好評発売中の「クライマキナ/CRYMACHINA」PS5版のレビューをご紹介!本作はハードSF的な世界観と、機械の身体を持つ美少女たちの激しいバトルが組み合わさった、個性的なアクションRPGだ。

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本作の舞台となるのは、人類が滅亡した後の遠い未来。宇宙に浮かぶダイソン球「播種構造体エデン」では、知性を持つ機械「神機」たちが人類を再生すべく試行錯誤を続けていたが、やがて彼らは互いに争うようになってしまった。 そんな中、21世紀に奇病で死んだ少女レーベンは、人格データとしてエデンの仮想世界で復活を遂げる。レーベンを再生した神機エノアはほかの神機に攻撃されており、危機に陥っていた。


レーベン、そして彼女の前に再生された21世紀の少女ミコトとアミは、生き残るためにほかの神機が送り込む敵と戦う。義体にダウンロードされて戦うことにより「E×P」を集めると、「人間性」が高まっていき、神機たちから「本物の人間」として認められれば争いも終わるというのだ。しかし、神機たちはいずれも自分の目的のために動くくせ者ばかり。はたして3人とエノアはどのような運命をたどるのだろうか?


主人公のレーベンは、「離心病」という奇病で一度は死んでしまう


左から、アミ、エノア、レーベン、ミコト。エノア以外の3人は21世紀に死んでおり、今はエノアに再生された人格データだ


知性を持つ機械「神機」たちは滅亡した人類を再生しようとしていたが、今は互いに争っている


遠未来、仮想世界、義体、機械知性、人間性などなど、グレッグ・イーガングレッグ・ベアの作品に出てきそうなハードSF的なキーワードが並ぶが、こうした知識があればより本作を楽しむことができるだろう。義体の美少女たちが、弐瓶勉さんの人気漫画「BLAME!」を彷彿とさせる巨大構造物にたたずむ様は、ある種の人々を強く惹きつけるはず。そうした意味で本作は尖ったタイトルといえる。



ゲーム内でレーベンら4人は交流を深めていき、その模様は「お茶会」というカットシーンで描かれる。人間を嫌い機械に偏愛を寄せるレーベン、“カッコイイ”ことを至上の命題とするミコト、一見おしとやかに見えて制御困難な激情を秘めるアミ、機械である自分を卑下するエノアといった、尖った部分を持つ4人が疑似家族を形成していくさまにはキャラクターコンテンツ的な面白さがある。そのいっぽうで彼女らは戦わなければ生き残れない状況にあり、生死の際に追い込まれることもある。つまりは濃いキャラクターたちの交流と生きるか死ぬかのバトルが両立しているということで、いい意味での「プレイする深夜アニメ」と言ってもいいかもしれない。



レーベンら3人は義体にダウンロードされ、ほかの神機から身を守るため戦いに身を投じていく。ドールのようなディテールや美術品を思わせる装飾が施された義体を操作し、エフェクトマシマシの戦いを繰り広げるさまは、とにかく派手。難易度が下がる「カジュアルモード」も存在し、攻撃を連打しているだけでも爽快だが、「ジャスト回避」「カウンター」「眷属機」といったシステム面を理解すると、より楽しくプレイすることができるのだ。 本作のアクション的な面白さを堪能させてくれるのが、ジャスト回避とカウンターである。相手の攻撃をギリギリで避けるとジャスト回避が成立し、無敵化や加速、自動追撃といった特殊効果が発動する。また、特定の攻撃をカウンターで弾くことでも攻撃のチャンスを作り出せる。強敵の中には激しい攻撃を繰り出す者もいる。しかし、予兆をしっかり見たうえで、これらの技を駆使すれば十二分に対抗可能。連打だけでなくテクニックも求められるのだ。




RPG的な魅力が詰め込まれているのが眷属機(けんぞくき)だ。レーベンらの周囲に浮かぶ2つの機械が眷属機で、機種ごとに飛び道具や近接攻撃、敵の弱体化といった個性的な能力を持つ。敵を倒したり、道中で拾ったりすることで入手でき、手持ちから2つを自由に組み合わせることが可能だ。眷属機はひとたび作動させると、あらかじめ設定しておいた「思装(攻撃パターンを決めるアイテム)」に応じた独立行動を取る。飛び道具の眷属機を2つ装備して自分を援護させたり、近接攻撃を重視したりと、さまざまなセッティングができるのだ。


そして、眷属機の能力はランダムで決まる。パラメータの数値が異なってくるだけでなく、セットできる思装の数や分岐パターンにも影響するのが特徴だ。眷属機の行動は、特定の条件を満たすと「EX」という特殊な攻撃パターンに分岐する。同じ機種の眷属機でも、EXへ分岐する条件が異なっていたり、セットできる思装の数が違っていたりするため、運によっては使い勝手が結構変わってくる。思装が単体で手に入ることもあり、こちらは眷属機にセットして使う。消費アイテムであるため、使いやすいものはいくらでも欲しくなってくる。


レーベンの左右に浮かぶのが「眷属機」



また、レーベンたちは頭・胴・腰・武器に「人格強化データ」や「武装強化カートリッジ」をセットすることができる。これは本作における装備品で、こちらもランダムで能力が決まる。いわゆるハックアンドスラッシュハクスラ)要素というわけで、使いやすい機種の眷属機に好みの分岐条件が付与された品や、自分の戦法にあったパラメータが上がる装備を探すような遊び方も可能。IPアドレスのような「座標」を入力することで「サブネットワーク(隠しステージ)」を探せるのも面白いところ。座標には一定の法則があるようで、数値を変えるといろいろなステージが出現する。友達どうしやSNSで座標を教え合うような盛り上がりにも期待したい。




尖ったデザインの敵味方が入り乱れて戦う様は美しいが、攻撃エフェクトで予兆が見づらいこともある。今後のアップデートでの対応を期待したいところだ。



ハードSF+美少女という、珍しい組み合わせの「クライマキナ」。同じプロデューサーが担当する「CRYSTAR -クライスタ-」と同様、「理不尽な状況に追い込まれた美少女たちが涙を流しつつも抗う」という独特のテーマ性を持っており、「クライスタ」に惹かれた人にとっても興味深いのではないだろうか。(文/箭本進一)








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【本日発売】「クライマキナ」(PS5版)レビュー!ハードSF的世界で、機械の身体を持つ美少女たちが激しく抗うアクションRPG