1943年(昭和18年)、台湾は、まだ日本に統治されていた。統治のことを人権侵害されたようなことばかりで表現する国も存在するが、そこから80年経とうとする今でも台湾は日本に感謝してくれている。人権侵害ではなく、人々が暮らしやすいようにインフラの整備も日本は率先して行ったし、また現地の人もその作業等で生活を建てていた…奴隷のようなくらしではなかった。現に当時まだ子供だったと思われる台湾の老人たちは、日本から旅行にきましたと告げると、わらべ歌などを日本語で歌ってくれたりするからだ。

 昭和18年台湾鉄路管理局(台鉄)に蒸気機関車CT273が導入された。そして令和5年の今、CT273がけん引する観光列車が人気だ。「仲夏宝島号」。仲良しの夏に宝島に行こう! なんて意味のこもった「ちゅうか」もいいじゃないか。

 昨年はコロナ禍もあり、また台東の地震の影響で運休したので2年ぶりの復活。人々はどんなにこの日を待ちわびていたことだろう。

 コロナ禍でも、ボイラーの清掃や交換など大規模なメンテナンスを行って、今年の夏を待っていたという。この蒸気機関車は80歳、「傘寿」のお祝いのためにも、元気に走ってほしいというみんなの思いがこもっている。鉄道会の大先輩は最高速度100キロを出すことができるが、あえて台湾の美しい景色を堪能してもらおうと60キロしか出さない。また、高齢者をそんなにこき使わなければ、定期運行のお話も出ている。

 筆者の住んでいる田舎でも秋になると、2日くらいSLが通る。線路沿いのカメラスポットはヒトヒトヒト。走るSLは大切にされているが、昭和の時代公園等に寄贈されたSLは経年劣化や管理の問題で日本では厄介者扱いされている。

 それなのに、台湾のこの線路は、80年前と変わらず、日本と台湾をつないでいてくれる。

 8月5日(土曜日)と19日(土曜日)にも走る。この夏、台湾に飛んで乗ってみる?

台湾鉄道局 公式WEBから