株式会社リベラル社(名古屋市中区・代表取締役社長:隅田 直樹)は、『AI時代を生き抜くための 仮説脳』(竹内 薫 著/990円税込)を2023年5月19日に発売。2ヶ月経過の7月に重版が決定しましたことをお知らせします。

発売すぐにAmazon防災関連部門で1位にランキング。アフターChatGPT時代のビジネスパーソン必読書として、大きな話題を呼んでいます。

<以下、著者である竹内 薫より(本文一部抜粋・リライト)>

■「AI(人工知能)」をどのように自分のビジネスに導入すればいいか

 今多くの企業やビジネスパーソンが模索しているこの課題について、まずやるべきことは何でしょう。

 それはAIやそれにまつわる技術革新について深く知ること。これに尽きるのではないでしょうか。AIの基本的な仕組みだけは知っておいて損はありません。そのうえでこの現代社会において「AIによって何がどう変わっていくか」という情報にアンテナを向け、「自分たちなら何ができるのか」という仮説を立てていくことが、今できる企業の生存戦略になるのです。

 そして、自分が従事しているビジネス分野で何が起きているかを把握しながら、「ビジネスアイデア」の仮説をいくつも立てて検証し、そこから究極の仮説に到達する必要があるのです。

画像1_表紙

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http://liberalsya.com/kasetsunou/

AI時代を生き抜くための 仮説脳

■出版業界にもAIによるイノベーションが起こっている

 私がサイエンス作家として活動する出版業界にも、AIによるイノベーションが起こっています。私は翻訳本を手掛けることもあるのですが、2022年からAIを駆使して翻訳しています。それまでは、まず翻訳を生業としている私の妹に8割程度の下訳をしてもらい、そこから私が科学的に正しいかどうかを判断しながら誤訳を修正したり、表現を直したりして仕上げていました。

 仮に300ページの翻訳本を翻訳するため、妹に下訳を頼むと約2カ月から3カ月ほどかかり、費用としては最低でも50万円くらいはかかっていたのです。

 ところが、AIの翻訳ツールは同じレベルまで仕上げるのにたった3分でできてしまうのです。しかも、翻訳ツールの費用はひと月たったの1000円程度です。

 つまり、1冊の本を翻訳するのに50万円かかっていたものが、1000円ほどでできてしまうというのです。これは革新的だと思いませんか?

 下訳の仕事がなくなった妹は意気消沈しているでしょうか? いえ、逆なのです。もともと文章力はあるので、私の外注の仕事に割いていた時間を、自分で翻訳する仕事にあてることができます。つまり、妹もAI翻訳を使って下訳をつくり、最後の編集作業に集中できるため、これまでよりもたくさんの翻訳本の仕事をこなすことが可能になりました。

 こうした事例は枚挙にいとまがありません。これが今、第4次産業革命が急速に進行しているなかで、現実に起きていることなのです。

■機械化・自動化による労働コストカットの余波

 「もし今後、自動運転の技術が目覚ましい発展を遂げたらどうなるのか?」

 これは、約22万人いるタクシー運転手にとっては、極めて重要な死活問題なのです。

 私が調べたところ、2021年にはレベル3の機能を搭載した市販車の販売がすでに始まっており、レベル4の自動運転もタクシーやバスでの実証サービスも盛んに行われています。仮に私が現在、タクシー運転手だとしたら、同じ業種の中で生き残る方法と転職に分けて考えます。

 たとえば、介護タクシーや高級ハイヤーなどは、あえて人間がやることに価値があるので生き残る可能性があります。逆に、ふつうのタクシーの運転手の仕事はほとんどなくなるでしょう。

 また同様に生存戦略が必要と思われるのは、「レジ係」の仕事をしている人たちです。

 日本のセルフレジは、利用客が自分で商品バーコードをスキャンし、精算し、袋詰めをする流れが主流ですが、何人かのレジスタッフを配置しているのが特徴だといえます。

 ところがアメリカはさらに一歩先を進んでいます。セルフレジではなくレジそのものがないお店が増えているのです。

 2018年にシアトルで「Amazon Go(アマゾンゴー)」の1号店がオープンしました。アマゾンゴーはただのコンビニではありません。AIやコンピューターを駆使することで、なんと店舗でのレジ精算なしで商品を買うことができる画期的な店舗なのです。

 こうした自動運転や自律型店舗など、機械化・自動化による労働コストカットの流れは今後も止まることはないでしょう。これも一つの仮説です。

 この仮説が正しければ、まちがいなくこの先多くの企業でさらなる機械化・自動化を見越してリストラや早期退職を募る動きが出てくるはずです。

画像2_図4

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■AIの扱い方をマスターできれば、今のままの職場で仕事を続けられる!?

