糖尿病になると「足のケア」が重要になるといわれています。例えば、「靴擦れ」といった日常的な足のトラブルも、「壊疽(えそ)」が起こるきっかけとなり、最悪の場合、足を失う可能性も指摘されているようです。

 なぜ、糖尿病は「足」と深い関わりがあるのでしょうか。自身も1型糖尿病歴30年で、著書に「血糖値を自力で下げるやり方大全」(フォレスト出版)がある、内科医・糖尿病専門医の市原由美江さんに聞きました。

知覚鈍麻で「痛みに気付きにくくなる」

Q.「糖尿病になると、足を失うことがある」とは広く知られていますが、そもそも、なぜ糖尿病と「足」は関わりが深いのでしょうか。

市原さん「高血糖による末梢神経障害と、血管障害(動脈硬化)が主な原因です。末梢神経障害による知覚鈍麻(どんま)により、足の傷や腫れに気付かずに炎症が広がり、血管障害により血流が悪く、傷の治りが悪くなるためです」

Q.糖尿病になると、「足のトラブル」が起こりやすくなるのは本当ですか。

市原さん「本当です。糖尿病により免疫力が低下するため、水虫などの感染症にかかりやすくなります。先述した末梢神経障害による知覚鈍麻により、痛みに気付きにくいので、知らないうちに傷や靴擦れができることもあります」

Q.例えば、糖尿病患者が「靴擦れ」を起こし、適切な処置をしなかった場合、どうなることが考えられますか。

市原さん「病歴や血糖コントロールの良しあしで個人差はありますが、血糖コントロールが不良な状態であれば、靴擦れにより皮がむけたり、水疱(すいほう)ができたりした場所から菌が感染し、炎症が周辺の組織にまで広がります。放置すると壊疽となり、足の切断、また感染の広がりによっては膝までの脚の切断もあり得ます」

Q.糖尿病で足を失うことにならないために、糖尿病患者が日常生活上で気を付けなければならないこととは。

市原さん「まずは、血糖値をなるべく良好に保つことです。さらに、毎日入浴時に自分の足をしっかりと見て、傷や潰瘍、湿疹はないかどうか確認することが大切です。足壊疽の原因に深爪もあるので、爪切りの際には注意してください」

オトナンサー編集部

糖尿病と「足」の関係とは…?