2006年に「週刊ヤングジャンプ」で連載がスタートし、コミックスの累計発行部数は9900万部を突破した原泰久の「キングダム」。中国春秋戦国時代を舞台に、天下の大将軍になるという夢を抱く戦災孤児の少年・信と中華統一を目指す若き王・嬴政の姿を描く壮大な物語で、長らく映像化不可能とまで言われてきた。

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しかし「今際の国のアリス」などを手掛ける佐藤信介のメガホンによって、邦画史上類を見ない規模で実写化が実現し、シリーズ累計興収100億円突破する大ヒット作に。そして待望の最新作『キングダム 運命の炎』が7月28日(金)にいよいよ公開となり、同日の「金曜ロードショー」では前作『キングダム2 遥かなる大地へ』(22)が放送される。今回はこの最新作公開にあわせて、これまでのストーリーと主要キャラクターを一気に振り返っていこう。

■シリーズ累計興収100億円突破!1作目&2作目をプレイバック

2019年に実写邦画ナンバーワンの大ヒットを記録した『キングダム』(19)。物語の舞台は中華西方に位置する秦国。天下の大将軍を夢見て日々鍛錬を重ねていた戦争孤児の信(しん)と漂(ひょう)だったが、ある時漂だけが王宮へと召し上げられ、2人は別々の道を歩むことになる。しかし、漂は王宮で起きたクーデターで致命傷を負い、命からがら信の住む小屋へと戻り一枚の地図を託す。その場所へ向かった信を待っていたのは、漂と瓜二つの若き王、嬴政(えいせい)だった。

嬴政の影武者をしていた漂の無念を晴らすため、弟の成蟜(本郷奏多)に奪われた玉座を奪還しようとする嬴政と運命を共にすることになる信。河了貂(かりょうてん)や山の王である楊端和(ようたんわ)と共に王宮内部に侵入し、見事に内乱を鎮圧。玉座の奪還に成功する。

それから半年後を描いた『キングダム2 遥かなる大地へ』では、秦の隣国・魏が国境を越えて進行を開始したとの知らせを受け、嬴政の号令のもとで蛇甘平原に軍を起こすことに。その戦に歩兵として加わることになった信は、道中で同郷の尾平(びへい)と尾到(びとう)の兄弟と再会する。残り物の頼りない伍長の澤圭(たくけい)、子どものような風貌に悲しい目をした羌瘣(きょうかい)と共に、“伍"(古代中国における軍隊の最小単位。5人組のこと)を組むことに。

ところが彼ら“最弱の伍”が戦場にたどり着いた頃には、すでに秦軍は魏軍に圧倒され半数以上の歩兵が戦死するなど壊滅状態。そんななか、信が配属された隊を指揮する縛虎申(ばくこしん)は、無謀ともいえる突撃命令を下すのだった。

■信と共に歩む、魅力あふれるキャラクターを紹介!

信(しん)/山崎賢人

本作の主人公であり、亡き親友の漂と約束した「天下の大将軍になる」という夢をかなえるために、己の腕ひとつで武功をあげる。親友の漂が嬴政の身代わりとなって死んだことに激怒するなど、情に厚く自分の意思を貫く強い心を持っている。王宮奪還を果たし“中華統一”を目指す盟友・嬴政と運命を共にし、乱世を突き進んでいくことに。第2作では、信の初陣となる「蛇甘(だかん)平原の戦い」で孤軍奮闘をし、王騎から武将としてあるべき姿を教わる。

嬴政(えいせい)/吉沢亮

秦国の若き王で、信の亡き親友の漂と瓜二つの容姿をしている。異母弟である成蟜(せいきょう)のクーデターを信と共に平定し、玉座を奪還した。戦乱の世を終わらせるために、“中華統一”という果てなき夢を信と共に目指していく。

河了貂(かりょうてん)/橋本環奈

鳥を模した不思議な藁を被った山民族の末裔。身寄りがなく一人で生き抜いていたが、玉座奪還の際に刺客から狙われていた信と嬴政の逃亡を手助けしたことで、共に歩んでいくことに。第1作では吹き矢を用いて戦闘にも参加した。

