魔法の言葉を口ずさむと、6人の少年少女スーパーヒーローに大変身!見た目はオトナ中身はコドモの、“半人前の愛されヒーロー”シャザムが活躍するヒーロー映画第2弾『シャザム!~神々の怒り~』(23)のブルーレイ&DVDセット、4K ULTRA HD&ブルーレイセットが7月19日(水)に発売される。セル版パッケージには本編のほか、メイキングや主要シーンの解説、未公開シーンなど、デヴィッド・F・サンドバーグ監督の本編コメンタリーを含めて3時間半を超える特典映像&音声を収録。

【写真を見る】最大56歳差の“3姉妹”が登場!名女優たちが撮影現場でのお茶目な様子をチェック

特典では、前作から続投となったザッカリーリーヴァイや本作で初参戦の名女優たちをはじめ、デザイン、衣装、セット、スタント、視覚効果など各部門のスタッフたちが、作品に込めた想いやバックストーリーが判明。そこから、映画を隅々まで楽しみたいファンにとって、見逃せない内容を改めて紹介していこう。

神々の力を宿す呪文を唱えることで、ヒーローとして活躍しているビリー・バットソン(アッシャー・エンジェル)と彼の5人の“きょうだい”たち。ローザ(マルタミランス)とビクター(クーパー・アンドリュース)のバスケス家の里子である彼らは、10代の子どもとヒーロー活動の両立に悪戦苦闘する日々を送っていた。そんな彼らの前に「神々の力を奪った」と怒りに燃える神アトラスの娘ヘスペラ(ヘレン・ミレン)、カリプソ(ルーシー・リュー)、アンテア/アン(レイチェル・ゼグラー)が出現。地球にモンスターを放って暴れ出す。

バトルシーンもシャザムたちの秘密な基地も…第2作ではすべてがスケールアップ!

“誕生編”だった前作『シャザム!』(19)に続く今作で、シャザム(ザッカリーリーヴァイ)ら6人は地元フィラルフィアでヒーローとして定着。ただしパッとしない活躍から、メディアから「フィラルフィアの恥」呼ばわりされている。そんな彼らの立ち位置を表しているのが、冒頭のフランクリン橋のシーンだ。6人が崩れゆく橋で立ち往生した車から人々を救出するこのシーン、CGではなく野外セットに数十台の車を並べて撮影された。裂け目から落下する乗用車も、実際に車をワイヤーで吊って撮影。おかげで車内の荷物が下に向かって転がり落ちるリアルなカットに仕上がった。特典では車の配置など設計図面からプリビズ映像、実際の撮影風景、CGの橋を合成した完成カットまで順を追って紹介。大がかり&緻密な舞台裏がじっくり味わえる。

一方、フレディ(ジャック・ディラン・グレイザー)と転校生のアンが放課後に屋上で会う“青春シーン”は、セット背後の巨大なLEDパネルに映像を投影するバーチャルプロダクションで撮影。単に合成処理するよりも、俳優から背景までの空気感を感じられる利点がある。撮影風景に加え、セットとLEDパネルの位置関係やカメラワークを示した図面やプリビズ、リハーサル風景も収録。一つのシーンにどれだけこだわりを持って臨んでいるか、スタッフたちの想いがひしひしと伝わってくる。

視覚効果を駆使して壮絶なスペクタクルを展開するのが、夜のスタジアムでのクライマックス。巨大ドラゴンラドン”を相手に、「これがシャザム?」と思わず2度見したくなるスタイリッシュなヒーローバトルを繰り広げる。白い光に包まれるシャザムの幻想的なビジュアルは、原作のイメージをそのまま実写化したいというサンドバーグ監督のこだわりで、ラフな絵コンテから完成まで順を追って解説。腰をアームに固定して、シャザムの飛行シーンを演じるリーヴァイの表情も気合いたっぷり。ラドンの攻撃で焼け焦げた、ケープなしコスチューム姿(なびくケープはCGで作成)がじっくり拝めるのもうれしい。

