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フルニエ・マルカディエとは

フルニエ・マルカディエFM01。この車名を見たり聞いたりしたときに、すぐさまバルケッタのシルエットや概要をイメージできる人は相当なフランス車好きだろう。
 
6月に今季の初戦が実施された「東京ベイサイドクラシック・カップ・シリーズ(TBCC)」のスポーツ走行クラスに参加した1963年式のフルニエ・マルカディエFM01は、そのレアさ具合からパドックにおいてたちまち注目の的となった。

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オーナーの村田正二さん(52歳/サポートスタッフの中村 順さんも来場)は、最初のオーナーをはじめとする往時のヒストリーが判明しているフルニエ・マルカディエFM01を7年ぐらい前に買ったとのことで、同車は自転車カートのフレーム製作者であるマルカディエさんと外装担当のフルニエさんが造ったクルマ(フランスのキットカー)なのだという。FM01の“01”は、フルニエ・マルカディエがリリースした車両の第一号であることを意味している。

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村田正二さんのフルニエ・マルカディエFM01    高桑秀典

村田さんは1973年1月に開催されたモンテカルロ・ラリーでパット・モス選手がドライブしたアルピーヌA110 Gr.4、1974年式アルピーヌA110 1600SC、1969年式フルニエ・マルカディエ・バルゾイ(クーペ仕様)、1969年式アルピーヌA340フォーミュラ/元ボブ・ウォレックの愛機)なども所有している生粋の自動車趣味人だ。

セミワークスカーのA110 Gr.4は本来1796ccエンジンを積んでいるが、このパワーユニットは整備済み状態でガレ―ジ内に保管しており、現在は1600ccを搭載している。つまり、既述した5台のフランス車は、いずれもゴルディーニエンジンを積んでいるということで、電気系や足まわりも含め、A110とルノー8ゴルディーニと同じなのであった。

世界的に有名なスポーツカーのパーツを使えるのでメンテナンスがラクなのかと思いきや、そうもいかない部分があるという。駆動系が特殊なので、そこがダメになるとツライらしいのだ。

車体・スペアパーツの入手方法

「A110用のパーツを調達済みで、それを1600用と1300用で分けています。このバルケッタリヨンにあることが分かり、フランスまで行って、A110も所有しているオーナーオリバーさんから話を直接聞いて、個人で日本に入れました。車体に描かれている69はリヨンの地区番号です」

フランスにもヤフオクみたいなleboncoinというサイトがあって、日本からは買えないのですが、そこでパーツを見つけたらすぐさまオリバーさんに連絡し、買ってもらっています」

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フランスの情報掲示板・個人取引のサイトとして知られる「Leboncoin」を利用してパーツを手に入れている。    高桑秀典

そのように話してくれた村田さんによると、フランスから日本に運んできたフルニエ・マルカディエFM01のリアサスペンションフォーミュラ用になっているため、ハブ/ドライブシャフトがダメになるとマズイそうなのだ。そして、バルブ、ピストンシリンダーはたくさん流通しているが、エンジンヘッドが僅少なので、手に入るのであれば予備を持っておきたいともコメントしてくれた。

北九州にも村田さんと同じようにフルニエ・マルカディエのバルケッタとバルゾイを持っているA110オーナーがいて、彼の愛機はクーペ仕様のリアサスペンションフォーミュラ用になっているのだという。どうやらフルニエ・マルカディエFM01は、オーダー時にリアサスペンションの仕様を選べたようなのだ。

村田さんの濃密なカーライフ

ちなみに、村田さんのバルゾイはleboncoinで見つけたもので、北九州オーナーの紹介でコンタクトをとったフランスのクラブ員からバルケッタよりも先に買っている。

このクラブ員がオリバーさんを紹介してくれたので、バルケッタも購入することができたというわけだ。村田さん曰く「バルケッタは自分ですでに10回ぐらいトランスミッションを降ろしており、クラッチを交換したりしています。メーターがシムカ用だったので、これをJAEGERに変えたりもしました」とのことなので、自分でメンテナンスできる部分に関しては実践することで、ランニングコストを抑えているのであった。

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取材に応じてくださった村田さんと中村さん。    高桑秀典

愛車を整備できる村田さんは、もともとラリーが好きで、大学時代に乗っていたパジェロで林道を走ったり、クロカン走行を楽しんだりしていたらしいが、27歳のときにプジョー306カブリオレを買い、29歳のときに1965年式のアルファ・ロメオ1600GTVを購入。GTAレプリカになっていて、このクルマを40歳になるまでの11年間愛用したそうだ。
 
ランチアデルタの購入を奥さまに反対され、アルファ・ロメオを買ったそうだが、漫画家・西風さんの代表作であるGTロマンの影響で、大学生のときから段付きに憧れていたらしい。40歳でアルファ・ロメオを手放した後、ナローポルシェのことが気になり、1972年式のポルシェ911Tを購入。この911をキープしながら1967年式のロータス・エランSr.3 FHCを増車し、現在も愛用しているアルピーヌA110 Gr.4をゲットした。

ガレージがある別荘の近くに湖があり、その周囲を走るためにフィアット・ヌォーヴァ500を買ったこともあるそうだが、あまり乗らなくなったので手放し、代わりにランチアデルタHFインテグラーレ16Vを購入したとも話してくれた。そのような濃密なカーライフを堪能する中でアルピーヌが一番オモシロイと思い、A110はRRだが、フランス製の軽量ミドシップ車のことが気になり始めたのでフルニエ・マルカディエを買ったのであった。またどこかのサーキットで、バルケッタフォーミュラを駆る村田さんの勇姿を拝見できるだろう。

11シーズン目のTBCC開幕!

TBCCは、袖ヶ浦フォレストレースウェイを会場として年間4戦で開催されているレース形式走行会だ。大雨の影響でコース上に川が出現した6月の開催は11シーズン目の初戦となる第41回TBCCで、走行開始時間になって雨が止み、何とか最終走行枠まで実行することができた。

往年の輸入車と懐かしい国産車が参加している点がTBCCの特徴だが、戦前車を対象としたヴィンテージ・スポーツクラスや昨今のクルマも参加できるスポーツ走行クラスなども用意されている。

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クラブマンズ・カップのようす。次戦のTBCCは、袖ヶ浦フォレストレースウェイで9月10日に開催される。    高桑秀典

レース形式走行会のほうは、袖ヶ浦フォレストレースウェイを本気で走るサーキットイベントながらドライバーの腕とクルマの性能によるラップタイムにより絶妙なクラス分けが行われており、思い思いのスタンスとスピードで安全にバトルを楽しめるように配慮されている。敷居の低いサーキットイベントなので、毎回数多くの参加者を集めていることも特筆すべきポイントだ。

レースリザルトは下記のとおり。

入門者向けのクラブマンズ・カップは1997年式ローバーミニの吉野選手が1位。その上位クラスとなるクリスタル・カップは1979年式MG Bの曽我選手が1位。さらにその上位クラスとなるスーパークリスタル・カップは1972年アルファ・ロメオスパイダー・ヴェローチェの紅粉選手が1位。最上位クラスのハイパークリスタル・カップ・クラスは1967年式ジネッタG12の高雄選手が1位だった。次戦となる第42回TBCCは9月10日に開催される予定だ。


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