 経理事務員や一般事務をはじめ、臨床検査技師や、弁護士の助手、金融機関のコンサルタント会計士など、高度な知識や学歴が必要とされる職種でさえ、ルーティンワークの部分も多くあり、それがAIで代替えされるようになれば、その存在価値は非常に危うくなっていきます。

 一般事務の仕事をしている人はどんな仮説を立てるべきでしょうか。

 私の仮説はシンプルです。まず、事務の仕事において、人間がゼロになることはないでしょう。なぜなら、AIがやった仕事を「監査」する人間はいつになっても必要だからです。事務職が多い職場も、実はすでに自動化の波が押し寄せており、かなり人数が減っているはずです。ですから、AIの扱い方をマスターできれば、今のままの職場で仕事を続けられる可能性はあるでしょう。

 ただ、いまのルーティンワークがあまり好きでなかったり、苦になっているのであれば、思い切って、リスキリングにエネルギーを振り向ける方策もあるかと思います。

 また、医師や公認会計士などの専門職はどうなるでしょうか。たとえば医師については、診断そのものはどんどんAI化されるものの、患者さんの心のケアなどは、引き続き、人間の医師がおこなうだろうと言われています。看護師も同様です。現在のAIには心のモジュールがないのがその理由です。

 あるいは、公認会計士のような仕事の場合、「計算」そのものはすでに自動化されており、さらにAI化が進むと思われますが、非常に複雑な人間関係やコネクションを駆使した「コンサルティング」の部分は、人間でないと手に負えません。やはり、人間の心と密接に関係しているからです。どの職種においても、パターン化されたことばかりやっているとAIに仕事を奪われるものの、人間の付加価値である「心の部分」が重要となってきます。そんな未来が見えてきました。

■生成AIを使って子どもが宿題をやってきたら?どう注意する?

 最近のニュースで話題もちきりの対話型AI「ChatGPT」。

 学校で生徒や学生がChatGPTを使って宿題やレポートを出してくるということが後を絶ちません。

 実際、私が経営するインターナショナルスクールでも、まさに生徒がChatGPTにやらせた宿題を提出してきました。いったいどうすればいいのでしょう?

 答えは簡単です。AIにはAIを。そもそもネットで提出してきている宿題なので、私はすぐさま宿題のテキストを盗用検出ソフトにかけました(Turnitin、Copyleaks、Quetextなどがあります)。すると、70%の確率でネットからのコピペであることがわかったのです。ChatGPTを使ったかどうかはその時点でわかりませんでしたが、数字をもとに生徒と面談し、ChatGPTを使ったことがわかりました。

 そこで、私はこの生徒に次のように注意しました。

「最新技術を駆使した点は評価できる。それでこそ先進教育をやっているウチの生徒だ。でも、今のままだと、そこには君のオリジナリティがないんだ。実際、70%はネットからのコピペだったわけだし。君に足りないのは、私がやったように盗用チェッカーも駆使したうえで、最後は、自分で内容を理解し、自分の言葉で書き換える作業なのさ。わかるかい?」

 いかがでしょう?なにも慌てる必要はありません。将棋のプロ棋士だってAIを駆使して研究している時代なのです。でも、対局の最中にAIを使ったら失格です。ようするに、最新のAI技術には、使いこなすためのルールとノウハウがあるのです。

■社会現象、自然災害、風評被害、感染症についての仮説を立てて、いざというときに命を守る

 流れが速く混沌とした今の時代において、仮説を持たずに生きていくのは、それこそ何の武器も持たずに戦場に足を踏み入れるのと同じくらい危険だということを、肝に銘じてください。つまり、仮説を立てなければ、ビジネスに限らず、さまざまな生存戦争を生き抜けないことが私たちの身の周りで起きています。

 戦争による物価高、集中豪雨による自然災害、SNSやメディアでの立場を揺がしかねない風評被害、感染症がいつパンデミックを引き起こすのかということはピンポイントで予測できないにせよ、社会現象、自然災害、風評被害、感染症についての仮説は、いつも頭の中に置いておくと準備ができるので、いざというときにあなたと周りの人たちの命を守ることができます。

<参考資料(本文抜粋PDF)>

AI新時代を生き抜く仮説脳_本文1_仮説を立ててシミレーションする癖をつける

https://www.atpress.ne.jp/releases/362942/att_362942_1.pdf

AI新時代を生き抜く仮説脳_本文2_仮説を立てて準備することで生まれる成功や利益

https://www.atpress.ne.jp/releases/362942/att_362942_2.pdf

■著者について 竹内 薫(たけうち かおる)

理学博士。サイエンス作家。YES International School校長。1960年東京生まれ。東京大学教養学部、理学部卒業、マギル大学大学院 博士課程修了。科学ジャンルで発信を続け、小説、エッセイ、翻訳などを中心に200冊あまりの著作物を発刊。主な著書に『99.9%は仮説~思い込みで判断しないための考え方』(光文社新書)、『教養バカ ~わかりやすく説明できる人だけが生き残る(SB新書)、『素数はなぜ人を惹きつけるのか』(朝日新書))など多数。訳書に『WHAT IS LIFE ? 生命とは何か』(ダイヤモンド社)、『超圧縮 地球生物全史』(ダイヤモンド社)がある。

■本書について

タイトル:AI時代を生き抜くための 仮説脳

著者  :竹内薫

定価  :990円(税込)

仕様  :新書判並製/232ページ

発行  :リベラル

発売日 :2023年5月19日

http://liberalsya.com/kasetsunou/

AI時代を生き抜くための 仮説脳

■会社概要

商号  : 株式会社リベラル

所在地 : 愛知県名古屋市中区栄3-7-9 新鏡栄ビル8F

代表  : 隅田直樹

設立日 : 1984年

事業内容: 書籍の出版および関連事業

URL   : http://liberalsya.com

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