石井裕也監督最新作『愛にイナズマ』の本ビジュアルと本予告映像が公開された。

本作では、石井監督史上最もポップ&ハッピーなタッチで、今の社会を予見したかのような“アフターコロナ”の世界が描かれる。社会の理不尽さに打ちのめされた恋人たちが、10年ぶりに再会したどうしようもない家族の力を借りて反撃の狼煙を上げるという、愛と希望とユーモアが盛り込まれた痛快なストーリーとなっている。

公開された映像の冒頭では、主人公である花子(松岡茉優)と正夫(窪田正孝)の運命的な出会いから一転、夢を奪われた花子が雷の鳴り響く大雨の夜に、正夫と互いに反撃を誓う姿が描かれる。そんな花子と正夫が頼ったのは、10年以上音信不通だった花子の“どうしようもない家族たち”。

やたらと場を仕切りたがる長男・誠一(池松壮亮)と、根は優しいが陰キャ全開の次男・雄二(若葉竜也)が「ほんとキモい」「うるせえクソ童貞!」と口汚く揉めだしたかと思えば、やさぐれた花子が「クソ!」と絶叫、絶妙に空気を読まずに仲裁に入る正夫と、我が子たちの争いを前に弱りはてる父・治(佐藤浩市)。監督の熱い要望で実現したエレファントカシマシの主題歌「ココロのままに」が軽快に鳴り響く中、カオスな空間はエスカレートしていくが、コミカルな場面から一転。明かされた家族の“ある秘密”に、花子たちの目からは大粒の涙が流れ出す――。「はじめて家族というものを知りました」という正夫の言葉とともに、ラストに待ち受ける想像を超えた“感動”への期待感を煽る予告編となっている。

また本ビジュアルでは、一瞬の雷光に浮かび上がった見つめ合う花子と正夫の姿で、運命的な絆を感じさせる1枚に仕上がっている。

今回が初共演となるダブル主演の松岡と窪田は本作の魅力・見どころについて「(観客にとって)この作品が“しょうがない、前を向くか!”と思えるような映画になっていたら嬉しいです」(松岡)、「セリフにしろ映像にしろ本質的な意味で“書きなぐられた”作品で、(皆が)普段言えない想いを愛を持って串刺しにしてくる、貫いてくる何かがある作品」(窪田)とそれぞれコメント。さらにエレファントカシマシの主題歌「ココロのままに」について、石井監督が熱い思いを綴ったロングコメントが到着した。

石井裕也監督 コメント(主題歌「ココロのままに」に寄せて)
この映画のアイデアが突然ひらめいた時、若き映画監督であり友人の坂西未郁君が目の前にいました。松岡茉優さん演じる主人公の折村花子も若き映画監督という設定なので、彼の存在が発想のきっかけになったんだと思います。なので、花子が劇中で撮影する映像は全て坂西君に任せることに決めました。彼は今作の助監督でありながら、一部のパートでは監督をやったとも言えると思います。ちなみにその映像は、映画のエンドロールでも流れます。
それなら、そこにかかる主題歌はもうエレファントカシマシで決まりだと思いました。他の選択肢はあり得ません。坂西君の父親は坂西伊作という人で、かつて90年代エレカシのPVをいくつも撮っていた凄腕の監督でした。
『愛にイナズマ』は、今は亡き大切な人に思いを馳せる映画でもあります。亡き父親と同じ道を選んだ坂西君が撮った映像にエレファントカシマシの曲が流れるのは必然だと、誠に勝手ながら思いました。それに加えて個人的な話をしてしまうと、まだ20代の頃、若き映画監督として苦悩し、もがいていた僕を奮い立たせていたのは、いつだってエレカシの熱く真っ直ぐな音楽でした。ヘッドホンをして目を閉じ、己の中にある情熱の炎を確かめ、また頑張ろうと気合を漲らせる。何度も救われました。エレファントカシマシ、『ココロのままに』をどうしても主題歌にしたかった理由は無数にありますが、やはり脇目も振らず一心不乱に頑張るこの映画の主人公にピッタリだと思ったんです。同じように苦しみながら頑張る方々にもこのエネルギーが届けばいいなと思っています。
僕たちの思いをご存じだったかどうかは分かりませんが、エレファントカシマシの皆さん、宮本浩次さんがこのオファーを受けてくれたことに心より感謝申し上げます。

映画『愛にイナズマ』本予告

<作品情報>
映画『愛にイナズマ』

10月27日(金) 公開

公式サイト:
https://ainiinazuma.jp/

(C)2023「愛にイナズマ」製作委員会

映画『愛にイナズマ』本ビジュアル