勝負の後半戦に向け、様々な試みを行っている佐々木朗(C)Getty Images

 ロッテ佐々木朗希投手が19日に行われたオールスターゲーム第1戦(バンテリンドームナゴヤ)で先発登板。球速のプロ野球最速記録更新が期待されたが、変化球を中心とした投球術に徹し、この日の最速は161キロ。自己最速記録の165キロに4キロも及ばなかった。

 ただし、セ・リーグの好打者を相手に高速フォークだけでなく、今季から磨きをかけているスライダーを投げ、1回を1安打無失点。先頭打者の阪神・中野拓夢をフォークで、続く広島・秋山翔吾スライダーで空振り三振に仕留めた。2人はともに左打者。夏場に入ってからは左打者へも積極的にスライダーを投げるシーンが目立つ。

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 レギュラーシーズンの前半戦最後の登板となったオリックス戦。左打者の宗佑磨に対しては外角のボールゾーンから内に切れ込む、いわゆるバックドアスライダーを多めに投げた。

 開幕前のオープン戦から横滑りの大きな軌道のスライダーを試してきたが、当初は変化球は左打者へはフォーク、右打者へはスライダーが基本線だった。そこからスライダーも熟成してきた様子で、左打者へも投げる機会が増えてきたのは新たなステップに進んできた何よりの証拠だ。

 球宴で秋山に対しては追い込んだ後の6球目に膝元に食い込む内角低めのスライダーで空振り三振に沈めた。左打者の内角に勝負する場合はフォークが多かったが、スライダーは極めて珍しい。

 新たなフォークが145キロ前後に対してスライダーは130キロ台後半。この日秋山に投げたストレートの球速は158キロ。これまで多投していたフォークに加えて、球速幅が30キロ前後というスライダーも使えるようになれば、投球の幅も広がり、新たな武器となることは間違いない。

 ここまでは160キロ超の剛速球とフォークのコンビネーション奪三振ショーをくり広げてきたが、今後はさらに遅い変化球取得も視野に入れている。球宴の場ではオリックスの新星、山下舜平大投手からカーブについて話を聞く場面もあるなど、貪欲に取り入れる姿勢も示している。

 山下のカーブはカウントを取りに行くだけでなく、勝負球としても用いられる。カーブはオーソドックスな変化球ながら打者の目線が上下するために目測をズラす効果が見込まれ、フォーク使いの佐々木朗にとっても有効な球種となる。元祖・怪物の江川卓変化球カーブだけだったが、打者と十分に勝負できた。

 近年のプロ野球は他球団の投手との意見交換の機会も増え、変化球の握りや投げ方を出し惜しみすることなく教え合う傾向にある。今や日本を代表する投手ともなった佐々木朗が新たな「武器」をひっさげて、勝負の後半戦にどんな姿を見せるのか、今から楽しみでならない。

[文/構成:ココカラネクスト編集部]

ロッテ・佐々木朗希は球宴で新境地 注目は100マイル超えストレートよりも後半戦を見据える「勝負球」