7月25日放送された「なれの果ての僕ら」(毎週火曜深夜0:30-1:00ほか、テレビ東京系ほか)第5話は、不要な人を切り捨てる“花いちもんめ”が行われた。秘密とうそが暴かれ、どんどん疑心暗鬼が深まっていくクラスメートたち。大惨事の予兆が、刻一刻と迫りつつある。

【写真】狂気の実験が続くなか、自分の正義を貫こうとするネズ(井上瑞稀)に理解者あらわる…

■「なれの果ての僕ら」とは

同ドラマは、「週刊少年マガジン」および「マガジンポケット」で連載・配信された内海八重の漫画が原作。同窓会に集められたクラスメート23人を襲うのは、誰も予想だにしていない監禁劇だった。極限状態に追い詰められたときに暴かれる、人間の“狂気”を克明に描いた衝撃のサスペンス作品だ。

主人公のネズ(真田透)を演じるのは、NHKドラマ「麒麟がくる」などに出演したHiHi Jets・井上瑞稀。さらに監禁事件の首謀者であり、“人間の善性”への興味から残虐な実験始めた夢崎みきおという難しい役柄を、実力派俳優・犬飼貴丈が演じる。

■坂本の犯人捜しで強まる疑心暗鬼

坂本大聖(倉本琉平)の死体が見つかり、みきおによる犯人捜しが始まった。個別にクラスメート1人ひとりから事情聴取を行い、全員を集めてから「雨宮さん、昨日の夜中こっそり教室を抜けだしたんだって?」と全員の証言を披露。雨宮鈴子(大原優乃)は「アレがきたの」と気まずそうに告げるが、そこに杉田将矢(新原泰佑)が絡んでいく。

「アレじゃわかんねえよ、ハッキリ言えよ」「だったら証拠見せてみろよ」とヒートアップする将矢だったが、冷や水を浴びせたのは他ならぬみきおだった。「雨宮さんが教室を抜けだしたのは10分程度らしいから、犯行は無理だね」とあとから知っている事実を付け加え、将矢に不確かな情報で人を疑う愚かさを説いた。

そして次の実験が始まる。「花いちもんめ改」と名付けられた実験では、クラスメイトが「天使」と「悪魔」に分けられた。悪魔陣営は事情聴取の際、クラスメートの誰かに「嫌い」という票を入れられたかどうかで選出。ちなみにネズも、自分自身を「嫌い」と言ったことから悪魔陣営に座っている。

また、月岡小紅(吉田伶香)は前回の実験で「親友である石井さんを殴り続けた」功を認められて実験を免除。ゲームは「天使が1人ずつ“助けたい人”を選んでいく」というものだ。悪魔側は天使より1人多いため、必然的に1人だけはクラスメートに「不要」と思われているという烙印(らくいん)を押されることになる…。

■“天使”の選択と親友の絶叫

まず選ぶ天使として指名されたのは、早乙女菊也(菅生新樹)。彼は「悪いことをしてないし、まずは女から助けたい」ということで桐嶋未来(大原櫻子)を指名する。しかし、「天使」にはもう1つの使命が与えられた。それは「いらないと思う人をナイフで傷つける」というもの。

時間制限を超えればみきおが全員を傷つけるという脅迫を受け、菊也が選んだのはネズだった。仲のいいネズを選んだ理由について、みきおは「許してくれると思った?」と推測したが菊也はそれを否定する。「暴走して、みんなを混乱させたから」と声を絞りだすと、ナイフでネズの腕を切りつけるのだった。

友人に危害を加えさせ、不和を呼ぶような言葉を投げかけるみきお。菊也は、鬼のような表情で彼をにらみつけて「絶対に許さねえ…」と底ごもるような声を吐き出す。だがみきおは当然意に介さず、実験を続けていく。

続いて選ばれたのは、石井礼夏(工藤遥)。彼女が指名したのは当然、実験を免除された小紅だ。しかし実験に参加していない小紅は、「天使」が指名できる「悪魔」ではない。怒りを保たせつつ、復讐(ふくしゅう)の機会を与えないという陰湿なみきおの策略だ。

銃を突きつけられて引き下がった礼夏が、「ねえ、なんでずっとこの髪型だかわかる?」と小紅に語りかける。礼夏は過去に、男子からからかわれて小紅に髪型を変えるか相談したという。そのときに“いまの礼夏がすてき”と小紅に言われた礼夏は、以来髪型を変えなかった。美しく輝く友情の思い出だけに、その友情を破壊した小紅への怒りは止まらない。「なのに…なのになのになのに、ふざけんな!!」と血を吐くような絶叫が、教室に響き渡った。

涙を流しながら「絶対許さないから…!」といい、将矢を切りつけた礼夏。続いて選ばれた葉月依莉奈(紺野彩夏)はネズ、小山内彩(椛島光)は長谷部弘二(佐久本宝)、梶原絃(斎藤流宇)が水野カイト(矢花黎)、橘公平(ゆうたろう)が担任である桜庭橋子(我妻三輪子)、及川龍雄(草野大成)が黒田大輝(西村拓哉)を解放する人間として指名した。

なかでも影響が大きかったのは、依莉奈がネズを救う一幕。彼女は他人に尽くすネズを解放する人間に、自分勝手な将矢を不要な人間に選んだと、理由を自分の言葉ではっきり告げた。そのため、その後の天使が「不要」と選んだのは全員が将矢だ。

インフルエンサーを目指すなどひと一倍承認欲求の強い将矢の傷をえぐりながら、みきおは「痛そうなこの傷の1つひとつが、君が不要な人間である証なんだね」と告げる。後に星野薫子(森カンナ)が公平に取材したところによると、“大惨事”が巻き起こったのはこのあとだったと、不穏な言葉を残して幕が引かれた。

犬飼貴丈“みきお”の次なる友情崩壊実験は「不要な人間を決める」花いちもんめ改/(C)「なれの果ての僕ら」製作委員会 (C)内海八重/講談社