どこの街に、どの地域に住まいを構えるか……そう考えた時、重要なのが交通の便。特に東京圏の場合は鉄道に頼ることが多いので、どの路線にするかで頭を悩ませるでしょう。そこでもうひとつ考慮したいのが、鉄道の遅延状況。“よく止まる路線”だと、何かと不便です。そこで遅延証明書の発行状況から、「止まる路線」「止まらない路線」を調べてみました。
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遅延証明書発行日数から見る実態
電車は朝の通勤、通学において欠かせない移動手段のひとつであり、多くの人が利用しています。日本の電車は世界的にも時間に正確と言われており、それ故、遅延が発生した時の絶望感は半端ではありません。朝の忙しい時に、別の移動手段を探したり、遅刻の連絡をしたりと余計な用事が増えてしまいます。「XX線は良く止まる」というような言葉を聞くことがあるように、電車で遅延の頻度に違いがあるのか気になります。
次の表は、国土交通省が発表した、東京圏(対象路線45路線の路線別)における1ヵ月(平均20日間)当たりの遅延証明書発行日数状況の2018年(平成30年)度版を遅延証明書発行日数の多い順に並べたものです。なお、遅延証明書は鉄道会社ごとに決められた発行対象時間帯における基本5分以上の遅れに対して発行されます。
◆東京圏における1ヵ月(平均20日間)当たりの遅延証明書発行日数状況2018
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東京圏における遅延の原因
国土交通省によると、東京圏における電車遅延の原因として、10分未満の小さな遅延では、54%が乗降時の要因となっており、30分以上の大規模な遅延では、故障等による要因(車両・施設の故障等)と災害原因(風水害等)が全体の1/4を占めています。
鉄道会社における遅延対策
鉄道会社が行っている遅延対策には次のような取り組み例があります。
【大規模な遅延への対策】
◆主な原因
車両・施設の故障、自殺、線路立ち入り等
◆輸送トラブルの発生源対策
ホームドア整備(転落防止)、車両の主要機器の二重系化(故障時のバックアップ機能)、啓発活動等
◆輸送トラブルの影響極小化対策
折り返し設備の整備(早期運転再開)、柔軟な運転整理(早期回復)等
【小規模な遅延への対策】
◆主な原因
乗降時間の超過、ドアの再開閉、急病人等
◆ソフト対策
乗車位置サインの変更、ホーム要因・警備員の増員、啓発活動等(スムーズな乗降り)
◆ハード対策
複々線の整備、ホームの拡幅、車両の更新等(輸送力増加、円滑な旅客流動)
出所:国土交通省
各社局の今後の主な遅延対策の取組状況
・ホームドアの整備拡大による安全性の向上…2023年度末頃までに、東京圏在来線の主要路線全駅(330駅※整備済51駅含む)に整備を進める
◆東武鉄道
・ホームドアのエリア整備によるホーム上の安全確保の推進
◆西武鉄道
・ホームドア整備の推進
・輸送実態に合わせたダイヤ改正の継続実施(ダイヤ改正の都度)
◆京成電鉄
・ダイヤ調整の継続実施
・遅延防止に係る各種啓蒙について、駅・社内でのポスター掲出、放送、表示器等を活用して継続実施
・ホームドアの整備
◆京王電鉄
・ホームドアの整備
・分散乗車、時差通勤のさらなる促進
・車両の長編編成化による混雑緩和
・ホームドアの整備の拡大によるホーム安全性の向上
◆東急電鉄
・デジタル自動列車制御装置(ATC)の導入…東横線2022年供用開始
・時差通勤・分散乗車のさらなる促進(ポイント、バス等)
・行政・企業と協働した働き方改革等のさらなる促進
◆京急電鉄
・ホームドア整備の拡大によるホーム上安全確保の強化
・乗客の円滑な乗降の促進(駅構内・車内啓蒙放送およびポスターの掲示の継続)
・運行計画見直しの継続実施(ダイヤ改正時)
・京急線アプリの駅混雑状況表示機能の対象駅の増設
◆相模鉄道
・ホームドアの整備(2022年度までに全駅に設置予定)
・列車定位置停止装置(TASC)の整備
・CBTC(無線式列車制御システム)の導入…丸ノ内線2022年度
・南砂町駅の2面3線化、木場駅のホーム改良、茅場町駅のホーム延長と停車位置の変更(東西線2022年度から)
・車両の長編成化(新宿線では車両更新にあわせて、8両から10両編成へ。2022年度までに全編成を10両編成化。三田線では2022年度から一部の編成を6両から8両編成化)
・駅の大規模改良(浅草線泉岳寺駅:ホームの拡幅やコンコースの拡張、エレベーターの増設等。2024年度に拡幅ホームを併用開始予定)
・浅草線へのホームドアの整備(2023年度までに当局管理の全ての駅での整備完了を目指す)
・時差Bizキャンペーンの継続実施
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