QUICKが、2023年7月6日に「QUICK Data Design Challenge 2023」の審査結果を発表しました。

 

QUICK Data Design Challenge 2023

 

 

「QUICK Data Design Challenge 2023」は、「データをあなた自身の視点で捉え直し、新しい見せ方を考える」をテーマに、データから読み取れる内容をクリエイティブなアイデアで表現する作品を募集しました。

全176点の作品の中から一次審査を通過した41点を対象に、審査員による最終審査とQUICK社員投票を経て、グランプリ1点、準グランプリ3点、QUICK特別賞1点が決定しました。

 

グランプリ いちご見本帳

 

 

作品名:いちご見本帳

 

いちごの形を単純化し、品種や交配、生産地などを統合的に見ることができる、いちごの情報サイト。

マウスを動かしたり、クリックしたりすることで「いちご情報」の面白さを体感することができます。

 

 

日本で、いちごはいつから生産され、どのように品種改良が進み産地が散らばっていったのかを表した「いちご年表」、選択したいちごの親や子(どの品種から生まれ、どの品種の親になったのか)が線で結ばれる「いちごと家族」など、いちごの情報を独自の視点でとらえています。

 

受賞理由(審査員コメント):

 

田川 欣哉氏 Takram Japan株式会社 代表取締役/デザインエンジニア

 

スーパーで日常的に見かける「いちご」。

どの産地やブランドを選べば良いのかいつも迷ってしまいます。

作者はそのようなごく普通の生活のシーンに対して、興味と好奇心を持ち、さらにそこにリサーチと可視化を持ち込むことで、見事なツールに仕上げました。

「いちご見本帳」では、時間の関係・空間の関係・要素同士の関係の3つが、データビジュアライゼーションの基礎的な手法を用いて端的に表現されています。

可視化のオリジナリティやグラフィックデザインの品質については、より高いレベルへの向上の余地がありますが、このツールを触っていると、いちごのことがよく分かった気がしますし、明日からの自分の消費行動が変わりそうな気がします。

データビジュアライゼーションならではのファクト駆動型の認知変容・行動変容の起点としての可能性を大きく評価しました。

 

尾形 真理子氏 コピーライター/クリエイティブディレクター

 

いちごの情報を可視化してみる。

「いちごっていろんな種類があるんだよね」で終わらせないモチベーションがまずもって愛らしいです。

ビジュアライズとしては必ずしも斬新ではないですが、いちごに興味を持てる仕様が、データとして優れていると感じました。

いつまでも見ちゃいます。

そして小さないちごにも、受け継がれていく努力の結実があると教えてくれます。

 

エキソニモ(exonemo/千房 けん輔氏、赤岩 やえ氏) アートユニット

 

最初に見た時は、大きな組織が作ったプロジェクトなのかと思っていましたが、審査会で実はこれが個人制作のものだと知って驚きました。

データの表現の仕方自体はオーソドックスでもあるけど、個人でこれを仕上げていく、モチベーションや胆力のようなものに希望のようなものも感じられました。

データビジュアライゼーションのアワードということで、データから表現を立ち上げていくという基本原則をしっかり押さえ、見る人に気付きを与えるというところも評価のポイントになりました。

 

準グランプリ VALUES MAP – 価値観でみつける、わたしの街 –

 

 

作品名:VALUES MAP – 価値観でみつける、わたしの街 –

 

自分と同じVALUES達(自分と近い価値観を持った人)がどの街で暮らしているのかを探すことができるWebサービス。

引っ越しの時によく参考にするのが、住み心地の良い街や住みたい街などのランキング。

 

 

ただ、一般的に良いと言われている街に引っ越しても幸せになれるとは限りません。

このサービスでは、新たな住まいの選択肢を提供し、引っ越し後のユーザーの生活が充実したものになることを目指しています。

 

受賞理由(田川氏コメント):

 

企業ならではのコンセプトの質、そしてデザインとエンジニアリングの投入量と質の高さに脱帽しました。

グランプリ候補でもあったのですが、操作時に必要とされる入力項目数と、その結果得られるインサイトの質についての納得感に若干の不釣り合いがあるのではないかという議論になりました。

その部分が惜しかったです。

ユーザーがこのサービスを使うことによって、時間・空間・関係性についてのインサイトを獲得し、それが認知変容や行動変容につながるような、よりよいデザインへの飛躍を期待しています。

 

準グランプリ 日本における役割の性差―OECD各国との比較

 

 