シャザムたちの秘密基地“永遠の岩”の紹介もお楽しみ。前作では精霊が宿った神秘の像が並んだ暗く不気味な空間だったが、本作では6人がそれぞれ居心地の良い場所に模様替えしたポップな“たまり場”に大変身。大型テレビやゲーム機、コミックブック、フィギュア、ガムマシンやお菓子など子ども目線で飾ったセットを、美術監督や装飾担当たちが細部まで紹介。居心地の良さと楽しさで、出番を待つ俳優たちの憩いの場になっていたなど裏話も明かされる。作り手たちの遊び心が「シャザム!」シリーズの魅力を支えていると改めて思い知らされる。

赤いスーツに白ケープ、胸に稲妻マークのシャザムのコスチュームも、バージョンアップされている。前作の経験をふまえてマイナーチェンジが加えられ、パッと見は同じだが色の濃さや光沢などカメラ映りがよくなるよう新調された。デザイン的に大きく変わったのはブーツとケープで、特にケープは初期コミックを意識した短めだった前作からモダンなロングに一新された。また前作ではライトを仕込んで光らせた胸のマークは、CGIとライトの併用に変更。スーツ埋め込み型からマグネットによる着脱式にしたことで、ライトの故障などにも対処しやすく進行もスムーズに運んだという。ほかにもガントレットなど装飾品を含めたデザイン画や衣装合わせ、複雑なスーツの着付け風景も収録。スーツの生地の質感がよくわかるクローズアップなど、ファンにはたまらない映像が満載だ。

■三世代の実力派女優が揃う!ヒーローとヴィランが“出会う”秘話

今作のヴィランは、ギリシア神話に登場する神アトラスの娘ヘスペラ、カリプソアンテアの三姉妹。しかも演じるのがヘレン・ミレン、ルーシー・リュー、レイチェル・ゼグラーと豪華な顔ぶれだ。長女ヘスペラを演じたオスカー女優ヘレン・ミレンは現在77歳だが、撮影では自らもアクションを熱演。シャザムとのバトルで壁に叩きつけられたり、逆にシャザムを頭上高く持ち上げたり、ワイヤーを含むスタントをしっかりこなす撮影風景にきっと驚かされるだろう。またヘスペラの最期は『エイリアン2』(86)のオマージュなど、マニアックなネタ明かしも楽しい。

チャーリーズ・エンジェル』(00)や『キル・ビル』(03)などアクション映画で知られるルーシー・リューは、武闘派の次女カリプソ役。ラドンの頭に乗ったシーンは、コンピュータ制御のロボットアームにまたがって撮影された。高さ2mはあるアームの先端での撮影風景や、コミック好きな彼女がいかに撮影を満喫したか楽しそうに語っている。

若手人気女優レイチェル・ゼグラーはミレンとリューに多くを学んだと振り返り、女優同士がこんなに交流するのは珍しいとコメント。とにかく明るくよく笑う彼女の現場オフショットのほか、リモートによるオーディション風景まで収録されている。またゼグラーのキャスティングは『ウエスト・サイド・ストーリー』(21)ブレイクする前に決まっており、彼女を推したサンドバーグ監督の先見の明も明かされた。

前作『シャザム!』のラストにスーパーマンを登場させ、DCファンから喝采を浴びたサンドバーグ監督。今作にもサプライズなカメオを期待していたファンを熱狂させたのが、ガル・ガドット演じるワンダーウーマンの登場だ。彼女の出演シーンについて、撮影秘話も含めて詳しく紹介しているので、DCファンは楽しみにしてほしい。また、ワンダーウーマンといえば、前半の“フェイクシーン”も楽しい見せ場。ウィッグをかぶった魔術師役のジャイモン・ハンスゥの演技や、ガドットのボディ・ダブルをしたテイラー・ケイヒルにも言及という爆笑&マニアックなネタも要チェックだ。

