アメリカ・台湾・中国の国旗

最近は先端半導体分野を巡って米中間で対立がエスカレートしている。


■依然として緊張が続く台湾情勢

バイデン政権が昨年秋、中国によって先端半導体が軍事転用されるのを防ぐため、先端半導体の対中輸出を規制したことがきっかけで、中国は米国への怒りを強めている。

しかし、貿易規制と軍事衝突を比較するとはるかに後者のインパクトのほうが強い。台湾有事となり、米軍と中国軍が具体的に衝突することになれば、その時点で米中関係は縁切りとなるだろう。そして、軍事的衝突はさらなる貿易規制を誘発することになる。


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■日中関係はどうなるか

では、台湾有事となれば具体的にどんなことが起こるのか。まず、ウクライナ侵攻直後から欧米諸国が一斉にロシア制裁を強化したように、米国主導で日本も足並みを揃える形で対中制裁が発動、強化されることになろう。

現時点でも先端半導体分野で対立がヒートアップしているなか、中国による軍事侵攻によって強化される対中制裁の規模や影響は計り知れないだろう。そして、それによって中国も半導体関連だけでなくレアアースなど他の戦略物資の海外輸出を大幅に規制しているだろう。

さらに、厄介なのがその影響が人の安全にも及ぶことである。中国では7月から改正反スパイ法が施行されたが、スパイ行為の定義が大幅に拡大され、中国にいる在中邦人が不当拘束されるリスクが高まっている。台湾有事となれば中国側が意図的に邦人を拘束する恐れが否定できず、中国にいる10万人以上の日本人の安否が心配される。

他にも、中国への経済制裁強化により、中国にある日本企業への監視の目が強まり、資金や財産を没収されたり、企業自体が接収されたりするリスクも考えられる。

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(取材・文/Sirabee 編集部・セレソン 田中

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