ペットボトル

暑くなり、ペットボトルが手放せない。一度口を付けたものの、飲みきれなかったペットボトルを「また飲むだろう…」と机に置きっぱなしにする──。

多くの人がやりがちだが、この行動には「危険」が潜んでいて…。

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■「開栓すると雑菌が入る」

気温、湿度共に高くなるこの時期、肉や刺し身などは食中毒を気にすることだろう。なまもの同様、飲みかけのペットボトルにも注意しなければならない。

医学博士、循環内科専門医で、DIOクリニックを運営する、医療法人理事長の藤井崇博氏は、一度口を付けたペットボトルの危険性を指摘する。

「ペットボトルは一度開栓すると、中身が空気に触れ、雑菌などが入ります。口を付ければ、雑菌の量は増えます。特に、夏場の30~35℃の気温で、菌は最も活発になるため、増殖しやすいです」(藤井氏)。

蓋を開けたペットボトルは、放置すると菌の温床になるということだ。


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■「夏の定番ドリンク」もリスクが…

藤井氏によれば、気温以外にも菌が増える条件はあるという。炭水化物・糖分などの栄養素もその一つ。

「麦茶は穀物である大麦の種子が原料となっているため、炭水化物を比較的多く含み、雑菌が繁殖しやすいです。ミルクコーヒーも、糖分やタンパク質を多く含むので、これらを栄養として雑菌が増殖してしまいます。他にも、100%でない果実・野菜ジュース、人工甘味料を使用した飲料は雑菌の繁殖スピードも上がるため、さらに注意しなければなりません。夏場であれば、開封から9時間以内に飲むのが安全と言われています」(藤井氏)。

夏の飲み物の定番である麦茶も、雑菌が繁殖しやすいとは驚きである。子供がペットボトルの麦茶を開けて、放置しているのを見たら、できるだけ早めに飲むよう呼びかけたい。


■開栓したらいつまでに飲む?

飲み物によって多少の差はあるが、一度開栓したペットボトルの「期限」はどれくらいだろうか。

こちらの疑問をぶつけたところ、藤井氏からは「飲料メーカーでも、開栓して口を付けてない場合や、冷蔵庫で保管している場合でも、2~3日を目安にできるだけ早く飲むよう推奨されています。口を付けた場合は、その日のうちに飲みきるようにしましょう」という回答が寄せられている。

ちなみに、見た目や臭いで食中毒のリスクがあるかどうかを見極めるのは困難だそう。勘に頼らず、いつ蓋を開けたか記録するのが賢明かもしれない。


■「コップに移して飲むのも効果的」

最後に、食中毒防止のためにできることを聞いた。藤井氏は、「ペットボトル開封後は早めに飲み切るようにし、直射日光を避け、ペットボトル内の温度を上げないようにしましょう。また、ペットボトルに直接口を付けず、コップなど他の容器に移して飲むのも効果的です」と話す。

水分補給が欠かせない夏、一度口を付けたペットボトルの扱いには十分気を付けてほしい。

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(取材・文/Sirabee 編集部・斎藤聡人 取材協力/医学博士、循環器内科専門医で、DIOクリニックを運営する医療法人理事長の藤井崇博氏)

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