科学者である中鉢博士の「タイムマシン開発発表記者会見」に訪れた「岡部倫太郎」は、会場となっているラジオ会館で「牧瀬紅莉栖」が死亡しているのを発見します。あまりにもショッキングな出来事に気が動転し、友人であるダル(橋田至)に「牧瀬紅莉栖が何者かに刺されたみたいだ」というメールを送信してしまうのです。そのメールがきっかけとなり、「牧瀬紅莉栖」が生きている世界に変わってしまいます。変わりゆく世界の中、運命に翻弄されつつも抗うのが、『Steins;Gate』という物語。今回はその主人公である「岡部倫太郎」についてご紹介したいと思います!


【※一部、ネタバレの内容を含む可能性が御座います。ご注意下さい。】


マッドサイエンティスト鳳凰院凶真

 岡部倫太郎は、自らをマッドサイエンティスト鳳凰院凶真と名乗っています。しかし、いわゆる厨二病というものにかかってしまっている・・・というわけではないのがこのキャラクターの魅力の一つなのです。

 岡部倫太郎厨二病患者ではなく、わざと鳳凰院凶真という厨二病を演じているのです。それは、幼馴染椎名まゆりを安心させるため、他界したおばあちゃんのところに行ってしまいそうで不安なまゆりを、この世につなぎとめておくための、幼き日に倫太郎が考え出した苦肉の策なのです。ストーリー終盤あたりから倫太郎は精神的に辛くなってしまい、鳳凰院凶真であることを捨ててしまいますが、再び鳳凰院凶真と名乗りを挙げる時の口上は、とても人気ですよね。

■仲間想いなエゴイスト

 また、岡部倫太郎は本当に仲間想いな男です。仲間の願いを無視できず、危険を知りながらもDメール(過去に送信することができるメールで、これを送ると内容によっては世界が変わってしまう)を送らせたりします。そして、結果的に世界をもとに戻す時になっても、仲間の想いを踏みにじることはできないと頭を悩ませるのです。まゆりを助けるためには、自らが人としての心を無くして何も感じなくなってしまっても、何度も何度もタイムリープをする姿には、仲間想いという単純な一言では言い表せないほどの何かを感じますよね。そんな彼の熱い想いに、私たちは惹きつけられるのでしょう。

■なぜか感情移入しやすい

 タイムリープやそれに伴うバタフライエフェクトタイムパラドックスという突拍子もない事象をテーマにした作品の主人公であるにも関わらず、非常に感情移入しやすいのも、岡部倫太郎の魅力の一つではないでしょうか。途中で諦めそうになったり、くじけそうになったり、悩んだりしながらも結局諦めずに戦い続ける姿勢や、心がどんどんおかしくなっていく様子が緻密に描かれていて鮮明に想起できることが、感情移入のしやすさにつながっているのだと思います。

■飛び抜けた能力などない

 自らの能力である「リーディングシュタイナー」も実は誰にでも発生し得ることで、それが顕著に出ているだけだったり、人より運動神経が鈍かったり、決して人よりずば抜けて頭が良いわけではないという、ある意味では平々凡々な人物なのです。しかし、このことが視聴者に親近感を与え、結果的に倫太郎の人気につながっているのではないでしょうか。

 岡部倫太郎は、今でもとても人気の高いキャラクターの一人です。Steins;Gateというゲームは、科学アドベンチャーシリーズの一つなのですが、シリーズはまだ続くので、再び倫太郎が活躍することもあるかもしれませんね。楽しみです。


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★記者:賀見ぽんた(キャラペディア公式ライター)

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