首都圏における22年の中古マンション成約価格は右肩上がりの推移をたどっており、夢のマイホームはどんどん手の届かない存在になりつつあります。しかし、少し通勤時間が伸びることを我慢すれば、平均的な収入のサラリーマンであっても余裕の返済プランでマイホームを構えられる“穴場の街”はまだまだ存在します。いま、会社員が買える街……今回は「新越谷」に焦点をあてます。

『越谷サンシティ』のリニューアルが進行中

国土交通省『土地白書』によると、首都圏・中古マンションの平均成約価格は右肩上がりの傾向をたどっており、22年は前年比10.5%増の4,276万円。とくに都心の物件は、中古でさえも手を出しづらい水準になっています。しかし、少し通勤時間が伸びることを我慢すれば、平均的なサラリーマンでも十分にマイホームを購入できる穴場の街はまだまだ残っています。

たとえば今回取り上げる「新越谷」。

「新越谷」駅は東武伊勢崎線の停車駅です。武蔵野線「南越谷」駅との接続駅ということもあり、22年度の1日あたり乗降客数は平均134,580人。東武伊勢崎線内では、「北千住」駅(382,081人)に次いで2番目の利用者数を誇ります。東武伊勢崎線準急を利用すれば、「北千住」駅までは2駅・15分、武蔵野線「南越谷」駅からは、常磐線接続駅の「新松戸」駅まで19分、東京メトロ東西線接続駅の「西船橋」駅までは35分です。

「新越谷」駅周辺のトピックといえば、『イオン南越谷』をはじめとするテナントが入居する複合施設『越谷サンシティ』のリニューアル。1979年に開業した『越谷サンシティ』は、市役所の出張所や図書館なども備えるコミュニティスペースとして、地元住民の集いの場でした。しかし、1998年に「新越谷」駅直結でオープンした『新越谷VARIE』や、2008年に武蔵野線の新駅を伴って開業した『イオンレイクタウン』の攻勢に押され、徐々にそのにぎわいを失っていきました。

そこで越谷市は19年、『南越谷駅新越谷駅周辺地域にぎわい創出懇談会』を設置。街づくりの専門家や地元の有識者を委員とし、駅周辺地域のにぎわい創出について意見交換を行いました。21年には『南越谷駅新越谷駅周辺地域にぎわい創出事業構想案』を策定。駅周辺に活気を取り戻すため、『越谷サンシティ』の商業棟・ホール棟の全面建て替えを含む再開発計画をスタートさせました。

しかし23年5月、越谷市はコロナ禍やウクライナ情勢による建築資材の高騰を受け、計画の見直しを発表。新たな計画では、ホール棟は大規模改修にとどめ、商業棟のみを解体・建て直しを行うこととし、29年の商業棟リニューアルオープンに向けて工事が進行中です。

東武伊勢崎線武蔵野線の2路線2駅を利用でき、また、国道4号線へもアクセスが良いため車移動にも便利な「新越谷」。風や雨による遅延が多い武蔵野線には懸念が残りますが、マイホームの候補地として選択肢に挙げてもよいのでしょうか。

「新越谷」ならファミリータイプの中古マンションが3,200万円程度で購入可能

巨大ターミナル駅の「北千住」駅まで東武伊勢崎線準急で3駅、わずか15分でアクセスできる「新越谷」。国土交通省『土地総合情報システム』によると、駅徒歩20分圏内で取引された中古マンションの平均取引価格は2,480万円、平均平米単価は39.1万円であり、単純計算では80平米程度の中古ファミリーマンションを3,100万~3,200万円で購入可能です。

実際に平均的な会社員が「新越谷」で中古ファミリーマンションを購入した場合の返済プランをみていきましょう。

東京の会社で働く会社員(平均年齢:44.0歳)の平均給与は月収41.2万円、賞与も含めた年収は666万円です。駅周辺に購入するマンションの価格は平均的な価格帯の3,200万円。頭金を2割(640万円)入れ、残りは住宅ローンを活用します。返済方式は元利均等、金利0.5%・返済期間30年とすると、利息分は約197万円、月々の返済額は7万6,592円となります。ローンの返済額は年収の13.8%であり、かなり余裕のある返済プランであるといえます。

そんな「新越谷」の住み心地について、乗換駅としての利便性や、周辺の買い物環境を高く評価する人が目立ちます。

東武伊勢崎線「新越谷」駅と武蔵野線「南越谷」駅の2駅2路線を利用できて便利

●日用品の買い物なら駅周辺で完結できる。飲食店も多く、外食には困らない

●隣駅のショッピングモールイオンレイクタウン』は丸一日楽しめるほど多様なテナントが入っている

一方、越谷市が2022年における埼玉県内での犯罪発生率ワースト7位ということもあり、治安を不安視する声も多く聞かれます。

●パチンコ屋や居酒屋が多く、夜になっても騒がしい

●駅近くのコンビニ前で自転車を盗まれたことがある

●駅から離れると極端に街灯が少なくなり、女性の一人歩きは不安

治安については少々不安が残る「新越谷」ですが、物件価格の安さと都内へも十分に通勤可能なロケーションは魅力です。1日では回り切れないほど巨大なショッピングモールイオンレイクタウン』へはたった1駅、駅近くの『越谷サンシティ』では商業棟の全面リニューアルが予定されており、買い物環境の良さでは埼玉県内でも随一のポテンシャルを秘めているといえるでしょう。

平均的な収入のサラリーマンであれば、住宅ローンの返済比率13%台でファミリータイプの中古マンションを購入可能な「新越谷」。マイホームの候補地として検討してみてはいかがでしょうか。

(※写真はイメージです/PIXTA)