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19年7月、那須御用邸に滞在された上皇ご夫妻 /(C)JMPA

「上皇さまと美智子さまは7月24~28日の日程で、栃木県那須町の那須御用邸に滞在されます。コロナ禍もあり、ご夫妻がご静養のために東京を離れるのは、’19年7月以来4年ぶりのことになります」

そう語るのは皇室担当記者。

宮内庁がご静養の予定を発表したのは7月18日のこと。だが残念ながら報道に関する反応はポジティブなものばかりではなかった。

《天皇ご一家より先に療養か。お気楽な隠居生活してるから遠慮するって発想がないのね》
《二重権威どころかことあるごとに挨拶させたり先に静養……》

“なぜ天皇陛下や雅子さまより先に那須で静養するのか”と、疑問を呈する声もあったのだ。前出の皇室担当記者が語る。

「御代替わりから4年、上皇ご夫妻のご近況にまつわる報道に対して、誹謗まがいの書き込みは後を絶ちません。日々の外出についても、“引退したなら外出しないで静かにして”など、SNS上には攻撃的な投稿も見受けられます。

そうした非難を繰り返す人々が好んで使うのが“二重権威は許せない”という言葉なのです。彼らは天皇皇后両陛下が折々のご挨拶やご報告のため、上皇ご夫妻のお住まいである仙洞御所を訪れられることにも批判的です」

上皇ご夫妻は7月18日東京都写真美術館で、昨年6月に亡くなった田沼武能さんの写真展をご覧に。そして翌19日には東京都美術館を訪問され、「マティス展」を鑑賞された。

前出の皇室担当記者が続ける。

「日々のお出かけにも、“警備も必要で、税金の無駄遣い”といった批判の声が上がっています。しかし、これらの外出にも上皇さまの認知機能の低下を緩和するためという側面があるのです。

脳機能の維持のためには、いつもと違う場所を訪れたり、多くの人と会って言葉を交わしたりするなど、脳を活性化させることが効果的とされているからです。また上皇ご夫妻は、小学校時代の教科書を音読することを日課とされています。これも昔の記憶を呼び起こしたりと、脳によい刺激を与えるためと思われます。

上皇ご夫妻は’94年の『バーンズ・コレクション展』などでマティスの作品はご覧になっていますし、紫綬褒章や文化勲章を受章した田沼さんとは何度もお話しになっています。“昔の記憶を呼び起こす”という観点からも、絶好の機会だったのです」

■被災者に開放された那須御用邸の温泉

上皇さまのご体調と、付き添われている美智子さまの日々のご献身については、天皇陛下と雅子さまももちろんご存じだという。

「上皇さまは89歳、美智子さまは88歳。天皇皇后両陛下は、常に上皇ご夫妻のご体調を心配されています。那須御用邸のご滞在も、上皇ご夫妻へ先に譲られたことになりましたが、これは両陛下からのご提案だと伺っています。

“気分転換のためにも、久しぶりに那須でお過ごしになってください”と、強く願われたそうです」(宮内庁関係者)

皇室ジャーナリストの久能靖さんもこう語る。

「上皇ご夫妻のご性格を鑑みれば、ご自分たちから“那須御用邸を使いたい”とおっしゃることはないと思います。天皇皇后両陛下からお勧めしたのは間違いないところでしょう。今年の猛暑と、上皇ご夫妻のご年齢を考えれば、『東京より過ごしやすい地でご静養ください』ということは、自然なご提案だったと思います。

それにしても、平成という時代に象徴としてのお務めを全身全霊で果たされた上皇ご夫妻のご静養や外出について非難する声があるとすれば、非常に残念なことです」

また那須御用邸には温泉が引いてあり、’11年東日本大震災が発生した直後、被災者のために開放されたこともある。

「上皇ご夫妻が那須御用邸を避難所として使用することを提案されたそうですが、寒い時期でもあり、交通の便も悪く、断念せざるをえませんでした。その代わりに栃木県内にいた避難者を招いて、職員用宿舎の温泉に入ってもらったのです」(前出・宮内庁関係者)

皇室の方々が心置きなく温泉に入ることができるのは那須御用邸のみだという。雅子さまも、上皇さまと美智子さまにコロナ禍の日々と猛暑のお疲れを温泉で癒していただきたいと願われているのだ。