アニメ映画の制作・公開が決まると、この役を演じるのは誰なのかと、話題になるのが声のキャスティングだろう。現在、日本のアニメ映画で、芸能人がキャスティングされないことは稀になっており、大作であればあるほど、話題づくりもかねて、芸能人の起用が多くなる。では、ハリウッド制作のアニメ映画はどうなっているのだろうか。現状を探ってみた。

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 大ヒット映画『アナと雪の女王』では、アナ役にドラマ『ヴェロニカマーズ』のクリステン・ベル、エルサ役にトニー賞女優のイディナ・メンゼル、現在公開中の『メアリーと秘密の王国』では、アマンダ・セイフライドを筆頭に、ジョシュ・ハッチャーソン、コリン・ファレル、ビヨンセ・ノウルズスティーヴン・タイラーなど、スターがズラリ。日本より芸能人色が強いと言えるだろう。

 「そもそも、ハリウッドアニメには、有名スターが起用されることが多いというより、有名スターがキャスティングされるくらいの規模の作品のみが日本に入ってきている」と、関係者は口にする。「ハリウッドで制作されるアニメ作品となると、バジェットが大きく、世界的にも広くプロモーションを目指す作品となります。だからこそ、世界的に名前の通っている有名な俳優を起用するのは、非常に理にかなっている」。

 さらに、関係者はこう付け加える。

 「日本の場合、純粋なアニメーション作品は、やはり、経験が豊富で技術力の高い声優さんが選出されることが多いですよね。特にテレビで通常クールに放送されるアニメでは、芸能人を起用するメリットもほとんどないため、声優さんに頼むことが多い。一方、アメリカにも日本同様、声優という職業はあるのですが、その地位はそれほど高くなく、俳優になるための勉強という側面が未だにあるようです」。

 日本とハリウッドを比べてみると、プロモーションのために有名人を起用するという点は同じだが、技術に関しての捉え方は違うということか。声優よりも俳優が上のハリウッドに対し、声の仕事であれば、声優の右に出る者はいない日本。

 「日本と違い、ハリウッドでは、声優の技術の高さという面でも、俳優のほうがすぐれているということです。その結果、声優ではなく、必然的にスターがキャスティングされることとなる。また、ハリウッドのアニメの本数は、日本のように多くないので、スターが起用できるという側面もあると思います」。

 では、実写とアニメでは、キャスティング方法はどう違ってくるのだろうか。

 「実写では、その人そのものが映るだけに、単純にキャラクターに合っているかどうかが、1つのポイントとなります。ただ、それ以外の、スキルがあるか、数字を持っているか、世界的にどのくらい知られているか、プロモーションにどれだけ協力してくれるかという部分は、声の仕事でも同じです」。

 技術力だけでなく、話題力も必要。アニメ映画にキャスティングされるには、そうとう大変な模様だ。

アマンダ・セイフライド、ビヨンセ・ノウルズらが声優を務める『メアリーと秘密の王国』(C)2013 TwenAeth Century Fox Film CorporaAon.All Rights Reserved.