4打数3安打と大いに存在感を放った「打者・大谷」。彼を避けなかったヤンキースブーン監督には批判が殺到している。(C)Getty Images

 大谷翔平エンゼルス)の今季35発目となるホームランは、相手に傾いていた勝機をグッと引き戻す一撃だった。

 現地7月17日に本拠地で行なわれたヤンキース戦で大谷は「2番・指名打者」で先発出場。7回裏に迎えた4度目の打席で3試連続となる特大アーチを放った。2点差を追っていたゲーム終盤。2死一塁の局面で打席に入った背番号17は、相手2番でマイケル・キングがカウント1-2から投じた96.9マイル(約155.9キロ)の4シームをジャストミート。センターオーバーの同点弾としたのだ。

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 打った大谷が一塁ベースを回る際に「シャーッ」と叫んだ振る舞いを見ても、この同点弾がもたらした影響は大きかった。実際、勢いづいたエンゼルスは延長10回裏にマイケル・ステファニックがタイムリーを放ち、逆転でヤンキースを撃破。球場は熱狂のるつぼと化した。

 もっとも、気になるのはヤンキースのプランだ。5回裏の3打席目では2死一、三塁の局面で大谷を申告敬遠させていたにもかかわらず、同点とされた場面では同じく2死だったが、勝負に行き、見事に粉砕されたのだ。

 ヤンキースの首脳陣に「大谷を再び歩かせる」という考えはなかったのか。試合後に地元局『YES Network』などの取材に応じたアーロンブーン監督は、こう明かしている。

「エスコバー(一塁走者)が二塁にいて、(オオタニへの)ストライクカウントが後手に回るような展開になった場合はそれ(申告敬遠)もありえたが、打席に立つ段階でそれはなかった。2点のリードがあって、後ろの打者は.330も打っているし、歩かせるサインは出さなかった。もしも、エスコバーが一塁から進塁し、カウントがビハインドだったら、話は別だった」

 点差を考慮し、マウンドに立ったキングを信頼したブーン監督。しかし、結果的に策が裏目に出る形となり、チームはアメリカン・リーグ東地区で単独最下位となった。ゆえに50歳の指揮官が下した判断には地元メディアやヤンキース・ファンから批判が殺到している。

 ニューヨークの大手紙『New York Post』は「ブーン監督の不可解な決断だった。オオタニはヤンキースに過ちの代償を払わせた」と辛辣に批評。さらに地元局『SNY』は「ブーン監督の決断は実に疑わしいものだ。結果論ではあるが、なぜヤンキースはオオタニという打者を迎えた場面で一か八かの賭けをしたのか」と糾弾した。

 敵将の目論見を見事に打ち砕いた大谷。彼の図抜けた勝負強さには脱帽するほかにない。

[文/構成:ココカラネクスト編集部]

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