今年60周年を迎える日生劇場の9月公演ミュージカル『ラグタイム』の製作発表会見が7月24日、都内で行われ、出演する石丸幹二、井上芳雄、安蘭けいに加えて、演出を担当する藤田俊太郎が出席した。

物語は20世紀初頭のニューヨーク。アメリカの移民の約9割がやってきたといわれる激動の時代。ユダヤ人、黒人、白人。それぞれのルーツをもつ3つの家族が固い絆で結ばれ、差別や偏見に満ちた世界を変えていこうとする。1998年トニー賞において、ミュージカル部門13ノミネート、最優秀脚本賞・最優秀オリジナル楽曲賞など4部門を受賞した伝説的ミュージカルだ。

石丸が演じるのは、娘のためにラトビアから移民としてアメリカにやってきたユダヤ人・ターテ役。この物語の中心を担う役どころだ。ブロードウェイでの初演を実際に目にしたといい、「音楽のパワーに乗って、心が動いていった。いつか日本で(上演の機会が)来ないかなと願っていた」と振り返り、「オファーをいただき、非常に興奮しました」と20数年越しの願いの実現に、喜び爆発。舞台は100年以上前だが、「今でもAIが席巻したり、新しい物を乗り越えていかないといけないのは変わらない。どんな夢をもって戦っていくのかを問いかける社会派ミュージカルになれば」と意気込んだ。

石丸幹二

新しい音楽“ラグタイム”を奏で、新時代の到来を目指す黒人ピアニスト・コールハウス・ウォーカー・Jr.役の井上は、「8月いっぱいまで(帝国劇場で)『ムーランルージュ!』で、9月頭にはこちら。おかしなスケジュールですが(笑)、この夏は燃え尽きるつもりで、日々、本番と稽古に励んでいる」と闘志メラメラ。安蘭は、正義感にあふれ人種の偏見を持たない、裕福な白人家庭の母親・マザーを演じ、「女性なら誰しも演じたい役」と魅力を語った。

井上芳雄

日本ミュージカル界を代表する3人だが、同じミュージカル作品で共演するのは、これが初めて。石丸は「いまだかつてないこと。どんな“うねり”が生まれるのか楽しみ」と興奮しきりだ。石丸と同じ東京藝術大学音楽学部声楽科を卒業している井上は、「石丸幹二になるために頑張ってきた。背中を追っている、ずっと憧れの先輩」と敬意を示し、「やっとご一緒できる。今まで石丸さんサイドに断られていたんじゃないかって(笑)」と初共演に期待を膨らませた。

安蘭は『スカーレット・ピンパーネル』『蜘蛛女のキス』で石丸と共演しており、「尊敬しておりますし、絶対的な信頼感と安心感がある」。井上とは、『漂流劇 ひょっこりひょうたん島』以来の共演で、「ミュージカルは初めて。どうなるかとても楽しみです」と話していた。演出の藤田は「震えるような思い」と本公演に関わる思いを語り、「少しずつ稽古が進むなかで、キャストの皆さんの素晴らしさ、スタッフの熱量に震えています。一つの作品で、これだけ震えるなんて。きっと初日には、また震えが来るはず。こんなに興奮できることはない」と文字通り、武者震いしていた。

藤田俊太郎(演出)

取材・文・撮影:内田涼

<公演情報>
ミュージカル『ラグタイム』

脚本:テレンス・マクナリー
歌詞:リン・アレン
音楽スティーヴン・フラハティ
演出:藤田俊太郎

【キャスト】
石丸幹二:ターテ
井上芳雄:コールハウス・ウォーカー・Jr
安蘭けいマザー

遥海:サラ
川口竜也:ファーザー
東啓介:ヤンガーブラザー
土井ケイト:エマ・ゴールドマン
綺咲愛里:イヴリン・ネズビット
舘形比呂一:ハリー・フーディーニ
畠中洋ヘンリーフォード&グランドファーザー
EXILE NESMITH:ブッカー・T・ワシントン

新川將人、塚本直

井上一馬、井上真由子、尾関晃輔、小西のりゆき、斎藤准一郎、Sarry、中嶋紗希、原田真絢、般若愛実、藤咲みどり、古川隼大、水島 渓、水野貴以、宮島朋宏、山野靖博

【上演日程】
2023年9月9日(土)~30日(土) 東京・日生劇場
2023年10月5日(木)~8日(日) 大阪・梅田芸術劇場 メインホール
2023年10月14日(土)~15日(日) 愛知・愛知芸術劇場 大ホール

チケット情報
https://w.pia.jp/t/ragtime/

公式作品HP:
http://tohostage.com/ragtime

左から)藤田俊太郎(演出)、井上芳雄、石丸幹二、安蘭けい