いよいよ今夜、フジテレビの夏の大型特番『FNS27時間テレビ』(22日18時30分~23日21時54分)が4年ぶりに帰ってくる。今回は千鳥(大悟、ノブ)、かまいたち(山内健司、濱家隆一)、ダイアン(ユースケ、津田篤宏)と人気お笑いコンビ3組を総合司会に迎え、お笑い色を全面に打ち出した企画が目白押しだ。生放送ゆえに、これまでの歴史でもさまざまな“事件”が起きてきた同番組。今回は30回以上の歴史がある『27時間テレビ』から、過去の名場面・珍場面をおさらいしよう。

【写真】今年の『FNS27時間テレビ』は名物キャラも復活!

■ BIG3車庫入れ事件

 日本テレビの『24時間テレビ』がチャリティーを目的としているのと対照的に、80年代に「楽しくなければテレビじゃない」を標榜していたフジテレビらしくバラエティー色が濃いこのシリーズ。

 初期を彩ったのは、いわゆるお笑いBIG3の明石家さんまビートたけしタモリの共演だ。特に有名な「車庫入れ事件」と呼ばれるハプニングが起きたのは、まだ放送時間が「27時間」に定まっていなかった1991年放送『FNSスーパースペシャル 1億2000万人のテレビ夢列島'91 24時間ぶっ闘志』だ。

 屋内のゴルフセットでの対談中、たけしさんま自前の高級クラブを乱暴に扱い始め、本人が慌てて止める展開に。その後、場所を河田町時代のフジテレビの駐車場に移すと、今度はさんまの買ったばかりの高級外車レンジローバーを車庫入れすることになる。もうこの時点で嫌な予感しかしないが、たけしがハンドルをにぎると、容赦なく車をブロック塀にぶつけ、車体の前面部分のパーツが取れてしまった。翌年以降1995年まで、さんまたけし仕返ししようとして逆に愛車を壊されてしまうという流れが定番化していく。

 今では放送が難しい光景だが、世のため人のためではなく、ただただ「お笑い」をやるというこの番組のテーマと、そしてひたすら豪華なBIG3の共演に当時の視聴者は目を輝かせていた。

■ 放送当日に台風が直撃!

 人間にはどうしようない「自然」が引き起こすハプニングもある。自然が猛威を振るったのは、ダウンタウンを総合司会に迎えた1997年放送の『疾風怒涛!FNSの日スーパースペシャルXI真夏の27時間ぶっ通しカーニバル〜REBORN〜』。

 同局がお台場に移転して初となる記念すべき放送だったが、大型台風が当日に襲来した。これにより、本来雨天でも中止にならないはずのドーム球場でのプロ野球中継が中止となるなど、野外企画が軒並みできなくなってしまう。

 さらに機材トラブルなどもあり、急きょダウンタウンとゲストらが仮設テント内でパズルゲーム「ぷよぷよ」大会を繰り広げることに。のちに松本人志はラジオ番組でこの番組を振り返った際、トラブル続きだったことを「俺はそれなりに楽しんでやってた」というが、悪条件の中での放送だったこともあり、歴代放送回と視聴率で比べられるのは不服であることも述べていた。

 そんな松本は、今回の『27時間テレビ』にかつての人気番組『ダウンタウンのごっつええ感じ』(フジテレビ系)のレギュラーメンバー5人を率いて“ほぼごっつ軍団”として出演。千鳥らMC陣と対決する。

さんま・中居も驚がく 伝説の“放送事故

■ 大御所落語家が引き起こした伝説の“事故”

 ネット記事で「放送事故」という言葉が乱用され始めて久しいが、真の意味で「放送事故」と呼びたくなるハプニングが起きたのは、2003年の『FNS27時間テレビ みんなのうた〜再会〜』だ。この年、総合司会は『クイズ ミリオネア』などで当時乗りに乗っていたみのもんただが、終わってみれば主役になったのは、いや、なってしまったのは落語家笑福亭鶴瓶かもしれない。

 “事件”が起きたのは、深夜の恒例企画「さんま・中居の今夜も眠れない」だった。長崎県の離島からの中継に登場した鶴瓶は、その夜現地の住民らと親睦を深めるためにしこたま飲酒し、すでに泥酔状態。明石家さんまに立ち上がるように促されフラフラしながら立った鶴瓶だが、それまでくるまっていた布団がはがれ落ちると、なんと局部が丸見えに。

 一瞬ながら全国ネットに“もの”が映ってしまい、これには東京のスタジオの中居正広も目が点。さんまも大の字で倒れてしまい、そのまま番組はCMへ行ってしまった。

 当時、10代のテレビっ子だった筆者は眠い目をこすりながら視聴していたが、この“歴史的瞬間”を目にして眠気も吹っ飛んでしまった。ネット掲示板はいわゆる“祭り”になっていたが、もし当時SNSがあったら、さらに盛り上がっていたことだろう。

 番組ではその後、当時まだ入社3年目の高島彩アナが神妙な面持ちで謝罪。“あってはならないこと”ではあるが、“あってはならないこと”が起きるのではないか、というドキドキ感が生放送の醍醐味であると改めて気づかせてくれた“事件”だった。

■ 過酷ライブの直後に「6人目のSMAP」と再会

 国民的アイドルグループと脱退したメンバーの変わらない絆が垣間見られたのが、SMAPを総合司会に迎えて2014年に放送された『武器はテレビ。 SMAP×FNS 27時間テレビ』だ。

 番組クライマックス、これまでの最長記録を更新する27曲、45分に及ぶノンストップライブという過酷な企画を完遂し、疲労がピークに達していた5人をサプライズで待っていたのは、1996年6月にグループを脱退したオートレーサー森且行からの手紙だった。

 加藤綾子が代読したその手紙にしたためられていたのは、これまで明かされることのなかった森の5人それぞれへの思い。「僕の友達は5人以外にいません。SMAP最高」という言葉で締めくくられた元メンバーの手紙に、イヤホン越しに代読を聞いていた中居らメンバーはタオルで涙をぬぐっていた。

 思えばこの2年後、『SMAP×SMAP』の最終回を通してグループとしての最後の姿をお茶の間に届けたのもフジテレビで、今年4月放送の『まつもtoなかい』で中居と香取慎吾の電撃的な“再会”を実現させたのも同局だった。フジテレビとSMAP、不思議な縁のようなものを感じざるを得ない。

 これまでさまざまなドラマ、ハプニングが起きてきた『27時間テレビ』。今年も何が起きるのか今から楽しみでならない。(文:前田祐介)

(左上から時計回りで)ビートたけし、明石家さんま、笑福亭鶴瓶、稲垣吾郎、香取慎吾、草なぎ剛  クランクイン!