ラグビーワールドカップ2023』まで残り4試合。ラグビー日本代表が国内での『リポビタンDチャレンジカップ2023 パシフィックネーションズシリーズ(PNS)』3連戦、そしてイタリアでの『リポビタンDツアー2023』に臨む。

7月8日ジャパンXVとして挑んだオールブラックスXVとの初戦は6-38の完敗。7月15日・日本代表として対峙した第2戦は開始26分にFB松島幸太朗のトライとSO李承信のPGで13-12と逆転するも、30分から前半後半をまたいだ20分間で4トライを畳み掛けられた。54・59分WTBセミシ・マシレワが連続トライを奪ったが、オールブラックス予備軍を慌てさせるには至らず27-41で連敗を喫した。

次戦からは国と国の真剣勝負であるテストマッチとなる。もちろんキャップ対象試合だ。ただ『リポビタンDチャレンジカップ2023 PNS』第1戦で当たるサモア代表とは『RWC2023』プールD第3戦で激突する。あくまで大事なのは本大会での勝利である。ベストメンバーで持てるものをすべて使って勝ちにいくのは得策ではない。

7月20日サモア戦のメンバーを選出したジェイミー・ジョセフHCは『RWC2023』の前哨戦となる今回の戦いをこのように位置付けた。 「今回の試合をビルドアップのひとつと考えている。オールブラックスXVとの試合でも満足する部分もあった。1対1のタックルやターンオーバーなど満足していない部もあるが、それは長らく代表の試合から離れていたことが原因。そこに関しては成長していかないといけない。サモアとの試合は『PNS』の1試合として見ている。あまり先のことは見ていない。サモアとは過去16回戦い、5回しか勝っていないことから考えても強い相手なのは確か。我々は今週のゲームをビッグマッチとしてとらえている」

李承信 (C)スエイシナオヨシ

ジョセフHCは先週のゲームから先発5人を入れ替えたメンバーを登録した。

【日本代表】
1稲垣啓太(埼玉パナソニックワイルドナイツ)45
2坂手淳史(埼玉パナソニックワイルドナイツ)33
3具智元(コベルコ神戸スティーラーズ)21
4ジェームス・ムーア(浦安D-Rocks)13
5アマト・ファカタヴァ(リコーブラックラムズ東京)0
6ジャック・コーネルセン(埼玉パナソニックワイルドナイツ)12
7姫野和樹(トヨタヴェルブリッツ)25
8リーチ マイケル(東芝ブレイブルーパス東京)78
9流大(東京サントリーサンゴリアス)30
10李承信(コベルコ神戸スティーラーズ)6
11ジョネ・ナイカブラ(東芝ブレイブルーパス東京)0
12中野将伍(東京サントリーサンゴリアス)6
13ディラン・ライリー(埼玉パナソニックワイルドナイツ)10
14松島幸太朗(東京サントリーサンゴリアス)47
15山中亮平(コベルコ神戸スティーラーズ)27
16堀江翔太(埼玉パナソニックワイルドナイツ)68
17クレイグ・ミラー(埼玉パナソニックワイルドナイツ)9
18垣永真之介(東京サントリーサンゴリアス)11
19ヘル ウヴェ(クボタスピアーズ船橋・東京ベイ)16
20福井翔大(埼玉パナソニックワイルドナイツ)0
21齋藤直人(東京サントリーサンゴリアス)11
22松田力也(埼玉パナソニックワイルドナイツ)29
23長田智希(埼玉パナソニックワイルドナイツ)0
※所属チームの後の数字は代表キャップ数。

山中亮平 (C)スエイシナオヨシ

松島をWTBに配し、山中をFBに据えた意図を問われると、指揮官はこう答えた。
「自分たちのプランの中で、どこかの段階で彼に機会を与えることを考えていた。山中は経験も豊富で、キッキングゲームとハイボールの処理、コミュニケーションも素晴らしいので、今回彼と周りのメンバーとのコンビネーションを見てみたいと思った」

前戦に続き、今回もHO坂手とFL姫野が共同でゲームキャプテンを務める。
「坂手は浦安合宿でケガしたが、戻ってきた。過去2シーズン主将をやってきて経験も豊富、彼はいいリーダーだと思うので、今回主将を担う機会を与えようと思った。ほかの選手も彼をフォローし、しっかり付いていってほしい。姫野は先週主将としてすごくいい仕事をしてくれたので、坂手と堀江が入れ替わった時に姫野には主将としてチームをリードしていってほしい」

