詳細画像はこちら

アウディが追求する高性能EVの姿とは

アウディの高性能車部門であるアウディ・スポーツは、RS3からRS7に至るまで、従来の内燃エンジン車の後継としてEVを続々導入し、2020年代末までに100%電動化されたラインナップを揃える予定だ。

【画像】ケン・ブロック氏と共同開発したドリフトEV【アウディS1 eトロン・クワトロ・フーニトロンを写真で見る】 全48枚

フォルクスワーゲングループCEOのオリバー・ブルーメ氏によると、アウディは今後数年間、「RSブランドにさらに重点を置く」という。現在のRS eトロンGTのように、標準モデルにスポーティな性能とスタイリングを追加していく方針だ。

詳細画像はこちら
アウディは「RS」が単なるモデルグレードにならないよう、差別化に尽力するという。(画像は予想レンダリングCG)    AUTOCAR

さらにアウディは、「RS」が単なるモデルグレードにならないよう徹底する。アウディ・スポーツのマネージングディレクターであるセバスチャン・グラムス氏は、eトロンGTの人気(3台に1台がRS)を挙げ、「世界は変化しており、わたし達のターゲットポートフォリオも変化しています」と語る。

「わたし達はまた、成長しつつある新しいターゲットグループにも焦点を当てなければなりません。したがって、電動化とハイパフォーマンスは本当に、本当に相性が良いと確信しています」

次期A6 eトロンとQ6 eトロンのRSモデルを筆頭に、A3、A4、A6、A7の後継車にも独自のスタイルと強力なパフォーマンスを持つスポーティモデルが登場する見込みだ。

アウディはA7の計画を公式には明かしていないが、チーフデザイナーのマルク・リヒテ氏は、最近公開されたアクティブスフィア・コンセプトを「A7を高くしたようなもの」と表現し、2027年頃に市販化が実現する可能性を示唆した。

デザイン、サウンド、パワーデリバリー

アウディ・スポーツは現在、「RSモデルにエクステリアデザインの観点からどのように特別な個性を与えるか」に取り組んでいるとグラムス氏は語る。

標準モデルとRSモデルには差別化が必要だと考えています。これは、EVの世界におけるUSP(商品が持つ独自の強み)、つまり特徴的なDNAになるでしょう」

詳細画像はこちら
アウディ・アクティブスフィア・コンセプトは「A7の背を高くしたもの」とも表現される。    アウディ

「根っからのエンジン・ガイ」を自称するグラムス氏は、高性能EVに対するビジョンとして、デザインや装備だけでなく、移動中のフィーリングやサウンドにおいても、標準的なアウディ車との明白な差別化がRSラインナップの特徴であり続ける、としている。

「電動化によって、特別なドライビング・モードを見つけ、パワートレインに特別なサウンドを作り出すことができる。これはRS eトロンGTでもお見せした通りです」

「サウンドエンジニアにRSモデル特有のサウンドを作ってもらいました。これらは、クルマや技術に持ち込まなければならない新しい特許です」

グラムス氏は、RS EVに合成された直列5気筒やV8のエンジンサウンドを導入するかどうかについては明言を避けたが、RS eトロンGTでは、強化されたパフォーマンスを示すために加速時に特注の「エンジン音」を発している。

さらに音だけでなく、トルクカーブやパワーデリバリーを調整範囲もRS EVにとって重要な要素であり、「電動パワートレインをデザインし、内燃エンジン車よりも優れた特別な特性を与えることも可能」だという。

グラムス氏は「これはRS eトロンGTからも学んだことで、フィードバックは本当に素晴らしいものです」とし、電動パワートレインは「エンジニアにとってより良い遊び場」だと言う。

フォーミュラEの技術を活用

新世代RS EVの第一陣は、アウディポルシェと共同開発している新しいPPEプラットフォームを使用することになる。このPPEでは最高出力952psのパワートレインを搭載可能であることが確認されたが、アウディが実際にこれほどの高出力を市販車に導入するかどうかはまだわからない。

V8エンジンを搭載した現在のRS7は、最もパワフルな仕様で最高出力630psを発生する。ほとんどのRS EVモデルでは、これと同等の速さを実現することができるだろう。また、直線スピードだけでなく、アウディ・スポーツは鋭敏なハンドリングと魅力的な走りを実現する方法を模索している。

詳細画像はこちら
アウディS1 eトロンクワトロ・フーニトロン    アウディ

グラムス氏はモータースポーツ用途の技術をロードカーに「移行しようとしている」と述べ、その可能性の指標として、故ケン・ブロック氏のために開発されたS1 eトロンクワトロ・フーニトロンを挙げた。

「わたし達はフォーミュラEから技術を導入し、量産車に搭載しました。非常に高度な技術であり、これはもうレーシングカーです。しかし、わたし達は本当に新しい方法で、非常にエモーショナルな未来の電動クワトロをデザインしたのです」

アウディのロードカーが、S1 eトロンクワトロ・フーニトロンのように「停止状態からダイレクトに150km/hでドーナツ状にスピンできる」ようになるかどうかは、まだわからない。しかし、先進の四輪トルクベクタリング機能が、RS EVのハンドリングを内燃エンジンと同じように仕上げるのに一役買うことは間違いないだろう。


■EVの記事
アウディ・スポーツ「RSは単なるグレードではない」 高性能EVにも際立った個性追求
レアアース(希土類金属)はなぜEVに使われるのか 自動車メーカーが愛用する17の金属
小さく機敏で子犬のよう アバルト500e コンバーチブルへ試乗 154psの電動ホットハッチ
今後の電動モデルにも期待大 BMW iX 長期テスト(最終) レンジに並ぶ洗練性と快適性

アウディ・スポーツ「RSは単なるグレードではない」 高性能EVにも際立った個性追求