羌瘣(きょうかい)/清野菜名

哀しみの一族とも呼ばれ、千年を超える歴史を持つ伝説の暗殺一族“蚩尤(しゆう)”の一人。第2作より登場し、「蛇甘平原の戦い」では信と同じ伍の一員として戦うことに。幼少のころから修練を積み、特殊な呼吸法“巫舞(みぶ)”を操ることで、自身に神をおとし舞のように戦う。戦場では信を凌ぐ強さを誇るが、呼吸が乱れると力が弱まってしまう。

尾平(びへい)/岡山天音

信と同じ村出身で、チンピラ兄弟と言われる“尾兄弟”の兄。お調子者ではありながら、仲間思いな一面も持ち合わせている。初陣では恐怖に震えるものの、敵に殺されそうになっている弟の尾到を身を挺して守る。

尾到(びとう)/三浦貴大

信と同じ村出身で、チンピラ兄弟と言われる“尾兄弟”の弟。穏やかながら芯の強い性格で、兄の尾平とともに戦に参加する。久々に会った信の成長をいち早く見抜くほどの観察力も。

澤圭(たくけい)/濱津隆之

頼りなく見える風貌のため、いつも残り物のメンバーで伍を組んでいるハズレの伍長。しかし、多くの戦場を生き残った経験を持つ。暴走しがちな信や心を閉ざす羌瘣、初陣の恐怖で動けない尾兄弟をまとめることとなる。

楊端和(ようたんわ)/長澤まさみ

カリスマ性と美しさを兼ね揃えた山界の死王。ツワモノ揃いの山の民を武力で束ね、玉座奪還の際には戦場で無双する絶対的強さを見せつけた。もともと秦と山の民の関係性は劣悪であったが、国境を無くそうとする嬴政と意見が合致し、同盟を結ぶことになった。

壁(へき)/満島真之介

秦軍の千人将。昌文君の副官であり嬴政に忠誠を尽くす武将。玉座奪還の際に信と出会い、身分の違いがありながらも信や河了貂と対等に話す人格者

昌文君(しょうぶんくん)/高嶋政宏

嬴政の忠実な側近の一人。かつては勇猛な武官だったが、王を支えるために文官となった。王弟のクーデターの鎮圧以後、信のよき理解者となる。

王騎(おうき)/大沢たかお

秦国六大将軍の一人。その存在感は秦国武将の中でも別格だが、しばらく最前線から離れている。蛇甘平原の戦いでは、参戦せず戦の行く末を見届ける。

■信が“飛信隊”の隊長に!未来をかけた戦いが始まる

そして最新作では、信たちに新たな脅威が迫る。描かれるのは、原作屈指の心を揺さぶるエピソードとしてファンから絶大な支持を集める「馬陽の戦い」と「紫夏編」だ。

魏の北方に位置するもう一つの隣国・趙が、秦国への積年の恨みを胸に大軍勢を率いて突如として侵攻を開始。嬴政は趙軍に対抗するために長らく戦から離れていた伝説の大将軍である王騎(大沢たかお)を総大将に任命。決戦の地は、王騎にとって因縁の地でもある馬陽。嬴政が明かす壮絶な過去と、恩人の紫夏との記憶。100人の兵士を率いる隊長となった信は、王騎から“飛信隊”という名を授かり無謀な特殊任務に挑んでいく。

日本映画の歴史にまた新たな一ページを刻む、本格的なアクションと心熱くする物語。信と嬴政、そして王騎の運命が交差する、未来をかけた戦いのゆくえとは。「キングダム」に初めて触れた方も、ぜひとも過去作を予習し、『キングダム 運命の炎』を劇場のスクリーンで見届けてほしい。

文/久保田 和馬

山崎賢人の「崎」は「たつさき」が正式表記

※高嶋政宏の「高」は「はしごだか」が正式表記

「キングダム」の主要キャラクターをまとめて紹介!/[c]原泰久/集英社 [c]2023映画「キングダム」製作委員会