セルゲイ・ショイグ国防相が率いるロシアの軍事代表団が25日から北朝鮮入りした。北朝鮮が「戦勝節」として祝う朝鮮戦争の休戦協定締結から70年を迎える27日に合わせたものだ。

北朝鮮が2020年1月に新型コロナウイルス対策で国境を封鎖して以降、初めての外国の代表団の訪問だ。これに、中国共産党の李鴻忠政治局員が率いる代表団が続く。

北朝鮮が本格的に封鎖を解く日も近いかもしれない。

北朝鮮新型コロナウイルス対策で国境を封鎖するまで、中国との貿易の物量の約7割は、平安北道(ピョンアンブクト)の新義州(シニジュ)と遼寧省の丹東を結ぶルートを通過していたとされる。両都市間の貨物列車の運行は既に再開されている一方、トラック輸送は今年4月ごろに再開の兆しがあったものの、未だに実現していない。

7月からマスク着用義務を解除するなど、北朝鮮はコロナ対策を緩和しているが、貿易を完全に再開にさせていない理由は明らかになっていない。

そんな中、東海岸にある咸鏡北道(ハムギョンブクト)の羅先(ラソン)と吉林省の琿春を結ぶルートが再開され、業者が押し寄せていると、デイリーNK情報筋が伝えた。

情報筋によると、以前は遼寧省を中心に活動していた中国の貿易業者が、琿春に移動している。北朝鮮との貿易を行うためだ。

彼らのほとんどは、コロナ前にトラックで新義州と丹東を行き来していた。だが、羅先と琿春を結ぶルートが先に再開されるや、運送費が多少かさんでも北朝鮮との取り引きを早期に再開させるほうが得策と考えた彼らは、琿春に一斉に移動している。

情報筋によると、大型トラックが多い日には1日100台以上、輸出品を載せて琿春から羅先に入っている。積み荷は、以前に北朝鮮から注文があったものの、輸出できずに放置されていたものだ。ゴムタイヤ、自動車や船舶の部品、産業機械などが多くを占めている。それ以外にもノートパソコン携帯電話などのデバイス、建材なども多数輸出されている。

また、業者の中には高強度アルミニウムを輸出する者もいる。ウランを濃縮する遠心分離機の材料となるため、国連安全保障理事会の対北朝鮮制裁で輸出が禁じられているものだが、両国の税関は制裁品目であることを知りつつも、合意のもとに通関させている。

新義州・丹東ルートより羅先・琿春ルートの再開を優先させたのは、前者に注がれる国際社会の監視の目を避け、制裁品目を輸出するためと思われる。琿春の圏河税関は丹東税関とは異なり、周囲に民家が少なく、一般人の接近も難しい。

上述の2つのルート以外にも、両江道(リャンガンド)の恵山(ヘサン)と、吉林省の長白朝鮮族自治県を結ぶルートも再開が迫っている。

鋼材を載せたコンテナトラックが、中国丹東で北朝鮮行きを待っている(画像:デイリーNK内部情報筋、2016年6月1日撮影)