は全面改修工事のため、2018年12月から休園。昭和記念公園公園のレインボープールも、2019年9月1日の営業が最後になった。

 あらかわ遊園は2022年4月にリニューアルオープンし、子供プールは今年も7月15日から営業。一方でプールというと子供の水難事故は避けて通れず、全面改修と安全上の配慮、監視員配置などの莫大なコストがかかる。プールを利用する家族連れや子供は減少傾向なのだから、改修せずそのまま閉園というのは、抗えない時代の流れなのだろう。

 船の科学館、東京マリン、後楽園ゆうえんちマンモスプールも消滅。昭和の面影を残す都内のレジャープールは、東京サマーランド東京都あきるの市)、よみうりランド(同稲城市)、あらかわ遊園だけになってしまった。これはもう、遊びに行って応援するしかなかろう。

 水難事故は必ずしも、プール運営者の過失によるものだけではない。昭和40年代に豊島園の流れるプールに行ったことがある人なら誰しも経験があると思うが、迷惑な若者グループが、泳いでいる子供たちをゴムボートの下に沈める迷惑行為に、命の危険を感じたものだ。流れに任せて水面に浮かんだり、泳いでいたりすると、後ろから突進してくるゴムボートに襲われ、その下に沈められる。監視員の死角となり、そのまま溺死することなく今生きていられるのは運が良かっただけ、と言ってもいい。

 プールに沈められた子供が助けを求めても、若者たちは遊びに夢中で気が付かない。ひどい場合は、ようやく水面に顔を出して息継ぎしている見ず知らずの子供の頭をつかんで沈める輩もいた。とにかく若い利用客のマナーが最悪だったのだ。

 当時の子供達の脅威だったマナー最悪の若者、いわゆる団塊の世代は今もなお、プールから役所、病院、交番、救急車ファミリーレストランコンビニエンスストアへと場所を変え、暴れ続けている。「タッチパネルなんて操作できるか」「汗をかきながらタコ焼きを作るな」「眠れないから救急隊員や警察官が話し相手になれ」などの理不尽なクレームで、かつて水底に沈め、今は大人になった当時の子供達のメンタルを、ドン底に突き落としているのだ。

(那須優子)

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