ジョセフHCは『PNS』3試合でのメンバー編成の青写真を明かした。
「『PNS』をひとつのトーナメントと考えているし、『RWC』へのステップアップとして考えている。アマトは安定して試合に出ているが、今のパフォーマンスをこのまま継続して見せてもらいたい。ほかの選手も今回の試合のパフォーマンス次第で使っていきたいが、33名の『RWC』登録メンバーを考えると、限りがある。機会を得たら自分たちのパフォーマンスをしっかり出してチャンスを掴んでいくことが重要だと思っている」

チームとして総仕上げは大会直前のイタリア戦になるのか。
「新しい選手も入ってきて、若い選手もいる。彼らに機会を与えないといけない。テストマッチのプレッシャーの中でのパフォーマンスは、テストマッチの中でしかわからない。福井はいい方向に向かっているが、彼にプレッシャーを掛け過ぎないようバランスも大事。福井や長田は素晴らしいポテンシャルを持っているし、将来性も十分ある。私は自信を持って彼らを試合に送り出している。経験豊富な選手とやることによって彼らがうまくいくし、タフな相手と戦うことで彼らが成長していく。『RWC』に向かっていく中でそういう選手起用をしている」

福井翔大 (C)スエイシナオヨシ

さらにジョセフHCは今回もメンバーから外れたLOワーナー・ディアンズとWTB木田晴斗についても言及した。
「木田に関しては『リーグワン』のファイナルの後で足をケガして浦安合宿でほとんど練習できなかった。リハビリをしてから戻ってきたが、逆の足をケガした。そして今週はウイルスに感染した。ほとんど練習ができていなので、来週のゲームも難しいだろう。ワーナーは浦安合宿の半ばくらいに肩のケガをして3週間くらい練習できなかったが、戻ってきた。彼がここからしっかりコンディションを上げてくれば、来週の希望は見えてくると思っている」

一方、日本との対戦成績で大きく勝ち越しながら、『RWC2015』『RWC2019』で黒星を喫しているサモアには追い風が吹く。昨年、ワールドラグビーは代表でプレーする規定を変更した。代表チームで最後に試合出場してから36か月間以上経過し、当該選手が代表資格変更を希望する国で生まれているか、両親や祖父母のうち誰かがその国で生まれていれば、一度だけ代表資格を変更できるのだ。今回の10番を背負うのは『RWC2019』にオーストラリア代表として出場したワラビーズ26キャップを誇るクリスチャン・リアリーファノである。ニュージーランド代表キャップ50の『RWC2015』優勝メンバーであるPRチャーリー・ファウムイナもリザーブに名を連ねる。

サモア代表】
1ジョーダン・レイ
2ルテル・トライ
3ポール・アロエミール
4ブライアン・アライヌウエセ
5マイケルカリー
6タレニ・セウ
7アラマンダ・モトゥガ
8ソオタラ・ファアソオ
9ジョナサン・タウマテイネ
10クリスチャン・リアリーファ
11トゥムア・マヌ
12ダンカン・パイアアウア
13ウルパノ・ジュニア・セウテニ
14ネリア・フォマイ
15ダニー・トアラ
16レイ・ニウイア
17ティエティエ・トゥイマウンガ
18チャーリー・ファウムイナ
19ジェネシス・マメア=レマル
20ミラクル・ファイイラギ
21エレアタラ・エナリ
22マルティーニ・タラプシ
23エド・フィドウ

ジェイミー・ジョセフHC (C)スエイシナオヨシ

リポビタンDチャレンジカップ2023 パシフィックネーションズシリーズ』日本代表×サモア代表は7月22日(土)・札幌ドーム、日本代表×トンガ代表は7月29日(土)・東大阪市花園ラグビー場、日本代表×フィジー代表は 8月5日(土)・秩父宮ラグビー場にてキックオフサモア戦とフィジー戦は日本テレビ系トンガ戦はNHK総合にて生中継。チケットはトンガ戦のみ予定枚数終了、サモア戦とフィジー戦のチケットは発売中。

8月15日(火)に『RWC 2023』を戦う33名のメンバーを発表、当日東京・丸の内で『ラグビー日本代表 BRAVE 壮行会 2023 #選手もファンもひとつになって世界へ』を開催する。

日本代表は8月26日(土)・イタリア トレヴィーゾでの『リポビタンDツアー2023』イタリア代表戦を経て、『RWC 2023』へ突入。9月10日(日)・フランス トゥールーズでのチリ代表戦、17日(日)・ニースでのイングランド代表戦、28日(木)・トゥールーズでのサモア代表戦、10月8日(日)・ナントでのアルゼンチン代表戦がラインナップ。

取材・文:碧山緒里摩(ぴあ)

リポビタンDチャレンジカップ2023 パシフィックネーションズシリーズのチケット情報
https://t.pia.jp/pia/event/event.do?eventBundleCd=b2343925

姫野和樹