■ホラーファンも必見!映画オタク監督入魂のディテール

ホラー映画でキャリアを重ね、満を持して「シャザム! 」シリーズの監督を任されたサンドバーグ。オタク派監督だけに、本作にもジャンルに対する熱量の高さがあちこちに顔を出している。サンドバーグ監督はジェームズ・ワンの代表作の一つ「死霊館」シリーズの『アナベル 死霊人形の誕生』(17)にも起用され、その名を広く知らしめた。今作では序盤でシャザムが悩みを語る小児科の診察室に、「死霊館」シリーズでお馴染みアナベル人形が置かれている。驚くべきはその隣に本物のアナベル人形(そっくりな人形)が置かれていること!ダブルで呪われそうな診察室だ。

ネーミングのお遊びでは、イタリアホラーの帝王ダリオ・アルジェントマリオ・バーヴァの名前を合体させたダリオ・バーヴァを小児科医の名前に使用。残酷ホラーで知られるルチオ・フルチの名前の看板を出した建物を登場させるなど、ホラー好きならではのイースターエッグを監督がうれしそうに紹介している。

アトラス三姉妹によってフィラルフィアを襲撃した神話の世界の怪物たち。サイクロプスミノタウロスハーピーは神話系モンスター映画で知られる特撮監督レイ・ハリーハウゼン作品でお馴染みのモンスターだ。なかでもサイクロプスは『シンバッド 七回目の航海』(58)そっくりで、ハリーハウゼンの大ファンだというサンドバーグ監督らしいデザインになっている。モンスターたちはCGだが、現場で目安のために使われた着ぐるみモンスターが暴れる撮影風景もおもしろい。

■監督が「捨てるのが惜しい」と悔しがる!?未公開シーン&裏設定

短い映画が好きなサンドバーグ監督は、テンポをよくするため編集段階で可能な限り映像をカットしたと語っている。残念ながら完成版では省かれた約30分もの映像を、未公開シーンとして収録。なかにはストーリーを補完する重要なシーンも含まれている。

アクションがらみでまず注目は、冒頭の美術館の襲撃シーン。ヘスペラが警備員の銃や展示品の金属の盾を高熱で溶かし、ドロドロになった金属を『ターミネーター2』(91)のT-1000のように鋭い槍に変形させて警備員を刺し殺す。ほかにもフードコートでシャザムたちにヘスペラを連れ去られたカリプソが、簡易トイレにいた男を杖で串刺しにするくだりもカット。サンドバーグ監督らしい見せ場だが、少し刺激が強すぎかも?

ほかにもシャザムが“金のリンゴ”の争奪戦のさなかリンゴをかじったり、スタジアムの最終決戦の地でボニー・タイラーの名曲「ヒーロー」を熱唱したり、街を覆う透明なドーム関連のスケール感あるCGシーンなども見ごたえがある。クライマックスの感動的なカミングアウトの伏線となる会話や、きょうだいの最年長メアリー(グレイスキャロラインカリー)が抱える悩みが伝わるシーンに、シャザムがヘスペラを「おばさん」呼ばわりするひと幕も…キャラクターたちの内面をより知ることができるエピソードにも注目だ。

アクション、ユーモア、スペクタクル、そして成長していくビリーたちのドラマを含め、さらにスケールアップした『シャザム!~神々の怒り~』。映画の舞台裏やスタッフ、キャストの想いやこだわりを知ることで、さり気ないカットに込められた意味や隠された意匠にも気づくはず。大ボリュームの特典映像は、いつでも好きな時に見返せるパッケージの楽しみをより深めてくれるのだ。

文/神武団四郎

『シャザム!~神々の怒り~』の撮影秘話が満載/DC LOGO, SHAZAM! and all related characters and elements [c] & TM DC. Shazam! Fury of the Gods [c] 2023 Warner Bros. Entertainment Inc. All rights reserved.