作品名:日本における役割の性差―OECD各国との比較

 

各国の様々なジェンダーバランスを表したポスター。

1枚目では政治、社会、家庭において男女が担っている役割の偏りを視覚化しています。

 

 

偏りを均衡状態からの振れ幅で示しており、崩れたバランスが直感的に伝わります。

2枚目では女性議員率を例に、時間の変化におけるバランスの改善度合いを視覚化しています。

時間という要素を取り入れることにより、1枚目で表した国ごとの現状に至るまでの道のりを想像させます。

 

受賞理由(尾形氏コメント):

 

世界各国の中で日本は、政治、職場、家庭においてジェンダーによる役割に偏りが大きい。

この事実を知らない人はいないでしょう。

だけど水平を軸にしたグラフを使うことで、シンプルだからこそ、その歪みの大きさが気になる。

バランスの悪さに違和感を持てる。

ファクトと感覚を結びつけるコロンブスの卵的な見事なデータビジュアライズだと感じました。

 

準グランプリ Ocean Pandæmonium -The Noisy Plasticscape-

 

 

作品名:Ocean Pandæmonium -The Noisy Plasticscape-

 

現代における人間の位置付けと、海の生物に及ぼす影響についてのサウンドインスタレーション。

瓶の中では水が渦を巻き、綺麗な水の音が聞こえます。

小さなプラスチックの破片を入れても、陸から海を見た時に穏やかで問題なく見えるように、水の音しか聞こえません。

 

 

しかしヘッドフォンを装着するとプラスチックの音が聞こえます。

海の生き物の声も聞こえますが徐々に歪んでいき−−。

歪みは、1950年代以降の海のプラスチック変化量などによって変化します。

最終的にプラスチック音と歪んだ音しかしなくなります。

いつか本物の海からも、生物の声がなくなってしまうのだろうかと鑑賞者に問いかけます。

 

受賞理由(エキソニモのコメント):

 

2次元的な表現が多い中で、立体的に五感に訴える表現を完成度高く行っている点が評価されました。

審査会での議論の中では、データから表現を立ち上げているというよりは、語りたいストーリーが先にあり、そのためにデータを利用していると感じられる点が指摘され、データビジュアライゼーションのアワードとしての評価の仕方が問われる一面もありました。

そういった点も含めて、新しく始まったこのアワードが今後、より多様性のある表現の受け皿としてユニークな存在になっていくための一つの試金石のような作品とも言えるでしょう。

 

QUICK特別賞 SPEED CONVERSION

 

 

作品名:SPEED CONVERSION

 

車の走行速度を、別の指標に置き換えて表現したスピードメーターのグラフィック。

交通事故に関するデータをスピードメーターの数値に置き換えることで、一目でアクセルを踏み込むリスクを喚起できます。

普段見慣れているメーターを、「歩行者の致死率」「停止に必要な車間距離」「衝突時の衝撃力」「速度超過の罰金」という4つの異なる視点から捉え直すことで、安全な走行速度について理解を深め、行動変容を促す。

 

受賞理由(QUICK社員コメント):

 

スピードメーターという見慣れたUIで、スピードとリスクの関係性をわかりやすく可視化したことに評価が集まった。

説明文を読まなくても表現したいことが明確に伝わってきた。

デザインとしては一般的な速度計と同じでも、表示するデータを変えるだけで伝わる印象がガラリと変わるということを認識させられた点も優れていると感じた」

「自身の行動を見慣れたスピードメーターで表現し、その際のリスクを可視化して意識を変える思考が良い。社会貢献度が高い」

 

【QUICK総評】

 

データとデザインをテーマにした賞は日本では珍しいと思いますが、初開催にもかかわらず、非常にレベルの高い作品がたくさん集まりました。

多くの方々にご参加いただき、データとデザインへの高い関心がうかがえ、大変嬉しい驚きです。

課題解決のための作品から自己表現や問題提起のためのアート性の強い作品、静止画から動画や立体物まで、さまざまな形式の作品が揃いました。

これらの作品を通じて、データの新しい表現方法について多くの学びを得られることと思います。

QUICKが1971年の創立以来向き合ってきた「データ」と、2021年の創立50周年を節目に新たな一歩を踏み出すために取り組み始めた「デザイン」

これらを掛け合わせ、データの価値を最大限に引き出し、デザインの力で社会を豊かにする取り組みを今後も続けてまいります。

 

QUICK Data Design Challenge 2023」の審査結果の紹介でした☆

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